Lesson 1
単純総合原価計算と完成品換算量
このレッスンで学ぶこと
同じ種類の製品を続けて作る工場では、当月の原価をまとめ、完成した製品と月末の未完成品に分けます。実際の個数と、完成品何個分に当たるかを示す完成品換算量を区別し、材料費と加工費を配分する方法を学びます。
完成品と仕掛品に原価を分ける
単純総合原価計算は、同じ種類の製品を連続して生産する場合に、製造工程全体を一つにまとめて製品原価を計算する方法です。一定期間に発生した原価から、完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めます。
完成品総合原価は、完成した製品全体の原価です。月末仕掛品原価は、月末にまだ完成していない製品の原価です。完成した分は製品へ移し、未完成の分は仕掛品に残します。
完成品総合原価=月初仕掛品原価+当月製造原価−月末仕掛品原価
月初仕掛品は、前月から加工が続いている未完成品です。前月までの原価も引き継いでいるため、当月の製造原価に加えます。その合計から、月末に未完成のまま残る原価を差し引きます。
まず実際数量を確かめる
原価を配分する前に、製品の個数を確かめます。仕損や減損による数量の減少がない場合、次の関係が成り立ちます。
月初仕掛品数量+当月着手数量=完成数量+月末仕掛品数量
当月着手数量は、当月に新しく作り始めた数量です。例えば、月初仕掛品が20個あり、当月に100個を作り始め、月末に30個が未完成なら、完成数量は20+100−30=90個です。月初から作り続けている20個も、当月に扱った数量に含めます。
ここからは、月初仕掛品がなく、当月に100個を作り始めた場合を考えます。80個が完成し、20個が未完成なら、100=80+20です。図の左側は作り始めた数量、右側はその結果です。

完成品換算量で進み具合をそろえる
完成品80個と未完成品20個では、加工にかかった手間が同じとは限りません。加工進捗度とは、完成までに必要な加工のうち、どれだけ済んでいるかを表す割合です。
加工費が加工の進行に応じて均等に発生する場合、進捗度50%の仕掛品20個に行った加工は、完成品10個分に相当します。このように、未完成品を完成品何個分に当たるかで表した数量が完成品換算量です。
月末仕掛品の加工費完成品換算量=月末仕掛品の実際数量×加工進捗度
20個×50%=10個分
実物の仕掛品が10個に減ったわけではありません。実際数量は20個のままで、そこまでに行った加工の量を10個分と表しています。
材料と加工は別々に換算する
直接材料費と加工費では、原価が発生するタイミングが異なることがあります。加工費は、原材料を製品に加工するための原価で、直接労務費や製造間接費などをまとめたものです。
材料を始点で投入するとは、製造を始めるときに、その製品に必要な材料をすべて投入することです。この場合、加工が半分しか済んでいない仕掛品にも、材料はすでに1個分入っています。
月末仕掛品20個の加工進捗度が50%でも、材料を始点で投入していれば、材料費の完成品換算量は20個分、加工費の完成品換算量は10個分です。加工の進捗度を、材料にもそのまま掛けないようにします。
完成品80個は、材料も加工も80個分です。したがって、月初仕掛品がない場合の当月の換算量は、材料が80+20=100個分、加工が80+10=90個分になります。

例題
当社は1種類の製品を連続生産していた。月初仕掛品はなく、当月着手100個、完成80個、月末仕掛品20個であった。材料はすべて工程の始点で投入し、加工費は加工の進行に応じて均等に発生する。月末仕掛品の加工進捗度は50%であり、仕損・減損はなかった。
当月の直接材料費は30,000円、加工費は18,000円であった。完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めなさい。
解答と解説
まず、直接材料費と加工費をそれぞれの完成品換算量で割り、完成品1個分あたりの原価を求めます。
| 原価 | 当月原価 | 完成品換算量 | 1個分あたりの原価 |
|---|---|---|---|
| 直接材料費 | 30,000 | 80+20=100個分 | 300 |
| 加工費 | 18,000 | 80+20×50%=90個分 | 200 |
次に、この単価に完成品と月末仕掛品それぞれの換算量を掛けます。完成品は両方とも80個分です。月末仕掛品は、材料が20個分、加工が10個分です。
| 原価 | 完成品 | 月末仕掛品 |
|---|---|---|
| 直接材料費 | 300×80=24,000 | 300×20=6,000 |
| 加工費 | 200×80=16,000 | 200×10=2,000 |
| 合計 | 40,000 | 8,000 |
完成品総合原価40,000円と月末仕掛品原価8,000円の合計は、当月原価48,000円と一致します。また、48,000−8,000=40,000円と、完成品総合原価を確かめられます。
加工費18,000円を実際数量100個で割ると、月末仕掛品20個にも完成品と同じだけの加工をしたことになってしまいます。加工費の配分では、進捗度を反映した90個分を使います。
月初仕掛品がある場合の考え方
月初仕掛品がある場合は、前月から引き継いだ原価と、当月に行った製造の原価をどう扱うかを決めます。平均法では月初原価と当月原価を合わせて配分し、先入先出法では月初仕掛品を先に完成させるものとして当月の原価を配分します。いずれの方法でも、材料の投入時点と加工の進み具合を分けて数量を整理することが基礎になります。
まとめ
実際数量では、月初+当月着手=完成+月末を確かめます。原価の配分では、材料費と加工費の完成品換算量を別々に求めます。材料を始点で投入し、加工費が均等に発生する場合、月末仕掛品の材料は実際数量のまま、加工は実際数量に加工進捗度を掛けて計算します。