Lesson 2

予定配賦率と配賦差異

このレッスンで学ぶこと

製品ができるたびに原価を知りたいとき、月末の実際製造間接費の確定を待てないことがあります。あらかじめ決めた率で製品へ配賦し、実際発生額との差を後から整理する方法を学びます。

時間を配賦基準にする例で、予定配賦率と実際時間から配賦額を求め、実際発生額との差を比較する図

時間を基準に予定配賦する例です。

予定配賦率は予算と予定の活動量から決める

予定配賦率は、あらかじめ決めておく基準1単位あたりの間接費です。年間製造間接費予算を使うなら、分母も年間の予定配賦基準数値にします。

予定配賦率=製造間接費予算÷予定配賦基準数値

当月の予定配賦額=予定配賦率×当月の実際配賦基準数値

率を予定にしても、掛ける時間まで予定時間にするわけではありません。直接作業時間を基準にするなら、各製品が実際に使った直接作業時間を掛けます。

例えば年間予算240,000円、年間予定直接作業時間1,200時間なら、予定配賦率は240,000÷1,200=200円/時間です。当月の実際直接作業時間が50時間なら、当月配賦額は200×50=10,000円になります。

予定配賦も仕掛品へ原価を移す

予定配賦額10,000円を各製品に集めるときは、仕掛品を借方へ、製造間接費を貸方へ記録します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕掛品 10,000 製造間接費 10,000

金額の単位は円です。実際発生額も、材料・賃金・減価償却などの内容に応じて製造間接費の借方へ集計します。予定配賦を使うからといって、実際額の記録を省くことはありません。

実際額との差が配賦差異になる

製造間接費勘定の借方に実際発生額、貸方に予定配賦額が集まると、両者の差が残ることがあります。これが製造間接費配賦差異です。

比較 差異の性格 製造間接費勘定に残る側
実際発生額が予定配賦額より多い 不利差異(配賦不足) 借方
実際発生額が予定配賦額より少ない 有利差異(配賦超過) 貸方

予定配賦額より実際額が多いと、製品へ配賦した額では足りません。逆に実際額の方が少ないと、製品へ多く配賦した状態になります。

例題:不利差異を振り替える

当月の製造間接費の実際発生額11,000円と予定配賦額10,000円は記帳済みであった。当月の差異を製造間接費配賦差異勘定へ振り替える。

差異の金額と有利・不利を判定し、振替仕訳を示しなさい。

解答と解説

実際11,000円が予定配賦10,000円を1,000円上回るので、不利差異です。製造間接費勘定に残る借方1,000円を消すため、製造間接費を貸方へ記録します。移し先の製造間接費配賦差異は借方です。

借方科目 金額 貸方科目 金額
製造間接費配賦差異 1,000 製造間接費 1,000

製造間接費の貸方は、予定配賦10,000円と差異振替1,000円で合計11,000円となり、借方の実際発生額と一致します。差異振替の時点で、仕掛品へ同じ1,000円を重ねて加算しません。

有利差異の場合

実際発生額が9,000円、予定配賦額が10,000円なら、1,000円の有利差異です。製造間接費勘定には貸方1,000円が残るため、製造間接費を借方へ、製造間接費配賦差異を貸方へ記録します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
製造間接費 1,000 製造間接費配賦差異 1,000

年度末に売上原価を加減する

製造間接費配賦差異は、原則として年度末に売上原価へ振り替えます。全額を売上原価へ振り替える場合、不利差異は売上原価を増やし、有利差異は売上原価を減らします。

差異 借方科目 金額 貸方科目 金額
不利1,000円 売上原価 1,000 製造間接費配賦差異 1,000
有利1,000円 製造間接費配賦差異 1,000 売上原価 1,000

当月差異と年度末の差異勘定残高は別です。年度末に複数月の差異が残っているときは、その残高に基づいて振り替えます。当月の差異を、そのまま年度全体の差異と決めつけません。

まとめ

予定配賦率には同じ期間の予算と予定基準数値を使い、当月の配賦には実際の基準数値を掛けます。実際発生額との不足・超過を差異勘定へ分け、年度末の売上原価の調整につなげます。