Lesson 2
売上割戻と返金負債
このレッスンで学ぶこと
販売数量などに応じて、後から代金の一部を返すことがあります。返す見込みの額を含めずに売上を計上し、返金の義務を「返金負債」で表す方法を学びます。
売上割戻で受け取れる金額が変わる
売上割戻は、一定期間の販売数量や金額などに応じて、代金の一部を払い戻すことです。最終的に受け取れる金額が販売時点で確定していないため、割戻の見込みを考えて売上を求めます。
返金負債は、受け取った、または受け取る対価のうち、顧客へ返すと見込む部分を表す負債です。請求額の全額を自社の売上とするのではなく、売上と返金負債へ分けます。
将来の見込みは、裏付けなく楽観的に決めません。いったん計上した収益が後で大きく取り消されないよう、見積りに十分な確実性がある範囲で売上に含めます。以下では、示された割戻見込額を合理的に見積もることができ、収益計上後に著しい減額が生じない可能性が高いものとします。
販売時の仕訳
商品200,000円を掛けで販売し、後で10%を割り戻すと見込んだとします。請求額200,000円に対する売掛金は全額を借方に記録します。返す見込みの20,000円を返金負債、残り180,000円を売上として貸方に記録します。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 200,000 | 売上 | 180,000 |
| 返金負債 | 20,000 |
請求額のうち売上として残る部分と、返す見込みの部分を分けています。

見積りを変更するとき
決算時には、最新の見込みで返金負債の必要残高を求め、記帳済みの残高との差額を調整します。返金負債が不足していれば増やし、その分だけ売上を減らします。
同じ取引の割戻見込みが15%になった場合、必要残高は200,000×15%=30,000円です。すでに20,000円を計上しているので、追加するのは10,000円です。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売上 | 10,000 | 返金負債 | 10,000 |
売上の残高は180,000−10,000=170,000円となります。反対に返金見込額が減った場合は、返金負債を借方で減らし、売上を貸方で増やします。
実際に割り戻すとき
返金負債30,000円を計上した後、その全額を普通預金から返した場合、負債と預金を減らします。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 返金負債 | 30,000 | 普通預金 | 30,000 |
見込みの段階で売上を減らしているので、実際の返金時に同じ額を再び売上から差し引きません。売掛金の回収は、返金とは別の取引として記録します。
例題
当社は商品300,000円を掛けで販売した。販売額の10%を割り戻すと見込み、必要な処理を行っていた。決算時に割戻見込額を36,000円へ変更した。販売時と決算時に必要な仕訳を示し、決算後の売上残高を求めなさい。見積りは合理的で、売上の著しい減額が生じない可能性が高いものとし、消費税は考慮しない。
解答と解説
販売時の割戻見込額は300,000×10%=30,000円です。売掛金300,000円のうち、270,000円を売上、30,000円を返金負債にします。
| 処理 | 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 販売時 | 売掛金 | 300,000 | 売上 | 270,000 |
| 返金負債 | 30,000 | |||
| 決算時 | 売上 | 6,000 | 返金負債 | 6,000 |
決算時には、必要残高36,000円と記帳済み30,000円との差額6,000円を追加します。決算後の売上は270,000−6,000=264,000円です。請求額300,000円から、最終的な返金見込額36,000円を引いても同じ額になります。
まとめ
売上割戻が見込まれる場合、請求額を売上と返金負債へ分けます。見積りの変更では必要残高との差額を調整し、実際の返金では返金負債を取り崩します。