Lesson 1
製造指図書と個別原価計算表
このレッスンで学ぶこと
種類や仕様が異なる製品を注文ごとに作る場合、どの仕事にいくらかかったかを分けて計算します。製造指図書と個別原価計算表を使い、完成した仕事と未完成の仕事を区別します。

ここでは直接経費のない仕事を例に、原価を製造指図書ごとに分けて集めます。
製造指図書で仕事を区別する
製造指図書は、製品の種類・数量・仕様など、製造内容を指示する資料です。指図書番号を使うと、材料の払出しや作業時間を、どの製造の仕事に使ったか結び付けられます。
個別原価計算では、製造指図書ごとに製造原価を集めます。一つの指図書が1個の製品だけとは限らず、同じ仕様の製品を複数個まとめて作る場合もあります。
個別原価計算表へ原価を集める
| 原価 | 集め方 | 確認する記録の例 |
|---|---|---|
| 直接材料費 | 該当する指図書へ直接集める | 指図書番号を記した材料出庫票 |
| 直接労務費 | 指図書の直接作業時間などに基づいて集める | 作業票 |
| 製造間接費 | 配賦率と指図書の使用時間などで配賦する | 製造間接費配賦表 |
特定の仕事の外注加工賃など、直接経費がある場合も、その指図書へ直接集めます。
個別原価計算表は、これらを指図書ごとに整理した表です。同じ材料費や労務費を、直接費と間接費の両方へ重ねて計上しません。
月初から残る原価も含める
前月から製造中の仕事には、月初仕掛品原価が残っています。当月分だけでその指図書の原価を計算せず、月初残高と当月に集計した原価を合わせます。
指図書の累計原価=月初仕掛品原価+当月に集計した製造原価
当月に全部完成した指図書は、その累計原価が完成品原価になります。月末に未完成なら、その原価は仕掛品として残ります。月をまたいだことだけで原価が消えるわけではありません。
例題:完成した仕事と未完成の仕事
当月の個別原価計算表は次のとおりで、これら以外の指図書はなかった。No.401は製品8個が全部完成し、No.402は全部未完成であった。直接経費と仕損はなかった。
| 原価の内訳 | No.401 | No.402 |
|---|---|---|
| 月初仕掛品原価 | 4,000 | 0 |
| 当月直接材料費 | 6,000 | 5,000 |
| 当月直接労務費 | 4,000 | 3,000 |
| 当月製造間接費配賦額 | 2,000 | 1,000 |
No.401の完成品原価と1個あたり原価、および月末仕掛品原価を求めなさい。
解答と解説
No.401の当月原価は6,000+4,000+2,000=12,000円です。月初の4,000円を加えると、指図書の累計原価は16,000円になります。全部完成しているため、この16,000円が完成品原価です。
1個あたり原価=16,000÷8個=2,000円
No.402には月初原価がなく、当月原価5,000+3,000+1,000=9,000円が集まっています。全部未完成なので、9,000円を月末仕掛品として残します。
| 指図書 | 累計原価 | 月末の状態 | 原価の扱い |
|---|---|---|---|
| No.401 | 16,000 | 8個すべて完成 | 完成品原価16,000円 |
| No.402 | 9,000 | 全部未完成 | 月末仕掛品9,000円 |
表の金額は円です。工場全体では、月初4,000円+当月原価21,000円=25,000円が、完成16,000円と月末仕掛品9,000円へ分かれています。
指図書原価と単位原価を分ける
指図書原価は、その指図書で作る製品全体の原価です。1個あたりを求める場合は、対応する製品数量で割ります。
前の例で16,000円をそのまま1個の原価にすると、8個分の原価を1個分として扱ってしまいます。また、未完成のNo.402の原価をNo.401の8個へ足して割るのも誤りです。どの指図書・どの数量に対応する原価かを確かめます。
まとめ
個別原価計算では、材料・作業・配賦の記録を製造指図書へ結び付けます。月初からの累計原価を求め、完成した指図書と未完成の指図書を区別します。単位原価は、その原価に対応する数量で割って求めます。