Lesson 3

補修指図書を用いる仕損費

このレッスンで学ぶこと

製造した品物が必要な品質を満たさず、手直しが必要になることがあります。正常な仕損品を補修し、その補修費を元の製造指図書へ負担させる場合の原価計算を学びます。

正常な仕損品を補修して完成させる。補修の追加原価を、仕損が生じた元の製造指図書へ全額加える。

正常な仕損を補修し、その追加原価を元の製造指図書へ全額加える場合を示しています。

補修指図書で追加の原価を分ける

仕損は、製造した品物が求められる品質や規格を満たさないことです。補修して完成品にできる場合、補修の仕事を指示する補修指図書を発行し、追加で使った材料・作業などの原価を集計します。

資料 集計するもの
元の製造指図書 元の製造の仕事にかかった原価
補修指図書 補修のために追加でかかった原価

補修指図書を発行する場合、その指図書へ集計した製造原価を仕損費とします。補修の直接材料費・直接労務費だけでなく、配賦された製造間接費も含めます。補修に直接経費がかかる場合も、その補修原価へ集めます。

元の指図書原価を、補修指図書へ全額コピーするわけではありません。元の原価と追加原価を分けておくことで、何にどれだけ手直しの原価がかかったかを確認できます。

元の指図書へ賦課する

賦課は、特定の仕事が負担すべき原価を、その仕事へ直接集めることです。ここでは正常な仕損の補修費を、仕損が生じた元の指図書へ全額賦課する条件で計算します。

補修後の指図書原価=補修前の指図書原価+補修指図書の原価

補修費を元の仕事へ加え、手直しも含めた製造原価を求めます。この条件では、補修費を他の仕事にも分担させる計算にはしません。

例題:補修した製品の原価

製造指図書No.701で製品12個を製造し、3個に正常な仕損が見つかった。補修指図書を発行し、直接材料費2,000円、直接労務費3,000円、製造間接費配賦額1,000円を集計した。直接経費はなかった。No.701の補修前原価は36,000円であり、補修費を全額No.701へ賦課した。補修後、元の12個すべてが完成した。

仕損費、補修後の完成品原価合計、および1個あたりの原価を求めなさい。

解答と解説

補修指図書の原価を求める

補修に集計した原価は2,000+3,000+1,000=6,000円です。補修指図書を用いているので、この6,000円が仕損費になります。

補修原価の内訳 金額
直接材料費 2,000
直接労務費 3,000
製造間接費配賦額 1,000
仕損費合計 6,000

金額の単位は円です。追加材料と追加作業だけで5,000円とせず、補修へ配賦した間接費も含めます。

元の指図書へ加える

No.701の補修前36,000円に6,000円を加えます。

完成品原価合計=36,000+6,000=42,000円

ここで元の36,000円を再度補修指図書にも含めると、同じ原価を二重に数えてしまいます。補修で追加した原価だけを加えます。

完成数量で割る

補修した3個は、元の12個に含まれています。手直しによって別の製品が3個増えたわけではないので、完成数量は12個です。

1個あたり原価=42,000÷12個=3,500円

15個で割ったり、補修した3個だけで指図書全体の42,000円を割ったりしません。

補修費がすでに含まれている場合

問題や原価計算表に「補修費込み」と示されている場合は、その額に補修費を重ねて加えません。

例えば、補修費4,000円を含む完成品原価が24,000円、完成数が8個なら、1個あたりは24,000÷8=3,000円です。24,000+4,000とすると、同じ補修費を二度含めることになります。

補修前の額なのか、補修費を加えた後の額なのかを確かめます。原価計算表で元の仕事へ費用を集め直すことは、同じ原価をもう一度発生させる処理ではありません。

まとめ

補修指図書では、手直しに追加でかかった製造原価を仕損費として集計します。元の指図書へ賦課する条件では、その追加原価を一度だけ加えます。同じ製品を補修した個数を、完成数量へ二重に数えないようにします。