Lesson 5

三分法による月次の売上原価と損益

このレッスンで学ぶこと

月ごとの利益を確かめるときも、仕入れた商品の全額をその月の費用にするわけではありません。月初と月末の商品を整理して、その月に売れた商品の原価を求めます。年度初めからの累計額と、当月だけの金額も区別します。

3級の復習

三分法では、仕入・売上・繰越商品の勘定を使います。売上原価は、期首の商品に当期の純仕入高を加え、期末に残った商品を差し引いて求めます。

3級レッスン 売上原価の算定

月初と月末の商品で当月分を求める

毎月の利益を計算するために、その月の収益・費用や資産・負債を整理することを月次決算といいます。三分法の商品売買では、計算期間を当月にそろえます。

当月売上原価=月初商品棚卸高+当月純仕入高−月末商品棚卸高

月初の商品も当月に販売できるため加えます。一方、月末まで売れずに残った商品は翌月へ持ち越す資産なので、当月の売上原価から除きます。

年度の途中で当月の売上原価を求めるのに、年度初めの商品と当月だけの仕入高を組み合わせると、期間が合いません。残高や資料がどの期間を表しているかを確かめます。

月次試算表の残高と当月額を分ける

月末に作る試算表でも、収益・費用の勘定残高が年度初めからの累計額を表している場合があります。「月次」という名前だけで、すべて当月分だと判断しないようにします。

同じ基準で整理した前月末と当月末の累計額が分かれば、その差額が当月分です。

当月売上原価=当月末までの累計売上原価−前月末までの累計売上原価

この差額による計算と、月初商品+当月純仕入高−月末商品による計算は一致します。

二つの商品振替を分けて考える

毎月、仕入勘定で売上原価を算定している場合は、前月末から残る繰越商品を仕入へ振り替え、当月末の商品を繰越商品として残します。

整理する内容 借方 貸方
月初商品の原価を売上原価の計算に加える 仕入 繰越商品
月末商品の原価を費用から除く 繰越商品 仕入

この二つは、月初分を移す処理と月末分を残す処理です。繰越商品の増減額だけに相殺せず、それぞれの金額で示します。資料にある繰越商品が年度初めの残高なのか、前月の整理を済ませた残高なのかも確認します。

例題

当社の会計期間は4月1日から翌年3月31日までである。商品売買を三分法で記帳し、毎月末に仕入勘定で売上原価を算定する商品振替を行っている。収益・費用の勘定は年次決算まで締め切らず、年度初めからの累計額を残している。月次の商品振替の再振替は行わない。

4月と5月の資料は次のとおりであった。金額はすべて円である。純仕入高・売上高・販売費及び一般管理費は各月だけの金額であり、棚卸減耗・商品評価損およびほかの収益・費用はなかった。

項目 4月 5月
月初商品原価 52,000 61,000
当月純仕入高 286,000 244,000
月末商品原価 61,000 57,000
当月売上高 410,000 392,000
当月の販売費及び一般管理費 95,000 102,000

4月末の商品振替は完了しており、仕入勘定の借方残高は277,000円、繰越商品残高は61,000円であった。5月中の取引は記帳済みであるが、5月末の商品振替は未処理であった。

4月・5月それぞれの売上原価と利益を求めなさい。また、5月末の商品振替仕訳を示し、振替後の仕入残高から5月分の売上原価を確かめなさい。

解答と解説

1 各月だけの原価と利益を求める

項目 4月 5月
月初商品+当月純仕入高 338,000 305,000
月末商品原価(控除) 61,000 57,000
当月売上原価 277,000 248,000
当月売上高 410,000 392,000
売上総利益 133,000 144,000
販売費及び一般管理費 95,000 102,000
当月利益 38,000 42,000

4月の売上原価は52,000+286,000−61,000=277,000円です。5月は61,000+244,000−57,000=248,000円です。4月末の商品61,000円を、5月の月初商品に使います。

利益は4月が410,000−277,000−95,000=38,000円、5月が392,000−248,000−102,000=42,000円です。

2 5月末の商品振替を行う

まず、月初商品61,000円を仕入へ移します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
仕入 61,000 繰越商品 61,000

次に、月末商品57,000円を資産に残します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
繰越商品 57,000 仕入 57,000

この二つの処理により、繰越商品は61,000−61,000+57,000=57,000円になります。

3 累計の仕入残高と照合する

5月末の振替前の仕入残高は、4月末の277,000円に5月の純仕入高244,000円を加えた521,000円です。振替後は521,000+61,000−57,000=525,000円になります。

この525,000円は5月だけの売上原価ではなく、4月と5月を合わせた売上原価です。5月分は525,000−277,000=248,000円となり、最初の計算と一致します。

年度初めから直接計算しても、52,000+(286,000+244,000)−57,000=525,000円です。4月末商品61,000円は、4月の計算で差し引き、5月の計算で加えるため、2か月をまとめると打ち消し合います。

4 利益も累計と当月を分ける

5月末までの累計売上高は802,000円、累計の販売費及び一般管理費は197,000円です。累計利益は802,000−525,000−197,000=80,000円になります。

そこから4月の利益38,000円を差し引くと、5月の利益42,000円です。売上・売上原価・費用のすべてを、同じ期間にそろえて比べます。

この会社のように毎月の商品振替を積み重ねると、年度最後の月の整理後の仕入残高は、年度累計の売上原価になります。処理済みの期首・期末商品振替を、年次決算で重ねて記入しないようにします。

例題の4月では月初商品52,000円と純仕入286,000円を、売上原価277,000円と月末商品61,000円へ分ける。

図は例題の4月の原価配分です。月末商品61,000円を5月へ引き継ぎます。

まとめ

当月の売上原価は、月初商品に当月の純仕入高を加え、月末商品を差し引いて求めます。累計の売上原価が示されている場合は、前月末までの累計額を差し引けば当月分になります。仕訳では月初・月末の振替を分け、資料の整理状況と計算期間を確かめます。