Lesson 2
材料費・労務費の標準原価差異
このレッスンで学ぶこと
材料費が標準より多かったとき、原因は単価が高かったことか、量を多く使ったことかで異なります。材料費と労務費の差を、価格・賃率の差と、数量・時間の差に分けます。

同じ実際生産量の材料費差異を単価・使用量に分け、有利・不利の方向をそろえて合計します。
同じ実際生産量に対応する標準と比べる
材料費の標準原価は、その実際生産量に対応する標準消費量×標準価格です。実際材料費は、実際消費量×実際消費価格です。実際額が標準額を上回る差は不利、下回る差は有利になります。
労務費でも、実際生産量に対応する標準作業時間×標準賃率を、実際時間×実際賃率と比べます。生産量が違うまま比較して、差のすべてを効率の良し悪しとしないようにします。
材料費を価格と数量に分ける
| 差異 | 比べるもの | 差に掛ける基準 |
|---|---|---|
| 材料価格差異 | 標準価格と実際消費価格 | 実際消費量 |
| 材料数量差異 | 標準消費量と実際消費量 | 標準価格 |
価格差異では、実際に使った数量について単価の違いを測ります。数量差異では、単価を標準価格にそろえ、数量の使い過ぎ・節約を測ります。数量差異にも実際価格を掛けると、価格の影響を重ねて数えてしまいます。
例題:材料の価格差異と数量差異
当月の実際生産量に対する標準材料消費量は20kg、標準価格は100円/kgであった。実際消費量は22kg、実際消費価格は120円/kgであった。
材料価格差異と材料数量差異の金額、有利・不利を答えなさい。
解答と解説
価格差異
実際価格120円が標準100円より20円高く、その価格で22kgを消費しています。
価格差異=20×22=440円の不利
数量差異
実際22kgは標準20kgより2kg多いので、標準価格100円を使って差を測ります。
数量差異=2×100=200円の不利
差異の合計は440+200=640円の不利です。実際材料費22×120=2,640円と、標準材料費20×100=2,000円の差640円に一致します。
価格差異に標準数量20kgを掛けると400円になり、数量差異200円と合わせても600円にしかならず、全体の差と一致しません。
労務費を賃率と時間に分ける
| 差異 | 比べるもの | 差に掛ける基準 |
|---|---|---|
| 賃率差異 | 標準賃率と実際賃率 | 実際作業時間 |
| 作業時間差異 | 標準作業時間と実際作業時間 | 標準賃率 |
材料の単価を賃率、数量を時間に置き換えると、同じ形で考えられます。賃率差異は実際の時間に対する単価の差、時間差異は賃率を標準にそろえた時間の差です。
例題:単価は高いが、短時間で完成した場合
当月の実際生産量に対する標準作業時間は20時間、標準賃率は400円/時間であった。実際作業時間は16時間、実際賃率は450円/時間であった。
賃率差異と作業時間差異の金額、有利・不利を答えなさい。
解答と解説
実際賃率は標準より50円高いため、賃率差異は50×16=800円の不利です。
実際時間は標準より4時間少ないため、時間差異は4×400=1,600円の有利です。
| 差異 | 金額と方向 |
|---|---|
| 賃率差異 | 800円の不利 |
| 作業時間差異 | 1,600円の有利 |
| 差引 | 800円の有利 |
実際労務費は16×450=7,200円、標準労務費は20×400=8,000円です。実際額が800円少ないので、差引800円の有利と一致します。
有利と不利が混在するときは、金額を全部足すのではなく、方向をそろえて差し引きます。単価が高いからといって、労務費全体も必ず不利になるとは限りません。
差異の名前と対象を確認する
ここでの材料価格差異は、消費した材料の標準原価と実際原価を比べる差異です。材料の受入れ段階で計算する差異と混同せず、問題が消費量と購入量のどちらを対象としているか確認します。
また、差異の名前は原因を分析する手掛かりです。有利差異だけで品質や納期まで良いと断定せず、実際の内容を確かめます。
まとめ
価格・賃率の差は実際数量・実際時間で測り、数量・時間の差は標準価格・標準賃率で測ります。分けた差異を有利・不利も含めて合計し、実際原価と標準原価の差に一致するか確かめます。