Lesson 3
固定予算・変動予算と差異分析
このレッスンで学ぶこと
製造間接費の実際額と予定配賦額が違う理由には、予算と違う額が発生したことや、予定と違う時間だけ工場を動かしたことがあります。固定予算と変動予算を使い、配賦差異を二つに分けて考えます。

固定費が変わらない操業範囲で考えます。
操業度は工場の活動量
操業度は、直接作業時間や機械運転時間などで表した工場の活動量です。予定配賦率を決める基礎にした活動量を基準操業度、実際の活動量を実際操業度といいます。
固定費は、一定の操業範囲では総額がほぼ一定の費用です。変動費は、操業度に応じて総額が変わる費用です。例えば、機械を多く動かすほど増える電力の従量料金は変動費として考えます。
固定予算と公式法変動予算
固定予算は、基準操業度に合わせて決めた予算額を、実際操業度が違ってもそのまま比較に使う方法です。「固定費だけの予算」という意味ではありません。
公式法変動予算は、固定費予算と変動費率を使い、実際操業度に対応する予算額へ直す方法です。固定費も予算に含みます。
実際操業度に対応する変動予算=固定費予算+変動費率×実際操業度
例えば固定費予算4,000円、変動費率100円/時間、基準操業度40時間なら、基準操業度の予算は4,000+100×40=8,000円です。実際操業度が30時間になった場合、固定予算は8,000円のまま、公式法変動予算は4,000+100×30=7,000円になります。
予定配賦率を固定費と変動費に分ける
固定費率=固定費予算÷基準操業度
予定配賦率=固定費率+変動費率
上の例では固定費率が4,000÷40=100円/時間です。変動費率100円/時間と合わせ、予定配賦率は200円/時間となります。実際操業度30時間への予定配賦額は200×30=6,000円です。
この6,000円には、固定費の配賦額100×30=3,000円と、変動費の配賦額100×30=3,000円が含まれます。固定費予算4,000円に対し、配賦できた固定費は3,000円なので、1,000円の不足があります。
配賦差異を二つに分ける
予算差異は、比較に使う予算額と実際発生額との差です。実際額が予算を上回れば不利、下回れば有利になります。
操業度差異は、比較に使う予算額と予定配賦額との差です。予算額に対して配賦額が足りなければ不利、多ければ有利です。公式法変動予算では、変動費部分は実際操業度に合わせて動くので、この差は固定費の配賦不足・超過を表します。
| 方法 | 予算差異の比較に使う予算 | 操業度差異の比較 |
|---|---|---|
| 固定予算 | 基準操業度で決めた固定予算 | 固定予算と予定配賦額 |
| 公式法変動予算 | 実際操業度に対応する変動予算 | 実際操業度の変動予算と予定配賦額 |
公式法変動予算の操業度差異は、固定費率×基準操業度と実際操業度の差からも求められます。実際が基準より少なければ不利、多ければ有利です。固定予算の場合は、固定費率ではなく予定配賦率全体に操業度の差を掛けます。
例題:同じ実績を二つの予算で見る
当月の製造間接費予算は、固定費4,000円、変動費率100円/時間、基準操業度40時間に基づくものであった。実際操業度は30時間、実際発生額は7,600円であり、予定配賦率は200円/時間であった。いずれも想定した操業範囲内とする。
公式法変動予算と固定予算それぞれについて、予算差異・操業度差異の金額と有利・不利を答えなさい。
解答と解説
公式法変動予算
実際30時間に対応する予算は4,000+100×30=7,000円です。
実際7,600円が予算7,000円を600円上回るため、予算差異は600円の不利です。
予定配賦額は200×30=6,000円です。予算7,000円に対して1,000円足りないため、操業度差異は1,000円の不利になります。固定費率100円×(40−30)時間=1,000円とも計算できます。
固定予算
基準40時間の予算4,000+100×40=8,000円を、そのまま比較に使います。
実際7,600円が固定予算8,000円を400円下回るので、予算差異は400円の有利です。
予定配賦額6,000円は固定予算8,000円に対して2,000円足りないため、操業度差異は2,000円の不利です。予定配賦率200円×(40−30)時間=2,000円と一致します。
| 方法 | 予算差異 | 操業度差異 | 差引の配賦差異 |
|---|---|---|---|
| 公式法変動予算 | 不利600 | 不利1,000 | 不利1,600 |
| 固定予算 | 有利400 | 不利2,000 | 不利1,600 |
金額の単位は円です。どちらも実際7,600−予定配賦6,000=1,600円の不利差異に一致します。差異の合計は同じでも、予算の作り方によって二つへの分け方は変わります。有利・不利が逆の差異を合計するときは、大きい方から小さい方を差し引きます。
操業度が基準を上回る場合
同じ予算条件で実際操業度が50時間なら、公式法変動予算は4,000+100×50=9,000円、予定配賦額は200×50=10,000円です。予算より1,000円多く配賦できるので、操業度差異は1,000円の有利です。
これは固定費を予定より多い活動量へ配賦した結果です。有利という名前だけで、従業員の作業能率が改善したと断定するものではありません。
まとめ
まず固定予算か公式法変動予算かを確認し、実際額と比べる予算を決めます。予算差異と操業度差異を分けた後、両者の差引が実際発生額と予定配賦額の差に一致するか確かめます。