Lesson 2

平均法による完成品と月末仕掛品

このレッスンで学ぶこと

同じ種類の製品を続けて大量に作る場合、1か月などの期間で原価を集計し、その期間の生産量に負担させる総合原価計算を使います。月末に製造途中の仕掛品が残ったときは、完成した分と、未完成のまま残った分へ原価を分けます。このレッスンでは平均法による分け方を学びます。

学習前に確認すること

仕掛品には製造途中の原価が集まり、完成した分を製品へ振り替えます。ここでは1工程で同一製品を作り、製造原価を直接材料費と加工費に分けます。加工費は、材料を製品に仕上げるための労務費や製造間接費などであり、本レッスンでは直接材料費以外の製造原価をまとめたものです。

まず数量の出入りを確かめる

月初に残っていた仕掛品と当月に着手した数量は、当月に完成した数量と月末の仕掛品に分かれます。仕損や減損がない場合は、次の関係が成り立ちます。

月初仕掛品数量+当月着手数量=完成品数量+月末仕掛品数量

この数量は、実際に存在する個数などを数えたものです。製造途中の個数を、そのまま完成品と同じ重みで加工費の計算に使うわけではありません。

仕掛品を完成品何個分かに直す

月末仕掛品の加工がどこまで進んでいるかを、加工進捗度で示します。加工が均等に進む条件で、100個が60%まで加工されていれば、加工費については完成品60個分の作業が済んだと考えます。このように完成品に換算した数量を「完成品換算量」といいます。

加工費の完成品換算量=仕掛品の実際数量×加工進捗度

直接材料費の換算量は、材料をいつ投入するかで決まります。本レッスンでは材料を工程の始点ですべて投入します。したがって、加工が途中でも必要な材料はすべて入っており、月末仕掛品の直接材料費の換算量は実際数量と同じです。

月末に100個があり加工進捗度60%の場合 完成品換算量 理由
直接材料費 100個 始点で全量を投入済みだからです
加工費 60個 完成品60個分の加工が済んでいるからです

進捗度60%は、個数が60個しかないという意味ではありません。また、この条件で材料費にも60%を掛けると、すでに投入した材料の一部を計算から落としてしまいます。

月末仕掛品250個、加工進捗度60%。材料は始点で全量投入済みなので250個分、加工費は250個掛ける60%で150個分。1つのマスは25個分を表す。

材料は全量投入済みですが、加工は60%まで進んでいます。実際の個数と加工費の完成品換算量を区別します。

平均法は月初原価と当月原価を合わせる

平均法では、月初仕掛品にすでにかかっていた原価と、当月に追加した原価を合わせます。その合計額を、完成品と月末仕掛品の完成品換算量に応じて分けます。

直接材料費と加工費では換算量が異なるため、1個当たりの原価も別々に計算します。

  • 直接材料費単価=直接材料費の合計÷(完成品数量+月末仕掛品の材料費換算量)
  • 加工費単価=加工費の合計÷(完成品数量+月末仕掛品の加工費換算量)

月初にどこまで加工されていたかは、当月だけの作業量を求めるときに関係します。平均法では月初原価も混ぜて計算するため、ここでの分母から月初の作業済み換算量を差し引きません。

例題

当社は同一の樹脂製プレートを1工程で連続生産している。当月の資料は次のとおりであった。直接材料は工程の始点で全量を投入し、加工費は工程を通じて均等に発生する。仕損・減損はなかった。

生産データ 数量 加工進捗度
月初仕掛品 200個 40%
当月着手 800個 —
完成品 750個 100%
月末仕掛品 250個 60%
原価データ 直接材料費 加工費
月初仕掛品原価 48,000円 12,000円
当月製造費用 192,000円 150,000円

平均法により、完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めなさい。

解答と解説

数量と換算量を確認する

実際数量は200+800=750+250=1,000個で一致します。月末の250個は、材料費について250個分、加工費について250×60%=150個分です。

月初仕掛品200個と当月着手800個が、完成品750個と月末仕掛品250個に分かれる。

原価の区分 完成品の換算量 月末仕掛品の換算量 合計
直接材料費 750個 250個 1,000個
加工費 750個 150個 900個

月初と当月の原価を合わせて単価を求める

  • 直接材料費単価:(48,000+192,000)÷1,000=240円/個
  • 加工費単価:(12,000+150,000)÷900=180円/個

加工費の分母を900個とするのは、月末仕掛品の作業が完成品150個分まで進んでいるためです。

完成品と月末仕掛品へ分ける

配分先 直接材料費 加工費 合計
完成品 750×240=180,000円 750×180=135,000円 315,000円
月末仕掛品 250×240=60,000円 150×180=27,000円 87,000円

材料費は月初48,000円と当月192,000円を完成品180,000円と月末60,000円へ配分する。加工費は月初12,000円と当月150,000円を完成品135,000円と月末27,000円へ配分する。

月初原価と当月原価の合計を、完成品と月末仕掛品へ配分します。

完成品315,000円と月末仕掛品87,000円の合計は402,000円で、月初原価60,000円と当月原価342,000円の合計に一致します。

完成した315,000円は、製品という資産へ移すため製品を借方に、仕掛品を貸方に記録します。月末仕掛品87,000円は仕掛品勘定に残します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
製品 315,000 仕掛品 315,000

まとめ

平均法では、月初原価と当月原価を合計し、完成品と月末仕掛品へ配分します。材料の投入時点と加工進捗度を分けて確認し、直接材料費と加工費それぞれの完成品換算量を使います。