Lesson 3

先入先出法による完成品と月末仕掛品

このレッスンで学ぶこと

月初仕掛品には、前月までに投入した材料や加工の原価が含まれています。先入先出法では、その原価を当月に追加した原価と混ぜず、当月に行った作業に注目して計算します。月末仕掛品を当月の原価で評価し、完成品全体の原価を求めます。

学習前に確認すること

月末仕掛品原価を計算するときは、実際数量と完成品換算量を区別します。材料を始点で全量投入するなら材料費の換算量は実際数量と同じですが、加工費の換算量は実際数量に加工進捗度を掛けた数量です。加工費は、ここでは直接材料費以外の製造原価をまとめたものとします。

月初原価は完成品へ引き継ぐ

先入先出法では、月初にあった仕掛品が先に完成すると考えます。本レッスンでは月初仕掛品はすべて当月に完成し、月末仕掛品は当月着手分から残る条件とします。

月初仕掛品原価は、すべて当月の完成品原価に含めます。当月製造費用は、当月中に行った作業に応じて、完成品と月末仕掛品へ配分します。

ここで扱う先入先出法は「修正先入先出法」とも呼ばれます。完成品原価は全体でまとめて求めます。

当月に行った作業量だけを求める

月初仕掛品に入っている材料や、前月までに終えた加工は、当月に追加した作業ではありません。このため、完成品と月末仕掛品に含まれる作業量の合計から、月初にすでに済んでいた作業量を差し引きます。

当月の完成品換算量=完成品数量+月末仕掛品の完成品換算量−月初仕掛品の完成品換算量

この式を直接材料費と加工費に分けて使います。材料が始点投入なら、月初仕掛品にはすでに材料が入っているため、月初数量の全量を差し引きます。加工費は、月初数量に月初加工進捗度を掛けた作業済みの数量だけを差し引きます。

例えば月初仕掛品が120個、加工進捗度25%なら、前月までに済んだ加工は30個分です。残る120×75%=90個分の加工は当月の作業です。月初数量120個の全部を加工費の分母から差し引くわけではありません。

月初仕掛品120個の加工進捗度25%は前月に済んだ加工30個分である。当月に追加する残りの加工は90個分で、前月の30個分を当月の作業量から除く。

月初に済んでいる30個分の加工は前月の作業です。当月に追加する加工は90個分です。

当月の原価から月末仕掛品を評価する

直接材料費と加工費について、それぞれ当月製造費用を当月の完成品換算量で割ります。ここで月初仕掛品原価を分子に加えると、平均法との区別がなくなってしまいます。

月末仕掛品原価を求めたら、月初原価と当月原価の合計から差し引くことで、完成品総合原価を求められます。

完成品総合原価=月初仕掛品原価+当月製造費用−月末仕掛品原価

この最後の一致関係は平均法と同じですが、月末仕掛品の評価に使う単価の計算が違います。

例題

当社は同一の紙製パッケージを1工程で連続生産している。当月の資料は次のとおりであった。直接材料は始点で全量を投入し、加工費は均等に発生する。月初仕掛品はすべて当月に完成し、月末仕掛品は当月着手分であった。仕損・減損はなかった。

生産データ 数量 加工進捗度
月初仕掛品 120個 25%
当月着手 480個 —
完成品 450個 100%
月末仕掛品 150個 40%
原価データ 直接材料費 加工費
月初仕掛品原価 24,000円 3,000円
当月製造費用 120,000円 96,000円

先入先出法により、完成品総合原価と月末仕掛品原価を求めなさい。

解答と解説

当月に追加した数量を求める

実際数量は120+480=450+150=600個で一致します。

直接材料は月初仕掛品の120個に投入済みです。当月の材料費換算量は、450+150−120=480個です。

加工費は、月末仕掛品150×40%=60個分を加え、月初に済んでいた120×25%=30個分を差し引きます。当月の加工費換算量は、450+60−30=480個です。

同じ480個になったのは、この例題の条件によるものです。材料費と加工費の換算量が常に等しくなるわけではありません。

当月原価で単価を計算する

原価の区分 当月製造費用 当月の換算量 当月の単価
直接材料費 120,000円 480個 250円/個
加工費 96,000円 480個 200円/個

月初原価27,000円は、この単価の分子には加えていません。

月末仕掛品と完成品の原価を求める

月末仕掛品は材料150個分と加工60個分です。

月末仕掛品原価=150×250+60×200=49,500円

月初原価は24,000+3,000=27,000円、当月原価は120,000+96,000=216,000円です。ここから月末仕掛品原価を差し引きます。

完成品総合原価=27,000+216,000−49,500=193,500円

別の見方でも確かめられます。当月の原価216,000円のうち完成品に配分された額は216,000−49,500=166,500円です。これに月初原価27,000円を引き継ぐため、完成品は193,500円となります。

平均法との違いを整理する

比べる点 平均法 先入先出法
単価の計算に使う原価 月初原価と当月原価の合計 当月原価
単価の分母 完成品と月末仕掛品の換算量の合計 左の合計から月初の作業済み換算量を差し引いた数量
月初原価の扱い 当月原価と合わせて配分 完成品原価へ全額引き継ぐ

原価と数量の期間をそろえることが大切です。当月原価だけを使うなら、分母も当月に追加した材料や加工の数量にします。

材料を途中で追加するとき

これまでは材料を始点で全量投入しましたが、途中で追加する場合もあります。材料の種類ごとに投入条件を確かめ、加工費とは別に完成品換算量を求めます。以下は材料を追加しても製品の個数が増えない場合です。

材料を入れる時点 月末仕掛品に含まれる材料の量
始点で全量 月末仕掛品の実際数量分
加工の途中で一度に全量 投入済みなら実際数量分、投入前ならゼロ
加工の進行に応じて均等 実際数量×投入の進捗度

例えば、完成72個、月末仕掛品24個・進捗度25%、月初仕掛品なしとします。B材料は加工50%の地点で全量、C材料は工程全体で均等に投入しています。

B材料は、完成品には入っていますが、月末仕掛品にはまだ入っていません。したがって、B材料費の配分数量は完成72個+月末0個=72個分です。B材料費が14,400円なら、全額が完成品原価になります。

C材料の配分換算量は、完成72個+月末24×25%=78個分です。C材料費7,800円なら1個分100円で、月末仕掛品へ600円、完成品へ7,200円を配分します。

同じ24個の仕掛品でも、B材料は0個分、C材料は6個分です。途中点で一度に入れる材料に、加工進捗度25%をそのまま掛けません。月初仕掛品がある先入先出法では、材料ごとに前月までの投入済み換算量を差し引きます。

まとめ

先入先出法では、前月までの原価と当月の原価を分けます。月初の作業済み部分を当月の換算量から除き、月末仕掛品を当月の単価で評価します。月初原価は完成品全体の原価へ引き継ぎます。