Lesson 2

直接工の作業時間と予定賃率

このレッスンで学ぶこと

工場にいた時間が、すべて製品を加工した時間とは限りません。直接工の時間を仕事の内容で分け、予定賃率で計算した賃金と実際額の差を整理します。

直接工の作業時間を、製品の組立てに使う直接作業と工場全体の清掃に使う間接作業に分ける図

時間を仕事の内容で分ける

賃率は、1時間あたりなどで表した賃金の単価です。時間を使って賃金を計算するときは、どの時間にその単価を掛けるかを先に確かめます。

時間 内容 賃金の分類
直接作業時間 特定の製品の加工・組立てに使った時間 直接労務費
間接作業時間 工場全体の清掃など、特定の製品に直接結び付かない仕事の時間 間接労務費
手待時間 材料待ちなどで、就業していても作業をしていない時間 通常生じる手待ちの賃金は間接労務費

就業時間は、直接作業時間・間接作業時間・手待時間を合わせた時間です。休憩時間を含めた拘束時間と区別します。例えば拘束90時間のうち休憩10時間なら就業80時間です。そのうち直接60時間、間接15時間なら、手待時間は80−60−15=5時間です。

出勤記録は就業時間の確認に、作業票は製品ごとの直接作業時間や間接作業時間の確認に使います。間接工の作業賃金は間接労務費です。直接工の直接作業時間と取り違えないようにします。

予定賃率でも実際の時間を使う

予定賃率は、あらかじめ見積もった賃金の時間単価です。賃金の実際額が確定する前でも、製品の原価を計算できます。

直接労務費=予定賃率×実際の直接作業時間

直接工の間接労務費=予定賃率×(実際の間接作業時間+通常の手待時間)

この計算では単価を予定額にしますが、時間まで予定時間に置き換えません。予定賃率を使う対象は問題の条件で確認します。

例題:直接費・間接費と賃率差異

直接工の当月の実際就業時間は80時間で、内訳は直接作業60時間、間接作業15時間、通常の手待ち5時間であった。この就業時間すべてについて予定賃率1,000円/時間を用いる。当月の実際賃金消費額は88,000円であり、支払額からの未払調整は済んでいた。

予定賃率による消費の仕訳と、月末の賃率差異振替の仕訳を示しなさい。

解答と解説

直接労務費は1,000×60=60,000円、間接労務費は1,000×(15+5)=20,000円です。製品に直接集める60,000円を仕掛品の借方へ、残る20,000円を製造間接費の借方へ記録します。賃金勘定から移す合計80,000円は貸方です。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕掛品 60,000 賃金 80,000
製造間接費 20,000

賃率差異は、同じ実際の時間について、予定賃率で計算した消費額と実際消費額との差です。実際額88,000円が予定額80,000円を8,000円上回るため、不利差異になります。賃金勘定に残る借方の8,000円を消すため、賃金を貸方に、賃率差異を借方に記録します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
賃率差異 8,000 賃金 8,000

実際賃率は88,000÷80=1,100円/時間です。(1,100−1,000)×80=8,000円とも計算できます。この例では直接・間接・手待ちの全時間に予定賃率を使ったので、差異も80時間分を比べます。直接作業60時間分だけではありません。

有利差異と年度末の処理

同じ80時間について実際消費額が76,000円なら、予定額80,000円を4,000円下回るので有利差異です。賃金勘定から4,000円多く振り替えているため、賃金を借方へ戻し、賃率差異を貸方へ記録します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
賃金 4,000 賃率差異 4,000

賃率差異は、原則として年度末に売上原価へ振り替えます。差異を全額振り替える場合、不利差異8,000円なら「売上原価8,000/賃率差異8,000」、有利差異4,000円なら「賃率差異4,000/売上原価4,000」です。不利差異は売上原価を増やし、有利差異は減らします。

まとめ

実際の時間を直接作業・間接作業・手待ちに分けてから、予定賃率を掛けます。予定額と実際額は同じ対象範囲で比べ、実際額が多ければ不利差異、少なければ有利差異として整理します。