Lesson 1

製造間接費の集計と実際配賦

このレッスンで学ぶこと

工場の電力料や清掃用の材料などは、どの製品にいくらかかったかを直接には決めにくい原価です。いったん製造間接費へ集め、作業時間などを手掛かりに製品へ分ける流れを学びます。

直接作業時間を配賦基準にする例で、工場の間接費を集計して製品A・Bへ分ける流れ

直接作業時間を基準に配賦する例です。

集める段階と分ける段階

製造間接費は、製品に直接結び付けにくい製造原価を集める勘定です。間接材料費・間接労務費・間接経費を集計し、その後、各製品が負担する額を決めます。このように一定の基準で原価を分けることを配賦といいます。

製造間接費へ集めるもの 例 集める理由
間接材料費 工場全体の清掃用材料 特定製品の使用額と分けにくい
間接労務費 工場の運搬担当者の賃金 複数の製品を支える作業である
間接経費 工場機械の減価償却費 複数の製品の製造に使う設備である

特定製品の直接材料費や直接労務費は、原則として仕掛品へ直接集めます。本社営業部門の費用は販売費及び一般管理費なので、工場の製造間接費に混ぜません。

集計では製造間接費を借方へ

間接材料を使えば材料が減り、間接労務費を振り替えれば賃金勘定からその原価が移ります。それぞれの原価を受け入れる製造間接費を借方へ記録します。

例えば、間接材料4,000円、間接労務費6,000円、工場機械の減価償却費2,000円を未記帳の状態から集計する場合、次の仕訳になります。労務費は賃金勘定から振り替え、減価償却は間接法で記帳します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
製造間接費 12,000 材料 4,000
賃金 6,000
減価償却累計額 2,000

金額の単位は円です。材料・賃金は消費した原価を移すため貸方へ、減価償却累計額は累計額を増やすため貸方へ記録します。製造間接費の12,000円全部を現金で支払ったという意味ではありません。

材料出庫票、作業票・賃金台帳、経費の明細から、間接費となる当月分を集めます。製造間接費明細表では費目ごとの発生額を、配賦表では製品ごとの基準数値と配賦額を確かめます。集計の証拠と、製品へ分ける計算を対応させます。

実際配賦率を求める

配賦基準には直接作業時間、機械運転時間などがあります。原価の発生との関係を考え、問題で指定された基準を使います。配賦率は、基準1単位あたりに負担させる原価です。

実際配賦率=当月の実際製造間接費÷当月の実際配賦基準数値

各製品の配賦額=実際配賦率×各製品の実際配賦基準数値

金額と基準数値は、同じ期間・同じ対象のものを用います。直接作業時間で配賦する条件なら、機械時間や生産数量を代わりに掛けません。

例題:直接作業時間で分ける

当月の実際製造間接費は12,000円で、製品Aの直接作業時間は20時間、製品Bは40時間であった。製造間接費は直接作業時間を基準に実際配賦する。

実際配賦率、A・Bそれぞれへの配賦額、および配賦をまとめた仕訳を示しなさい。

解答と解説

合計時間は20+40=60時間なので、1時間あたりの実際配賦率は12,000÷60=200円です。

製品 直接作業時間 配賦額
A 20時間 200×20=4,000
B 40時間 200×40=8,000
合計 60時間 12,000

BはAの2倍の時間を使っているため、負担する間接費も2倍です。配賦額の合計は集計した実際発生額12,000円と一致します。

各製品の原価を増やすため、仕掛品を借方へ記録します。一時的に集めていた製造間接費から原価を移すので、製造間接費は貸方です。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕掛品 12,000 製造間接費 12,000

製品ごとの内訳は配賦表でA4,000円・B8,000円と分けます。総勘定元帳の仕掛品には合計額が入ります。製造間接費の集計12,000円と配賦12,000円は、別々に原価を発生させる処理ではありません。

まとめ

間接材料費・間接労務費・間接経費を製造間接費の借方へ集め、指定された基準で製品へ配賦します。配賦時は仕掛品を借方、製造間接費を貸方とし、原価の集計と移動を区別します。