Lesson 3
直接原価計算による損益計算書
このレッスンで学ぶこと
費用を変動費と固定費に分けると、販売量と利益の関係をつかみやすくなります。直接原価計算では、変動製造原価を製品に集め、固定製造原価はその期の費用として損益計算します。

変動費・固定費には、それぞれ対応する販売費及び一般管理費も含めて計算します。
「直接」は直接費だけという意味ではない
直接原価計算は、変動原価計算とも呼ばれます。製品への直接費だけを集める方法ではありません。製造間接費のうち変動する部分も、製品原価に含めます。
| 原価 | 直接原価計算での扱い |
|---|---|
| 変動製造原価 | 製品に含め、販売した分を売上原価にする |
| 固定製造原価 | 当期の費用にする |
| 販売費及び一般管理費 | 製品原価に含めず、当期の損益計算へ入れる |
未販売製品には変動製造原価が残りますが、固定製造原価を翌期へ繰り越しません。固定製造原価も費用であり、計算から消してしまうわけではありません。
損益計算書の順序
売上高から変動売上原価と変動販売費及び一般管理費を引くと、貢献利益になります。その後、固定製造原価と固定販売費及び一般管理費を差し引いて営業利益を求めます。
貢献利益=売上高−変動売上原価−変動販売費及び一般管理費
営業利益=貢献利益−固定製造原価−固定販売費及び一般管理費
直接原価計算の貢献利益は、売上総利益とは異なります。費用を変動・固定という観点で分けた利益です。
例題:貢献利益と営業利益
当期の売上高は40,000円、変動売上原価16,000円、変動販売費及び一般管理費4,000円、固定製造原価8,000円、固定販売費及び一般管理費2,000円であった。
直接原価計算による貢献利益と営業利益を求めなさい。
解答と解説
まず変動費を差し引きます。40,000−16,000−4,000=20,000円が貢献利益です。ここから固定費8,000+2,000=10,000円を引くと、営業利益は10,000円になります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 売上高 | 40,000 |
| 変動売上原価 | 16,000 |
| 変動販売費及び一般管理費 | 4,000 |
| 貢献利益 | 20,000 |
| 固定製造原価 | 8,000 |
| 固定販売費及び一般管理費 | 2,000 |
| 営業利益 | 10,000 |
金額の単位は円です。固定製造原価は費用として差し引いていますが、製品原価には含めていません。
未販売製品に残る原価
例えば、月初製品がなく当月30個を製造して20個を販売し、仕掛品は月初・月末ともなかったとします。1個あたり変動製造原価が300円なら、月末製品10個の原価は10×300=3,000円です。
当期固定製造原価が6,000円であっても、直接原価計算では、そのうち未販売分を製品へ加えません。固定製造原価6,000円は当期費用です。
| 原価の行先 | 金額 |
|---|---|
| 販売した20個の変動製造原価 | 6,000 |
| 未販売10個の変動製造原価 | 3,000 |
| 当期費用にする固定製造原価 | 6,000 |
原価がなくなるのではなく、製品に残すものと当期費用にするものの分け方が異なります。
管理のための計算と財務報告を区別する
直接原価計算は、販売量と利益の関係を把握するために役立ちます。一方、財務報告のためには、固定製造原価も棚卸資産と売上原価へ配分する全部原価計算との調整が必要です。
社内の利益分析で固定製造原価を期間費用にすることと、外部報告の棚卸資産から固定製造原価を無条件に除いてよいことは、同じではありません。
まとめ
直接原価計算では変動製造原価だけを製品へ含め、固定製造原価は当期費用にします。貢献利益から固定費を差し引いて営業利益を求め、未販売製品には変動製造原価が残ることを確認します。