Lesson 1

部門個別費と部門共通費の配賦

このレッスンで学ぶこと

工場全体の製造間接費を製品へ配る前に、どの部門で発生した原価かを整理します。特定部門の費用と、複数部門に共通する費用を分ける方法を学びます。

部門専属の費用は該当部門へ直接集め、工場の共通費は基準に従って製造部門と補助部門へ配賦する。

まず、特定部門の費用と工場に共通する費用を分け、発生部門へ集めます。

製造部門と補助部門

製造部門は、切削・組立てなど、製品を直接作る仕事を担当する部門です。補助部門は、修繕・運搬・動力の供給などで製造部門を支える部門です。

部門 仕事の例
製造部門 材料を加工する、部品を組み立てる
補助部門 工場設備を修繕する、材料を運ぶ

部門別計算では、まず製造間接費を発生した部門へ集めます。部門で分けることで、製品原価をより正確に計算するとともに、場所や仕事ごとの原価管理に役立てます。

原価などについて管理責任を持つ組織上の区分を責任センター、そのうち原価を中心に管理する区分を原価センターと呼びます。部門別の原価情報は、各部門の管理にも使います。

部門個別費と部門共通費

部門個別費は、どの部門で発生したかが直接分かる費用です。例えば、組立部門に専属の監督者の給料や、その部門専用機械の減価償却費が該当します。補助部門にも、専属作業者の給料などの部門個別費があります。

部門共通費は、複数の部門に共通して発生する費用です。工場全体の家賃などは、床面積といった合理的な基準で各部門へ配賦します。

区分 各部門への集め方 例
部門個別費 発生した部門へ直接集める 部門専属の監督者給料
部門共通費 関係する基準で部門へ配賦する 工場全体の家賃

「個別」「共通」は、部門への帰属についての言葉です。製品に対する直接費・間接費とは、判定する相手が異なります。

例えば、組立部門の監督者給料は、個々の製品に対しては間接労務費ですが、組立部門に対しては部門個別費です。製造間接費だからすべて部門共通費になるわけではありません。

部門共通費の配賦額

部門への共通費配賦額=共通費総額×その部門の基準数値÷関係する全部門の基準数値合計

家賃なら床面積、各部門で使った電力料なら使用量など、費用の発生と関係する基準を使います。製造部門だけでなく、その費用を負担すべき補助部門も分母へ含めます。

資料は、部門専属の給与や設備の記録、床面積・使用量の記録などから確認します。部門費配賦表では、個別費・共通費配賦額・合計が部門ごとにつながるように集計します。

例題:家賃を三つの部門へ配る

当月の工場家賃12,000円を、床面積により製造A・製造B・補助Sへ配賦する。床面積はA20㎡、B30㎡、S10㎡であった。製造間接費の部門個別費はA10,000円、B12,000円、S4,000円であった。

家賃の配賦額と、共通費配賦後の各部門費を求めなさい。

解答と解説

床面積の合計は20+30+10=60㎡です。1㎡あたりの家賃は12,000÷60=200円になります。

部門 家賃配賦額 部門個別費 部門費合計
製造A 200×20=4,000 10,000 14,000
製造B 200×30=6,000 12,000 18,000
補助S 200×10=2,000 4,000 6,000
合計 12,000 26,000 38,000

金額の単位は円です。補助Sも工場の床面積を使っているため、家賃2,000円を負担します。A・Bだけで家賃を配り切ってしまうと、Sの使用分がその二部門へ混ざります。

部門個別費26,000円と共通費12,000円の合計38,000円は、配賦後の部門費合計と一致します。配賦は原価を分ける計算なので、工場全体の原価総額が増えるわけではありません。

この段階では、補助Sに集まった6,000円を製造部門へ移す処理はまだ行っていません。工場共通費を各部門へ分ける段階と、補助部門費を製造部門へ移す段階を区別します。

直接費を混ぜない

製造間接費の部門別計算を行うとき、製品の直接材料費や直接労務費を、同じ原価として重ねて加えません。すでに仕掛品へ直接集めた原価と、部門に集計する製造間接費は区別します。

例えば、部門個別費8,000円、共通費配賦額2,000円なら、その部門の製造間接費は10,000円です。同じ部門で扱った製品に直接材料費があっても、それが仕掛品へ直接計上済みなら、ここへ再加算しません。

まとめ

部門個別費は発生部門へ直接集め、部門共通費は費用に合う基準で分けます。部門への個別・共通と、製品への直接・間接は判断の相手が異なることを押さえます。