Lesson 1

売上原価対立法

このレッスンで学ぶこと

商品を売ると、売上が生じると同時に、手元の商品が減ります。売上原価対立法では、この二つを販売のつど記帳します。売った値段と、売った商品の仕入原価を分けて考えます。

3級の復習

売上原価は、売れた商品の原価です。三分法では、期首商品棚卸高に当期商品仕入高を加え、期末商品棚卸高を差し引いて求めました。

3級レッスン 売上原価の算定

仕入れたときは商品という資産にする

売上原価対立法では、商品を仕入れたときに「商品」勘定を使います。まだ売っていない商品は、これから販売できる資産だからです。掛けで仕入れた場合は、商品の増加を借方、買掛金の増加を貸方に記録します。

三分法の仕入時に使う「仕入」勘定と混同しないようにします。

売ったときに二つの金額を記録する

販売時には、次の二つを記帳します。

記録すること 使う金額 借方 貸方
商品を売って収益が生じた 売価 売掛金など 売上
売った商品を資産から費用へ移す 原価 売上原価 商品

売掛金は販売代金を受け取る権利なので、売価で増加します。一方、手元から減った商品は、仕入れたときの原価で減らします。その原価を「売上原価」という費用へ移すため、売上原価は借方、商品は貸方です。

売価と原価の差が、売上総利益になります。売価を使って商品勘定を減らすと、残った商品の原価まで誤ってしまいます。

例題

当社は商品88個を1個700円で掛け仕入れし、そのうち36個を1個1,250円で掛け販売した。商品売買は売上原価対立法で記帳しており、期首の商品はなく、消費税および諸掛りは考慮しない。

仕入時と販売時の仕訳を示し、販売後の商品残高と売上総利益を求めなさい。

解答と解説

仕入原価は88個×700円=61,600円です。

借方科目 金額 貸方科目 金額
商品 61,600 買掛金 61,600

販売代金は36個×1,250円=45,000円、売れた商品の原価は36個×700円=25,200円です。販売代金の記録と原価の振替は、それぞれ次のようになります。

借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金 45,000 売上 45,000
売上原価 25,200 商品 25,200

商品の帳簿残高は61,600−25,200=36,400円です。残った52個×700円でも同じ金額になります。 売上総利益は45,000−25,200=19,800円です。販売代金の45,000円をそのまま利益とするわけではありません。

返品は元の記録を戻す

売上原価対立法では、返品でも「売価」と「原価」を分けます。上の例の後に起きた、次の二つの場面をそれぞれ考えます。いずれも掛け代金は未決済で、商品は同じ原価で在庫に戻せるものとします。

場面 借方 貸方
仕入返品:2個 買掛金 1,400円 商品 1,400円
売上返品:2個の売価 売上 2,500円 売掛金 2,500円
同じ返品:原価 商品 1,400円 売上原価 1,400円

仕入返品では「仕入」ではなく「商品」を減らします。売上返品では、売上を取り消すだけでなく、戻った商品の原価も資産へ戻します。

決算で確認すること

販売のつど原価を振り替えているため、通常の売上原価を求めるために、三分法と同じ期首・期末商品の振替を行う必要はありません。

ただし、決算整理がすべて不要になるわけではありません。商品の実地数量が帳簿数量より少ない場合の棚卸減耗や、収益性が低下した場合の商品評価損などは、別に確認して処理します。帳簿上の数量・金額と、実際に残っている商品の状態を照合します。

売価45,000円と売上原価25,200円を分け、差額19,800円を売上総利益として捉える。

まとめ

売上原価対立法では、仕入時は商品を資産として記録し、販売時に売価の収益と原価の費用を別々に記録します。販売後の商品残高は、売れ残った商品の原価です。