問1. 次の取引の仕訳をしなさい。

中間申告を行い、前事業年度の法人税等の1/2にあたる200,000円を小切手を振り出して支払った。

[judge]
?journal[3][3][現金,支払手形,法人税、住民税及び事業税,当座預金,仮払法人税等,未払法人税等]
[explanation]
中間納付をしているので、資産の減少として「仮払法人税等」勘定は借方に来ます。\
また、小切手を振り出して支払っているので、資産の減少として「当座預金」勘定は貸方に来ます。
[/explanation]
[/judge]

## 法人税、住民税及び事業税とは
皆さんは、Chapter3の商品売買にて「消費税」について学びました。簿記では、この消費税以外にも重要な税金があります。\
**法人税、住民税及び事業税**は、利益に対して課される税金です。長ったらしいので、これらを総称して**法人税等**ともいいます。\
法人税等の額は下記の計算式により一括で算定します。
[box 法人税等の算出式]
法人税、住民税及び事業税 ＝ 税引前当期純利益 × 税率
[/box]
税率は30％〜 40％くらいが一般的です。\
税引前当期純利益とは、法人税等を控除する前の当期純利益のことです。税引前当期純利益は決算で判明するため、法人税等の額は決算で確定します。

通常、法人税等は**中間申告**と**確定申告**の２回に分けて納付します。\
中間申告時点では、当期の法人税等の額は確定していないため、当期の法人税等の半額を見積って納付します。\
そのうえで、期末に法人税等の税額が確定するので、当該確定額 から中間申告分を差し引いた額を翌期の期中に納付します。

![中間申告から確定申告までの流れの図](https://storage.googleapis.com/debicre/media/corporate%20income%20tax.png)

## 会計処理
法人税等の会計処理は、「中間申告時(期中仕訳)」、「税額確定時(決算整理仕訳)」、「確定申告時(期中仕訳)」の3パターンです。\
それぞれ例題とともに見ていきましょう。
### 中間申告時(期中仕訳)
法人税等を中間申告した場合、「**仮払法人税等**」勘定を用いて**資産の増加**として処理します。

中間申告は、金額が未確定の支出に該当するため、「仮払金」勘定（資産）とするべきですが、法人税等の仮払金であることを強調するために、「仮払法人税等」勘定を用います。
[box 例題1]
デビクレ株式会社は、中間申告を行い、50,000円を現金で納付した。
[/box]
中間納付は、法人税等に関する金額が未確定の支出なので、資産の増加として「仮払法人税」勘定は借方に来ます。
よって、仕訳は以下のようになります。
[journal]
仮払法人税等 50,000 / 現金 50,000
[/journal]
### 法人税等の税額確定時(決算整理仕訳)
期末に当期の法人税等の税額が確定したら、当該金額を「**法人税、住民税及び事業税**」勘定を用いて**費用の増加**とします。

また、中間納付時に計上した「仮払法人税等」 勘定（資産）を減少させ、残額については「**未払法人税等**」勘定を用いて**負債の増加**として処理します。
[box 例題2]
デビクレ株式会社は決算を迎え、当期の法人税等が120,000円と確定した。なお、決算整理前残高試算表における仮払法人税等の金額は50,000円であった。
[/box]
当期の法人税が120,000円と確定したので、費用の発生として「法人税、住民税及び事業税」勘定は借方に来ます。

また、決算整理前残高試算表の仮払法人税等50,000円は中間納付分を意味するので、資産の減少として「仮払法人税等」勘定は貸方に来ます。\
そして、残額70,000円が翌期に確定納付する分なので、負債の増加として「未払法人税等」勘定は貸方に来ます。

よって、仕訳は以下のようになります。
[journal]
法人税、住民税及び事業税 120,000 / 仮払法人税等 50,000
/ 未払法人税等 70,000
[/journal]
### 確定申告時(期中仕訳)
確定申告を行い、法人税等の未払額を納付した場合、「**未払法人税等**」勘定を用いて**負債の減少**として処理します。
[box 例題3]
デビクレ株式会社は確定申告を行い、未払法人税等70,000円を現金で納付した。
[/box]
法人税等の納付義務がなくなるので、負債の減少として「未払法人税等」勘定は借方に来ます。

よって、仕訳は以下のようになります。
[journal]
未払法人税等 70,000 / 現金 70,000
[/journal]

借方科目	金額	貸方科目	金額