Lesson 5
工程別総合原価計算の累加法
このレッスンで学ぶこと
加工、組立てなどの工程を順に通る製品は、工程ごとに原価を計算できます。累加法では、前工程で完成した分の原価を次工程へ引き継ぎ、そこで加えた原価を積み上げます。

工程が進んでも、それまでにかかった原価を次の工程へ引き継ぎます。
前工程費を次の工程へ引き継ぐ
前工程費は、前の工程で完成し、次の工程へ受け入れた製品の原価です。第1工程が終わっても、第2工程で加工が続くなら、まだ会社全体の完成品ではありません。
累加法では、前工程から受け入れた原価と、当工程で追加した材料費・加工費を合わせて、当工程の完成品と月末仕掛品へ配分します。
当工程で配分する原価=当工程の月初仕掛品原価+当月受入前工程費+当工程で当月追加した原価
前工程費を含めて第2工程の完成品原価を計算した後に、さらに第1工程原価を足すと二重計上になります。
工程間の振替額は完成した分
第1工程の完成品原価は、月初原価と当月原価から、まだ第1工程で未完成の原価を差し引いて求めます。
第1工程完成品原価=第1工程月初仕掛品原価+第1工程当月原価−第1工程月末仕掛品原価
例えば月初1,000円、当月9,000円、月末2,000円なら、完成品原価は8,000円です。完成分を全量第2工程へ移す場合、仕掛品を工程別に記帳すると次の仕訳になります。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 仕掛品(第2工程) | 8,000 | 仕掛品(第1工程) | 8,000 |
金額の単位は円です。第2工程で引き継ぐ原価が増えるので借方、第1工程に残る原価が減るので貸方です。第1工程に残る2,000円まで第2工程へ移しません。
前工程費と当工程加工費の換算量を分ける
第2工程の始点で第1工程完成品を受け入れる場合、第2工程の仕掛品には前工程分の原価がすでに全額入っています。第2工程の加工が50%でも、前工程費まで50%になったわけではありません。
| 原価 | 第2工程の月末仕掛品に使う数量 |
|---|---|
| 始点で受け入れた前工程費 | 月末仕掛品の実際数量 |
| 第2工程の加工費 | 月末仕掛品数量×第2工程加工進捗度 |
加工費は当工程で加えた労務費・製造間接費などの原価です。前工程費と加工費を分け、それぞれに対応する完成品換算量で配ります。月初仕掛品がある平均法なら、それぞれの月初原価と当月原価を合わせてから配分します。
例題:第2工程の完成分と未完成分
第2工程には月初仕掛品がなく、第1工程から20個を原価8,000円で受け入れた。受入れは第2工程の始点で行い、第2工程では当月加工費3,600円を加えた。16個が完成し、月末仕掛品4個の加工進捗度は50%であった。追加材料・仕損・減損はなく、加工は均等に進むものとする。
第2工程の完成品原価と月末仕掛品原価を求めなさい。
解答と解説
数量は受入20個=完成16個+月末4個です。前工程費の配分数量は20個、加工費の配分数量は16+4×50%=18個分になります。
前工程費の単価=8,000÷20=400円
第2工程加工費の換算量1個分あたり=3,600÷18=200円
| 原価 | 完成16個 | 月末仕掛品4個 |
|---|---|---|
| 前工程費 | 400×16=6,400 | 400×4=1,600 |
| 第2工程加工費 | 200×16=3,200 | 200×2=400 |
| 合計 | 9,600 | 2,000 |
完成9,600円+月末2,000円=11,600円は、受入前工程費8,000円+当月加工費3,600円と一致します。
月末4個は第1工程では完成しているため、前工程費は4個分です。第2工程の加工費だけが4×50%=2個分になります。前工程費と加工費を一緒に50%にしないようにします。
第2工程が最終工程なら、完成した9,600円は製品へ振り替えます。月末の2,000円は仕掛品(第2工程)へ残します。
まとめ
累加法では、前工程の完成品原価を次工程へ引き継ぎ、その工程で追加した原価を加えます。前工程費と当工程加工費の換算量を分け、完成品と仕掛品の原価合計が投入原価に一致するか確かめます。