Lesson 2

個別原価計算の記帳と製品完成

このレッスンで学ぶこと

製造指図書に集めた原価は、完成したら仕掛品から製品へ、販売したら製品から売上原価へ移ります。製造と販売を別の段階として記帳します。

未完成の原価は仕掛品、完成して未販売の原価は製品、販売済みの原価は売上原価に区分する。

未完成・完成未販売・販売済みで、原価を記録する科目を分けます。

原価は仕掛品へ集まる

特定の仕事に使った直接材料費・直接労務費・直接経費と、その仕事へ配賦した製造間接費を、仕掛品に集めます。

ここでは直接経費のない仕事を例にします。例えば直接材料3,000円、直接労務費2,000円、製造間接費配賦額1,000円を仕掛品へ移すとき、借方は合計6,000円です。貸方は、原価の移し元となる材料・賃金・製造間接費に分けます。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕掛品 6,000 材料 3,000
賃金 2,000
製造間接費 1,000

金額の単位は円です。製造に集めた原価を示す仕訳であり、その時点で6,000円を一括して支払ったという意味ではありません。

完成した分だけ製品へ移す

製品は、製造が完了したものの原価を集める資産の勘定です。完成した指図書の累計原価を仕掛品から製品へ振り替えます。

工場全体の原価には、前月から続く製造の分も含まれます。そのため、完成品原価の関係は次のようになります。

完成品原価=月初仕掛品原価+当月製造原価−月末仕掛品原価

月初と当月に集めた原価の合計には、月末になっても未完成の分が含まれています。その分は製品になっていないため差し引き、仕掛品へ残します。個別原価計算では、指図書ごとの完成状況と原価を使って、この区分を確かめます。

例題:当月完成分を振り替える

月初仕掛品原価は6,000円、当月は直接材料費10,000円・直接労務費6,000円・製造間接費配賦額4,000円を仕掛品へ記帳済みであった。月末に未完成の指図書の原価は8,000円で、残りはすべて当月中に完成した。完成時の振替は未記帳であった。

当月完成品原価を求め、完成振替の仕訳を示しなさい。

解答と解説

当月製造原価は10,000+6,000+4,000=20,000円です。月初原価を加え、未完成分を差し引くと、完成品原価は6,000+20,000−8,000=18,000円になります。

完成した製品という資産が増えるので製品を借方へ、製造中の原価が減るので仕掛品を貸方へ記録します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
製品 18,000 仕掛品 18,000

仕掛品の残高は6,000+20,000−18,000=8,000円となり、未完成の指図書の原価と一致します。月初原価を落としたり、未完成分まで製品へ移したりしません。

販売時は売価と原価を別に記録する

製品の売価は顧客に請求する金額、製品原価は製造にかかった原価です。販売時には、売上を計上する仕訳と、売った製品の原価を売上原価へ振り替える仕訳を行います。

例えば、原価15,000円の製品を22,000円で掛け販売し、消費税は考慮しない場合、売上は次の仕訳です。代金を受け取る権利が増えるので売掛金を借方、売上収益を貸方へ記録します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金 22,000 売上 22,000

売った製品の原価は、その販売に対応する費用になります。売上原価を借方へ、資産の製品を貸方へ記録します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
売上原価 15,000 製品 15,000

原価の振替額は売価22,000円ではなく、原価15,000円です。この販売の売上総利益は22,000−15,000=7,000円になります。

完成しても、未販売なら製品に残る

月初製品4,000円に当月完成品18,000円を受け入れ、そのうち原価15,000円分を販売したとします。販売後の製品残高は4,000+18,000−15,000=7,000円です。

状態 残す・移す勘定
製造中で未完成 仕掛品に残す
完成済みで未販売 製品に残す
販売済み 売上原価へ移す

完成しただけで売上や売上原価が発生するわけではありません。未販売の7,000円は製品として残り、その時点では売上原価に含めません。

まとめ

完成した指図書の累計原価を製品へ振り替え、販売した分の原価だけを売上原価にします。月初原価と未完成・未販売の残高を保ち、販売価格と製造原価を分けて記録します。