Lesson 9
未記帳の決算整理をまとめて反映する
このレッスンで学ぶこと
複数の決算整理事項があるときは、記帳済みの処理と未記帳の処理を分けます。今回追加する額だけを取り出し、利益や資産・負債の合計へ反映する流れを学びます。

記帳済みの処理は重ねず、未記帳の決算整理だけを追加します。利益・残高への影響は増加・減少・変化なしのいずれかです。
まず記帳の有無を確認する
現在の帳簿から求めた利益や残高には、すでに記帳した取引が含まれています。同じ決算整理をもう一度加えると、費用や収益を二重に計上してしまいます。
| 確認すること | 今回の処理 |
|---|---|
| 必要な決算整理が記帳済み | 同じ処理を追加しない |
| 決算整理が未記帳 | 必要な仕訳を追加する |
| 引当金を差額補充する | 必要残高と現在残高の差額を追加する |
税引前利益は、税金費用を差し引く前の利益です。これを修正するときは、未記帳の収益を加え、未記帳の費用を差し引きます。
例題 記帳済みの減価償却を重ねない
現在の帳簿による税引前利益は12,000円で、当期減価償却費3,000円は記帳済みであった。未記帳事項は、貸倒引当金の差額補充と、売買目的有価証券の評価替えだけである。貸倒引当金の必要残高は1,800円、現在の貸方残高は1,200円であった。有価証券の帳簿価額は10,000円、期末時価は12,000円であった。
貸倒引当金の追加繰入額=1,800−1,200=600円
有価証券評価益=12,000−10,000=2,000円
貸倒引当金繰入は費用が増えるため借方、貸倒引当金は資産からの控除額が増えるため貸方に記録します。また、有価証券の増加は借方、評価益という収益の増加は貸方です。
今回追加する仕訳は、次の二つです。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
貸倒引当金繰入 | 600 | 貸倒引当金 | 600 |
売買目的有価証券 | 2,000 | 有価証券評価益 | 2,000 |
減価償却費3,000円は、元の利益12,000円にすでに反映されています。
整理後の税引前利益=12,000−600+2,000=13,400円
必要残高1,800円を全額費用にしたり、減価償却費3,000円を再び差し引いたりしないようにします。
利益と残高の両方を見る
決算整理は利益だけでなく、資産や負債にも反映されます。
| 未記帳の処理 | 税引前利益への影響 | 残高への影響 |
|---|---|---|
| 貸倒引当金の追加繰入れ | 減少 | 対象債権の差引額が減少 |
| 減価償却費の計上 | 減少 | 固定資産の差引額が減少 |
| 未収利息の計上 | 増加 | 資産が増加 |
| 商品保証引当金の追加繰入れ | 減少 | 負債が増加 |
| 売買目的有価証券の評価益 | 増加 | 有価証券が増加 |
同じ「引当金」でも、貸倒引当金は資産の控除項目、商品保証引当金は負債です。残高を集計するときも、反映する場所を分けます。
また、全部純資産直入法によるその他有価証券評価差額金は、純資産へ直接計上する項目です。その増加額を、売買目的有価証券の評価益と同じように税引前利益へ加えません。
例題 資産と負債をまとめて修正する
整理前の資産合計は控除項目を差し引いて45,000円、負債合計は15,000円であった。未記帳事項は、当期分の未収利息2,000円、備品の当期減価償却費3,000円、商品保証引当金の差額補充だけである。商品保証引当金は現在の貸方残高1,000円、必要残高4,000円で、計上要件を満たしている。減価償却は間接法とし、税金・税効果は考慮しない。
未収利息は、まだ受け取っていない当期の利息です。資産である未収収益の増加を借方、受取利息という収益の増加を貸方に記録します。
減価償却では、費用の増加を借方、資産から控除する減価償却累計額の増加を貸方に記録します。商品保証引当金の追加額は4,000−1,000=3,000円です。費用の増加を商品保証引当金繰入の借方、負債の増加を商品保証引当金の貸方に記録します。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
未収収益 | 2,000 | 受取利息 | 2,000 |
減価償却費 | 3,000 | 備品減価償却累計額 | 3,000 |
商品保証引当金繰入 | 3,000 | 商品保証引当金 | 3,000 |
整理後の資産合計=45,000+2,000−3,000=44,000円
整理後の負債合計=15,000+3,000=18,000円
整理後の純資産合計=44,000−18,000=26,000円
純資産は、整理前の30,000円から4,000円減っています。収益2,000円の増加と、費用6,000円の増加によって利益が4,000円減ることとも一致します。
消費税が還付になる場合
3級では、仮受消費税が仮払消費税を上回り、差額を納付する場合を学びました。2級では逆に、差額を返してもらう場合も扱います。
税抜方式で、決算整理前の仮払消費税が1,200円、仮受消費税が900円であった。ほかの調整はなく、差額300円の還付が確定したものとする。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
仮受消費税 | 900 | 仮払消費税 | 1,200 |
未収還付消費税 | 300 |
両方の仮勘定を消し、返してもらう権利300円を資産にします。納付義務ではないため未払消費税は使いません。この税抜方式の整理では、差額を収益や法人税等にはせず、税引前利益も変わりません。
後日、普通預金で還付を受けたら「普通預金300/未収還付消費税300」です。
まとめ
- すでに記帳した決算整理を、もう一度加減しません
- 必要な期末残高と、今回追加する修正額を分けます
- 追加仕訳の借貸を確認し、利益と資産・負債へそれぞれ反映します