Lesson 2
補助部門費の直接配賦法
このレッスンで学ぶこと
修繕や運搬などの補助部門に集まった原価を、製造部門へ移します。直接配賦法では、製造部門が受けたサービスの比率に着目します。

補助部門の費用を、それぞれ製造部門向けの用役比率で全額配ります。
補助部門が提供する用役
用役は、修繕・運搬など、他部門のために行うサービスのことです。補助部門は製造部門だけでなく、別の補助部門にも用役を提供することがあります。
直接配賦法は、補助部門同士の用役提供を配賦計算上は除き、補助部門費の全額を製造部門だけへ配賦する方法です。実際に補助部門間のサービスがなかったことにするのではありません。
分母には製造部門向けの数量だけを使う
ある製造部門への配賦額=補助部門費×その製造部門向け用役数量÷製造部門向け用役数量合計
補助Sが製造Aへ20、製造Bへ40、別の補助Tへ40の用役を提供していた場合、直接配賦の分母はA・B向けの20+40=60です。全用役100を分母にしません。
補助Sの費用が6,000円なら、Aに6,000×20/60=2,000円、Bに6,000×40/60=4,000円を配ります。T向けの用役割合に対応する費用を、未配賦のままSへ残すこともありません。
例題:二つの補助部門を直接配賦する
補助部門費はSが6,000円、Tが9,000円であった。各部門への用役数量は次のとおりで、自部門への用役はなかった。製造部門へすでに集計した製造間接費はA10,000円、B13,000円であった。
| 提供部門 | A向け | B向け | S向け | T向け |
|---|---|---|---|---|
| S(運搬回数) | 20回 | 40回 | ― | 40回 |
| T(修繕時間) | 20時間 | 10時間 | 30時間 | ― |
直接配賦法によるS・TからA・Bへの配賦額と、配賦後のA・B部門費を求めなさい。
解答と解説
S部門の配賦
Sの製造部門向け数量は20+40=60回です。T向け40回は、直接配賦の分母に含めません。
Aへの配賦額=6,000×20/60=2,000円
Bへの配賦額=6,000×40/60=4,000円
T部門の配賦
Tの製造部門向け数量は20+10=30時間です。S向け30時間は分母に含めません。
Aへの配賦額=9,000×20/30=6,000円
Bへの配賦額=9,000×10/30=3,000円
各補助部門は、自身の提供した用役の基準で計算します。Sの回数とTの時間を足して、一つの分母にするわけではありません。
製造部門費へ合計する
| 内訳 | 製造A | 製造B | 合計 |
|---|---|---|---|
| すでに集計した部門費 | 10,000 | 13,000 | 23,000 |
| Sからの配賦 | 2,000 | 4,000 | 6,000 |
| Tからの配賦 | 6,000 | 3,000 | 9,000 |
| 配賦後の部門費 | 18,000 | 20,000 | 38,000 |
金額の単位は円です。補助部門費の合計15,000円が、A8,000円・B7,000円へ移りました。SとTの費用は全額配賦され、配賦後の補助部門費残高はゼロになります。
工場全体では、配賦前の23,000+6,000+9,000=38,000円と、配賦後の18,000+20,000=38,000円が一致します。補助部門費を各製造部門へ移したのであり、新たに15,000円の原価を発生させたわけではありません。
何を除いているかを区別する
直接配賦法で除くのは、補助部門同士の用役数量を使った配賦関係です。補助部門費そのものの一部を工場の原価から除くのではありません。
また、製造部門へ補助部門費が配られた後は、その部門にもともと集計されていた費用と合計します。配賦額だけを最終部門費としないようにします。
まとめ
直接配賦法では、補助部門費を製造部門向けの用役比率で全額配ります。分母の対象と、各製造部門の配賦前費用を確認し、配賦前後で原価総額が一致するか確かめます。