Lesson 3
材料の予定価格と価格差異
このレッスンで学ぶこと
材料を使った時点で実際の消費単価がまだ確定していなくても、原価計算を進めたいことがあります。あらかじめ決めた予定消費価格で記帳し、実際額との差を材料消費価格差異として整理する方法を学びます。
予定価格に実際消費量を掛ける
予定消費価格は、将来の材料価格を見込んで、あらかじめ決めた1kgあたりなどの価格です。消費額を計算するときは、この予定価格に、実際に消費した数量を掛けます。
予定価格による材料消費額=予定消費価格×実際消費量
例えば予定消費価格が200円/kg、実際消費量が40kgなら、200×40=8,000円を材料の消費として記録します。数量まで予定に置き換えるわけではありません。
材料の受入れを実際購入原価で記帳する場合、月初と当月受入れの原価から、採用した先入先出法や平均法などに従って実際消費額を確かめます。その実際消費額と、予定価格で記帳した消費額を比べます。
金額の差が何から生じたかを区別する
予定額と実際額の差を原価差異といいます。材料に関係する差異でも、予定額を使う段階によって名前と計算対象が変わります。
| 差異 | 予定額を使う段階 | 比べる金額 |
|---|---|---|
| 材料副費配賦差異 | 購入原価に副費を加えるとき | 副費の予定配賦額と実際発生額 |
| 材料受入価格差異 | 材料の受入れ全体を予定価格で記帳するとき | 予定受入金額と実際受入金額 |
| 材料消費価格差異 | 材料の消費を予定価格で記帳するとき | 予定価格による消費額と実際消費額 |
消費の価格差異に、当月の購入数量を掛けないようにします。購入した材料の中には、まだ使わずに残っている分もあるためです。
有利差異と不利差異
同じ実際消費量に対して、実際消費額が予定価格による消費額を上回れば、予定より多くかかっているので不利差異です。実際消費額が予定額を下回れば有利差異です。
差異を求めるには、まず二つの消費額を計算します。差額は大きい方から小さい方を引いて金額を求め、実際額が高いか低いかで有利・不利を判定します。
例えば、予定200円/kg、実際220円/kg、実際消費40kgなら、予定消費額8,000円、実際消費額8,800円で、800円の不利差異です。
不利差異の金額=(220−200)×40=800円

予定価格だけを見ても有利・不利は判定できません。実際の単価または実際消費額と比較します。
例題:消費と差異を記帳する
月初材料はなく、当月は材料60kgを1kgあたり220円で購入し、実際購入原価13,200円で材料勘定へ記帳した。当月の実際消費量は40kgで、全量が直接材料であった。消費は予定価格200円/kgで記帳し、月末に材料消費価格差異を振り替える。棚卸減耗はなかった。
消費時と月末の差異振替の仕訳を示し、差異振替後の材料残高を求めなさい。
解答と解説
消費時
予定価格による消費額は200×40=8,000円です。製造中の製品へ集める原価を仕掛品の借方に記録し、材料の貸方へ同額を記録します。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕掛品 | 8,000 | 材料 | 8,000 |
月末の差異振替
実際消費額は220×40=8,800円なので、800円の不利差異です。材料は実際額で受け入れた一方、消費時には予定額8,000円しか減らしていません。そのため、材料をさらに800円減らす必要があります。
不利差異を材料消費価格差異の借方に記録し、材料を貸方へ記録します。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 材料消費価格差異 | 800 | 材料 | 800 |
差異振替後の材料残高は、13,200−8,000−800=4,400円です。実際に残る20kgの取得原価20×220=4,400円と一致します。差異振替前の5,200円を、そのまま月末材料有高とはしません。
有利差異なら借方・貸方が逆になる
例えば、予定200円/kgに対し実際180円/kg、実際消費40kgなら、予定消費額8,000円、実際消費額7,200円で、800円の有利差異です。
受入れを実際額、消費を予定額で記帳していると、材料を800円多く減らしています。その分を材料の借方へ戻し、材料消費価格差異の貸方へ記録します。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 材料 | 800 | 材料消費価格差異 | 800 |
年度末に売上原価を調整する
材料消費価格差異は、原則として年度末に売上原価へ振り替えます。不利差異は予定額に足りなかった分なので、売上原価を増やします。有利差異は予定額が多かった分なので、売上原価を減らします。次の表では、それぞれの差異800円を全額売上原価へ振り替えるものとします。
| 差異 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 800円の不利差異 | 売上原価 | 800 | 材料消費価格差異 | 800 |
| 800円の有利差異 | 材料消費価格差異 | 800 | 売上原価 | 800 |
月末の差異振替は、材料に残った差額を差異勘定へ移す処理です。年度末の処理は、その差異勘定から売上原価へ移す処理です。同じ800円を、材料や仕掛品へ二重に加算しません。
まとめ
予定消費価格を使っても、掛ける数量は実際消費量です。予定額と実際額を比べて有利・不利を判断し、受入れと消費の記帳額のずれを材料消費価格差異へ移します。不利差異は借方、有利差異は貸方に集まり、原則として年度末に売上原価を調整します。