Lesson 2

原価の分類と原価に含めない項目

このレッスンで学ぶこと

同じ支出でも、何に使ったかによって原価計算での扱いが変わります。製造原価を材料費・労務費・経費に分け、製品との結び付きや生産量との関係からも整理します。また、製造以外の費用と、原価に含めない項目を区別します。

学習前に確認すること

原価は、製造や販売のために使った材料・人の働きなどを金額で捉えたものです。材料を買って保管しているだけの段階と、製造のために消費した段階は区別します。

何を使ったかで分ける

製造原価は、その発生の形から材料費・労務費・経費に分けます。

分類 内容 製造に関する例
材料費 物品を消費して生じる原価 製品に組み込む部品、工場で使う消耗品
労務費 人の働きを使って生じる原価 製造作業の賃金、工場の監督者の給料
経費 材料費・労務費以外の製造原価 工場の賃借料、製造機械の減価償却費

ここでいう「経費」は、会社の支出全般を指す言葉ではありません。材料費と労務費を分けた後に残る製造原価の区分です。機械代そのものを購入月の製造原価へ全額入れるのではなく、通常の使用による価値の消費を減価償却費として捉えます。

どの製品にかかったかで分ける

直接費は、どの製品にかかったかを直接把握できる原価です。間接費は、複数の製品に共通して発生するなど、特定の製品への原価を直接把握しにくいものです。

例えば、製品ごとの使用量を記録している主材料は、直接材料費になります。一方、工場全体で使う消耗品の原価を製品ごとに記録していない場合は、間接材料費になります。材料費がすべて直接費になるわけではありません。

製品との結び付き 材料費の例 労務費の例 経費の例
直接費 製品別に使用量を把握する主材料 製品別の作業時間を把握する直接作業の賃金 特定の製品だけに行う外注加工の加工賃
間接費 工場全体で使う少額の消耗品 工場全体を監督する人の給料 工場共通の設備の減価償却費

間接材料費・間接労務費・間接経費を合わせて、製造間接費といいます。製品に割り当てるときは、作業時間などの合理的な基準を使います。この割当てを「配賦」といいます。

直接・間接の区分と、材料費・労務費・経費の区分は、見る角度が違います。どちらか一方だけを選ぶのではなく、「直接材料費」のように組み合わせて考えます。

製造のためか販売や管理のためかを確かめる

製品を作るための原価が製造原価です。製品を売るための広告費などは販売費、会社全体の管理にかかる本社事務員の給料などは一般管理費です。販売費と一般管理費を合わせて「販売費及び一般管理費」といいます。

製造原価に販売費及び一般管理費を加えたものを、総原価といいます。ただし、通常の全部原価計算では、製品や仕掛品の在庫に含めるのは製造原価です。販売費及び一般管理費は、その期間の費用として扱います。

工場の給料と本社の給料のように、勘定科目の名前が似ていても用途が違う場合があります。まず何の活動に使った費用かを確かめます。

原価に含めない項目

非原価項目とは、原価計算制度で原価に含めない項目です。例えば、借入金の支払利息や、火災など異常な状態による損失が該当します。

非原価項目の例 原価に含めない理由
借入金の支払利息 製造・販売のための消費ではなく、資金調達に関する費用だからです
火災による偶発的な損失 正常な製造活動を前提とした価値の消費ではないからです

非原価項目でも、帳簿への記録を省くわけではありません。財務会計では費用や損失として記録しながら、原価計算では製造原価や総原価へ含めないという区別です。また、販売費は製造原価ではありませんが、そのことだけで非原価項目になるわけではありません。

生産量との関係で分ける

生産量に比例して総額が増減する原価を変動費、一定の生産量の範囲では総額が変わらない原価を固定費といいます。いずれも、まず「総額」の動きで判断します。

例えば、材料1個分の原価が300円なら、生産量100個で材料費は30,000円、200個で60,000円です。1個当たりは同じでも、総額が比例して増えるため変動費です。

これに対して、月額40,000円で変わらない工場の賃借料は、その範囲では固定費です。生産量100個なら1個当たり400円、200個なら200円となります。固定費だからといって、1個当たりの金額も固定されるわけではありません。

生産量100個から200個への増加で材料費総額は30,000円から60,000円へ増える。工場賃借料総額は40,000円のままであり、固定されるのは総額である。

ここでは生産量が100個から200個へ増える範囲を示しています。固定費でも、1個当たりの負担額は変わります。

例題

当社の当月の費用は次のとおりであった。金額はいずれも当月の消費または当月発生分である。

項目 金額
製品の製造に使った部品 36,000円
製造に直接従事した作業者の賃金 24,000円
工場の賃借料 18,000円
販売用の広告費 8,000円
本社事務員の給料 12,000円
借入金の支払利息 2,000円
火災による偶発的な損失 7,000円

製造原価、販売費及び一般管理費、非原価項目の合計額をそれぞれ求めなさい。

解答と解説

製造に使った部品は材料費、製造作業者の賃金は労務費、工場の賃借料は経費です。この3つを合計した78,000円が製造原価です。

  • 製造原価:36,000+24,000+18,000=78,000円
  • 販売費及び一般管理費:8,000+12,000=20,000円
  • 非原価項目:2,000+7,000=9,000円

広告費と本社事務員の給料は製造原価には含めませんが、販売や管理に関する原価です。支払利息と火災損失は、原価計算の対象から除きます。

まとめ

原価は「何を使ったか」「どの製品にかかったか」「どの活動のためか」「生産量でどう変わるか」という別々の視点で分類します。販売費及び一般管理費と非原価項目を、同じものとして扱わないようにします。