Lesson 3
このレッスンで学ぶこと
銀行勘定調整表では、記録時期のずれに加えて、小切手をまだ渡していない場合や、記帳に誤りがある場合も整理します。このレッスンでは、未渡小切手と記帳誤りの修正を学びます。
小切手による支払いは、相手に小切手を渡したときに記録します。銀行でまだ引き落とされていない場合は、相手に渡しているか、当社が支払いを記帳しているかを確認します。
| 状況 | 内容 | 修正仕訳とその理由 |
|---|---|---|
| 未取付小切手 | 小切手は相手へ交付済み。当社は正しく支払いを記帳したが、銀行ではまだ未決済 | 不要。当社は交付済みの支払いを正しく記帳しているため |
| 未渡小切手 | 小切手を作成したが、相手に渡さず、当社の手元にある | 支払いを記帳済みなら必要。未記帳なら不要 |
未渡小切手について、すでに支払いを記帳している場合は、まだ相手に渡していないのに、帳簿だけが支払済みになっています。この場合は、早く記録しすぎた支払いを取り消します。支払いをまだ記帳していなければ、取消しの仕訳は不要です。
たとえば、買掛金58,000円の支払いとして「買掛金/当座預金」を記帳していたなら、その逆の仕訳です。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
当座預金 | 58,000 | 買掛金 | 58,000 |
当座預金と、まだ支払っていない買掛金を両方戻します。固定資産の購入代金など別の支払いであれば、元の債務の勘定科目を確かめてください。
記帳誤りは、誤った仕訳の逆仕訳と、本来の正しい仕訳を合わせて訂正します。ここでは勘定科目と借方・貸方は正しく、金額だけを誤っているため、正しい金額と記帳済みの金額との差額を修正します。
例題1
当社は、買掛金46,800円を当座預金から支払ったが、64,800円と誤って記帳していた。銀行は46,800円で正しく処理していた。修正仕訳を示しなさい。
当社は、買掛金と当座預金をそれぞれ64,800−46,800=18,000円多く減らしています。したがって、資産の増加として「当座預金」勘定を借方に、負債の増加として「買掛金」勘定を貸方に記録して戻します。よって、仕訳は以下のようになります。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
当座預金 | 18,000 | 買掛金 | 18,000 |
46,800円の支払い全額をもう一度記帳するのではなく、誤っている差額だけを修正します。
銀行が他社の出金を当社の口座から引き落としていた場合、銀行の残高はその分だけ少なくなっています。調整表では、銀行側にその金額を加算します。
当社が正しく記帳している場合、当社の修正仕訳は不要です。他社の出金は当社の費用ではないため、費用として記録しません。
銀行が当社と無関係な入金を誤って加算していた場合は、逆に銀行側から減算します。
企業残高基準法では、当社の調整前残高を、銀行の調整前残高に合わせます。
例題
決算日の当座預金残高は、当社の帳簿で738,500円、銀行の残高証明書で803,000円であった。不一致の原因は、次の6件だけであった。
買掛金の支払いとして小切手58,000円を振り出し、支払いを記帳したが、小切手はまだ当社の手元にあり、相手へ渡していなかった。
買掛金46,800円の当座預金からの支払いを、当社が64,800円と誤記していた。銀行の処理は正しかった。
銀行手数料1,500円の引落しを、当社が記帳していなかった。
当日預け入れた37,000円は、当社では正しく記帳済みであったが、銀行では翌日に処理された。
相手に交付済みの小切手36,000円が未取付であった。当社は正しく支払いを記帳済みであった。
銀行が他社の出金9,000円を、誤って当社の口座から引き落としていた。当社の帳簿には、この出金の記録はなかった。
企業残高基準法による銀行勘定調整表を作成し、当社の修正仕訳を示しなさい。なお、消費税は考慮せず、手数料には「支払手数料」を用いる。同じ科目は合算・相殺して1行で表すこと。
| 番号 | 原因 | 調整する側 | 加減 | 仕訳の要否・理由 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 未渡小切手 | 当社 | +58,000 | 必要。交付前の支払いを取り消す |
| 2 | 当社の支払額の誤記 | 当社 | +18,000 | 必要。多く記帳した支払額を戻す |
| 3 | 未通知の手数料 | 当社 | −1,500 | 必要。未記帳の手数料を補う |
| 4 | 未達預金 | 銀行 | +37,000 | 不要。当社は預入れを正しく記帳済み |
| 5 | 未取付小切手 | 銀行 | −36,000 | 不要。当社は交付済みの支払いを正しく記帳済み |
| 6 | 銀行の誤引落し | 銀行 | +9,000 | 不要。当社の取引ではない |
| 区分 | 内容 | 金額 円 |
|---|---|---|
| 出発点 | 当社の調整前残高 | 738,500 |
| 加算 | 未渡小切手 | 58,000 |
| 加算 | 当社の支払額の誤記 | 18,000 |
| 加算 | 未取付小切手 | 36,000 |
| 減算 | 未通知の手数料 | △1,500 |
| 減算 | 未達預金 | △37,000 |
| 減算 | 銀行の誤引落し | △9,000 |
| 到達点 | 銀行の調整前残高 | 803,000 |
この表の到達点803,000円は、銀行の調整前残高です。正しい当座預金残高は、次のように当社側と銀行側の両方から確認できます。
当社側:738,500+58,000+18,000−1,500=813,000円
銀行側:803,000+37,000−36,000+9,000=813,000円
当社側と銀行側の調整後残高は、ともに813,000円となります。
1と2では、当座預金と買掛金を合計76,000円戻します。3では、手数料1,500円を記録します。
次は、それらを1つにまとめ、同じ科目を相殺した仕訳です。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
当座預金 | 74,500 | 買掛金 | 76,000 |
支払手数料 | 1,500 |
当座預金の増加は、58,000+18,000−1,500=74,500円です。借方合計74,500+1,500=76,000円は、貸方合計と一致します。
4〜6について、当社は仕訳しません。
レッスン2の両者区分調整法では、当社側と銀行側をそれぞれ正しい残高に合わせました。
例題2の企業残高基準法を計算式で表すと、次のようになります。
738,500+58,000+18,000−1,500−37,000+36,000−9,000=803,000円
当社側の修正を行うと813,000円になります。そこから銀行の調整前残高へ戻すため、銀行側の調整は符号を反対にします。未達預金37,000円と誤引落し9,000円は減算し、未取付小切手36,000円は加算します。
銀行の調整前残高から当社の調整前残高に合わせる形式は、銀行残高基準法といいます。問題では、方式名とともに、表の最初と最後がどの残高かを確認しましょう。
表の加減を、そのまま当社の仕訳に置き換えることはできません。この例題で当社が修正仕訳をするのは1〜3だけであり、形式が変わっても同じです。
例題
例題2の未渡小切手58,000円について、当社は支払いの仕訳をまだしていなかったとする。この1件について、当社の修正仕訳が必要か答えなさい。
不要です。 相手に渡しておらず、帳簿でも支払済みにしていないので、取り消す記帳がありません。「未渡小切手」という名前だけでなく、当社が何を記帳したかまで確認することが大切です。
未取付と未渡は、相手への交付の有無で区別する
当社の誤記は、正しい仕訳と記帳済みの仕訳の差を直す
銀行の誤記は銀行側で調整し、当社に誤りがなければ仕訳しない
表の形式が変わっても、当社の修正仕訳は変わらない
このレッスンは、2027年3月31日までの試験範囲に対応しています。