Lesson 3
製造間接費の標準原価差異
このレッスンで学ぶこと
製造間接費の標準原価では、実際に使った時間だけでなく、実際生産量に対する標準時間も使います。予算差異・操業度差異・能率差異に分け、実際額と標準配賦額の差を確かめます。

能率差異に固定費を含める三分法で、実際発生額と標準配賦額の差を分けます。
三つの時間を分ける
| 時間・操業度 | 意味 |
|---|---|
| 基準操業度 | 配賦率を決める基礎とした活動量 |
| 実際作業時間 | 実際に製造へ使った時間 |
| 実際生産量に対する標準時間 | その生産量を標準どおり作るなら必要な時間 |
標準配賦額は、標準配賦率×実際生産量に対する標準時間です。予定率に実際時間を掛ける配賦額とは、時間の基準が異なります。
固定費率と変動費率
固定費率=固定費予算÷基準操業度
標準配賦率=固定費率+変動費率
例えば固定費予算6,000円、基準操業度60時間、変動費率100円/時間なら、固定費率は100円、標準配賦率は200円/時間です。実際作業時間50時間に対応する公式法変動予算は6,000+100×50=11,000円になります。
能率差異に固定費を含める三分法
ここでは、能率差異に固定費も含める三分法を用います。差異の分け方の条件をそろえ、次の三つを比較します。
| 差異 | 比較する金額・時間 |
|---|---|
| 予算差異 | 実際操業度に対応する変動予算と実際発生額 |
| 操業度差異 | 固定費率に、基準操業度と実際作業時間の差を掛ける |
| 能率差異 | 標準配賦率全体に、標準時間と実際作業時間の差を掛ける |
実際額が予算を超えた分は予算の不利差異です。実際操業度が基準より低ければ固定費の配賦不足になり、操業度差異は不利です。実際時間が実際生産量に対する標準時間より多ければ、能率差異は不利になります。
この分け方では、能率差異に変動費率だけを掛けません。固定費率も含めた標準配賦率を使います。
年間予算を当月にそろえる
年間予算が示されたら、差異を計算する月の金額へそろえます。例えば年間固定費予算48,000円、年間変動費予算48,000円、年間基準操業度480時間で、月間予算・操業度は年間の12分の1とする条件なら、次のようになります。
| 項目 | 計算 | 当月に使う数値 |
|---|---|---|
| 固定費率・変動費率 | それぞれ48,000÷480 | 各100円/時間 |
| 月間固定費予算 | 48,000÷12 | 4,000円 |
| 月間基準操業度 | 480÷12 | 40時間 |
この数値が次の例題の当月条件です。月別の基準操業度が別に指定されていれば、その値を使います。不利差異は借方差異、有利差異は貸方差異とも呼びます。
例題:三つの差異を求める
当月の固定費予算は4,000円、基準操業度は40時間、変動費率は100円/時間であった。実際作業時間は30時間、実際生産量に対する標準時間は25時間、実際製造間接費は7,500円であった。
能率差異に固定費を含める三分法で、予算差異・操業度差異・能率差異の金額と有利・不利を求めなさい。
解答と解説
固定費率は4,000÷40=100円/時間、標準配賦率は100+100=200円/時間です。
予算差異
実際30時間の変動予算は4,000+100×30=7,000円です。実際発生額7,500円は500円多いので、予算差異は500円の不利です。
操業度差異
実際時間30時間は基準40時間より10時間少なく、固定費の配賦不足が生じます。
操業度差異=100×(40−30)=1,000円の不利
能率差異
実際30時間は、当月の生産量に対応する標準25時間より5時間多くなっています。この三分法では固定費を含む標準配賦率200円を掛けます。
能率差異=200×(30−25)=1,000円の不利
全体の差へつなげる
三つの差異の合計は500+1,000+1,000=2,500円の不利です。
標準配賦額は200×標準25時間=5,000円なので、実際7,500−標準5,000=2,500円と一致します。実際30時間に掛けた6,000円との差1,500円だけでは、標準原価との差をすべて捉えていません。
| 比較の段階 | 金額 |
|---|---|
| 実際発生額 | 7,500 |
| 実際30時間の変動予算 | 7,000 |
| 実際30時間に率200円を掛けた額 | 6,000 |
| 標準25時間による標準配賦額 | 5,000 |
金額の単位は円です。上からの差500、1,000、1,000が、それぞれ予算・操業度・能率の差異に対応します。
実際時間が短ければ能率差異は有利
標準時間30時間に対して実際20時間、標準配賦率200円/時間なら、時間を10時間少なく使っているので、能率差異は200×10=2,000円の有利です。
ただし、能率差異が有利でも、他の差異と合わせた全体が有利とは限りません。例えば標準配賦額6,000円に対して実際発生額6,500円なら、全体は500円の不利です。時間差だけで全体の方向を決めません。
まとめ
基準操業度・実際時間・標準時間を区別します。能率差異に固定費を含める三分法では、予算差異と固定費率による操業度差異に加え、標準配賦率全体による能率差異を求めます。三つの差引を、実際額と標準配賦額の差で検算します。