Lesson 1

標準原価と標準原価カード

このレッスンで学ぶこと

実際にいくらかかったかを集計するだけでなく、製品を作るための数量・時間・単価の基準を先に決めることができます。標準原価カードを読み、完成品や仕掛品の標準原価を求めます。

材料の標準数量や作業の標準時間と、対応する単価などを設定し、製品1個あたりの標準原価カードを作る。

製品1個の標準数量・標準時間と単価を先に定め、標準原価カードにまとめます。

標準原価は数量と価格の両方から決める

標準原価は、製造に必要と考える材料数量・作業時間と、それに対応する価格・賃率などを用いて定める原価です。実際原価と比べ、どこに差が生じたかを確かめることで原価管理に役立てます。

予定単価に実際数量を掛ける計算と異なり、標準原価では数量や時間にも標準を使います。ただし、実際に作った量に対応する標準原価と比較することが大切です。予定生産量と実際生産量を混ぜません。

標準原価カードを読む

標準原価カードは、製品1個あたりの標準原価の内訳を示す表です。材料は標準数量×標準価格、労務費は標準時間×標準賃率、製造間接費は標準時間など×標準配賦率で計算します。

例えば、次のカードでは直接経費がないものとします。

原価 1個あたりの標準 1個あたり原価
直接材料費 3kg×100円/kg 300
直接労務費 2時間×200円/時間 400
製造間接費 2時間×150円/時間 300
合計 1,000

金額の単位は円です。製品1個の標準原価は1,000円です。この例の加工費は直接労務費400円と製造間接費300円の合計700円です。

実際に作った量へ標準を当てはめる

完成品10個なら、標準材料数量は3×10=30kg、標準作業時間は2×10=20時間、標準原価は1,000×10=10,000円です。

この30kgや20時間は、実際に使った数量・時間ではありません。「10個を標準どおり作るなら必要となる数量・時間」です。実際に32kgや22時間を使っていた場合、その差を別に比較します。

比べる数値 意味
実際数量・実際時間 実際に消費した材料や作業時間
実際生産量に対する標準数量・標準時間 実際の生産量を標準どおり作る場合の数量や時間

仕掛品には進捗に合う標準原価を使う

月末に未完成の仕掛品がある場合、完成品1個の標準原価をそのまま実際個数へ掛けるとは限りません。材料の投入時点と加工進捗度を分けて考えます。

材料を始点で全量投入するなら、仕掛品にも1個分の材料が入っています。一方、加工が均等に進む条件で加工進捗度50%なら、加工費は完成品の50%分です。

例題:月末仕掛品の標準原価

製品1個の標準直接材料費は300円、標準加工費は700円であった。材料は始点で全量投入し、加工は均等に進むものとする。月末仕掛品は2個、加工進捗度は50%であった。

月末仕掛品の標準原価を求めなさい。

解答と解説

材料費は実際2個分なので、300×2=600円です。加工費の完成品換算量は2×50%=1個分なので、700×1=700円です。

原価 計算 金額
直接材料費 300×2個 600
加工費 700×1個分 700
月末仕掛品 1,300

完成品2個分の2,000円にはしません。また、材料費まで50%にすると、すでに投入済みの材料を半分しか計上しないことになります。

月初仕掛品があるときの当月標準時間

差異分析では、当月に実際に使った時間と、当月に行った生産に必要な標準時間を比べます。月初仕掛品で前月までに済んだ加工は、当月の作業から除きます。

当月加工の完成品換算量=当月完成量+月末仕掛品量×月末進捗度−月初仕掛品量×月初進捗度

当月標準時間=当月加工の完成品換算量×完成品1個あたり標準時間

例題

月初仕掛品は60個・進捗度30%、当月完成は240個、月末仕掛品は40個・進捗度70%であった。1個を完成させる標準作業時間は2時間であり、加工は均等に進む。仕損・減損はない。

当月の加工量は240+40×70%−60×30%=250個分です。したがって、当月標準時間は250×2=500時間です。

加工量の内訳 完成品換算量
完成品に含まれる加工 240個分
月末仕掛品まで進めた加工 28個分
前月までに済んだ月初仕掛品の加工 控除18個分
当月に行った加工 250個分

完成240個だけに2時間を掛けた480時間では、月初・月末仕掛品の作業差が反映されません。実際に520時間かかった場合、能率差異で比べる時間は実際520時間と標準500時間です。

まとめ

標準原価カードでは、標準数量・標準時間と単価を掛けて1個の標準原価を求めます。実際生産量に対応する標準と実際消費を区別し、仕掛品は材料の投入時点と加工進捗度に応じて評価します。