Lesson 1

履行義務と収益を計上する時点

このレッスンで学ぶこと

商品を渡した日、サービスを提供した日、代金を受け取った日は一致するとは限りません。顧客との約束をいつ果たしたかを確かめ、収益を計上する時期を判断します。

履行義務を果たすと収益になる

履行義務とは、契約で約束した商品やサービスを顧客へ移転する義務です。例えば、商品を引き渡す約束や、一定期間保守サービスを提供する約束が該当します。

収益は、履行義務を果たすことに応じて計上します。代金を先に受け取っても、まだ約束を果たしていなければ、そのことだけで売上にはなりません。反対に、商品を引き渡して収益を計上する条件を満たしていれば、代金が未回収でも売掛金と売上を記録します。

一時点と一定の期間を分ける

約束の果たし方 例 収益計上の考え方
一時点で果たす 商品の引渡し 商品の支配が顧客へ移った時点で計上する
一定の期間にわたり果たす 期間中の保守サービス サービスを提供した進捗に応じて計上する

支配が顧客へ移るとは、顧客がその商品を使い、そこから利益を得られるようになることです。商品販売では、出荷した事実だけでなく、契約や取引の実態から支配の移転時点を確かめます。

均等に提供するサービスで、経過月数が進捗度を適切に表すなら、月割りで収益を計算できます。提供の仕方が均等でないサービスまで、無条件に月割りするわけではありません。

出荷・着荷・検収の時点

出荷は売手から商品を送り出すこと、着荷は商品が買手へ届くこと、検収は買手が内容を確認して受け入れることです。

基準 収益を計上する時点
出荷基準 商品を出荷した時点
着荷基準 商品が顧客へ届いた時点
検収基準 顧客が検収を終えた時点

国内の商品販売で、出荷から顧客へ支配が移転するまでが通常の期間である場合には、出荷時や着荷時に収益を計上する取扱いが認められています。以下の国内販売は、この条件を満たすものとします。問題で指定された基準を確かめ、決算日までにその時点へ到達した取引を集計します。

商品Bは3月31日出荷、4月1日着荷、4月2日検収。3月31日の決算日をまたいでいる。

この商品を3月期の売上に含めるのは出荷基準の場合です。着荷基準・検収基準の場合は、指定の時点が4月にあるため翌期の売上になります。入金日でこの区分を決めるのではありません。

例題

決算日は3月31日である。国内の商品販売について、次の資料があった。出荷から顧客へ支配が移転するまでの期間はいずれも通常の期間であった。出荷基準・着荷基準・検収基準をそれぞれ採用した場合の当期売上高を求めなさい。消費税は考慮しない。

商品 販売額 出荷日 着荷日 検収日
A 84,000 3月28日 3月29日 4月1日
B 126,000 3月31日 4月1日 4月2日
C 56,000 3月25日 3月26日 3月27日

解答と解説

出荷基準では、A・B・Cがすべて3月31日までに出荷済みです。当期売上高は84,000+126,000+56,000=266,000円です。

着荷基準では、3月中に届いたA・Cを合計し、84,000+56,000=140,000円とします。Bは4月1日に届くため、翌期に計上します。

検収基準では、3月中に検収が終わったCだけを含めるため、56,000円です。Aは出荷も着荷も3月ですが、検収が4月なので当期売上には含めません。

期間にわたるサービスの計算

6か月360,000円の保守サービスを均等に提供し、3か月分を提供したとします。経過月数が進捗度を適切に表す場合、計上する役務収益は360,000÷6×3=180,000円です。

期間全体の代金360,000円と、提供済みの収益180,000円を区別します。入金が一括か分割かだけで収益の額を決めるのではなく、約束したサービスをどこまで提供したかで判断します。

まとめ

まず、約束した商品・サービスを一時点で移転するのか、一定の期間にわたって提供するのかを確かめます。商品販売では指定された基準と日付、期間サービスでは提供済みの進捗から収益を求めます。