Lesson 4
契約資産と売掛金
このレッスンで学ぶこと
商品を渡して収益を計上しても、契約上、別のサービスを提供するまで代金を請求できない場合があります。まだ条件が残る権利を契約資産として記録し、条件がなくなった売掛金と区別します。
未入金というだけでは科目が決まらない
顧客へ商品やサービスを提供し、その対価を受け取る権利が生じたときは、まだ入金されていなくても資産を計上することがあります。そこで確かめるのは、代金を受け取るために、時間が過ぎる以外の条件が残っているかどうかです。
別のサービスを完了するなどの条件が残る権利を、契約資産として記録します。条件がなく、あとは支払期日を待つだけの営業上の債権は、売掛金で記録します。
| 対価を受け取る権利の状態 | 使う科目の例 |
|---|---|
| 別の履行義務を果たすなど、時の経過以外の条件が残る | 契約資産 |
| 条件がなく、支払期日まで待つだけ | 売掛金 |
支払期日が来ていないという理由だけで、売掛金を契約資産にするわけではありません。また、請求書を発行したかどうかだけでなく、契約上の権利を確認します。
収益を計上する時点とも分けて考える
契約資産を計上する場面でも、その金額に対応する商品やサービスはすでに顧客へ提供しています。まだ提供していないものについて、将来の代金をすべて契約資産にするわけではありません。
収益を計上するかどうかは約束を果たした状況で判断し、資産を契約資産にするか売掛金にするかは対価を受け取る条件で判断します。
例題
当社は顧客と、商品Aと操作研修サービスを提供する契約を結んだ。商品Aは研修なしでも使用でき、商品と研修は別個の履行義務である。契約金額200,000円のうち、商品へ120,000円、研修へ80,000円が適切に配分されていた。
商品Aは3月20日に引き渡し、同日に顧客へ支配が移った。研修は4月15日にすべて提供する契約であり、その完了時に研修の履行義務が充足される。代金を請求できるのは商品・研修の両方の提供を終えたときで、それ以前の対価を受け取る権利には研修の提供という条件が残るものとする。
4月15日に研修を予定どおり提供し、その時点で全額について無条件の請求権を得た。支払期日は5月31日であり、同日に全額が普通預金へ入金された。前受け、消費税、値引きおよび返品はない。各時点の仕訳は未記帳であった。
「契約資産」「売掛金」「売上」「役務収益」「普通預金」を用いて、3月20日・4月15日・5月31日の仕訳を示しなさい。また、3月31日の決算で計上するこの契約に係る資産の科目と残高を答えなさい。
解答と解説
1 商品を提供したとき
商品を提供する約束を果たしたので、商品に配分された120,000円を売上にします。ただし、代金を受け取るには研修の提供が残っているため、借方は売掛金ではなく契約資産です。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 契約資産 | 120,000 | 売上 | 120,000 |
3月31日も研修は未提供なので、この契約について契約資産120,000円が残ります。研修分80,000円はまだ収益にしておらず、契約資産にも加えません。
2 研修を提供し、請求条件がなくなったとき
4月15日に研修を完了したので、研修分80,000円を役務収益にします。同時に、商品分120,000円も含めた全額について、対価を受け取る条件がなくなります。
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 売掛金 | 200,000 | 契約資産 | 120,000 |
| 役務収益 | 80,000 |
既存の契約資産120,000円は売掛金へ振り替えるだけであり、売上をもう一度計上しません。この日の新たな収益は研修分の80,000円です。
支払期日は5月31日ですが、4月15日以降は期日まで待つだけです。入金前でも、資産の科目は売掛金へ変わります。
3 代金を受け取ったとき
| 借方科目 | 金額 | 貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 200,000 | 売掛金 | 200,000 |
5月31日の入金では、売掛金を預金へ置き換えます。商品と研修の収益は提供時に計上しているため、入金時に収益を重ねて計上しません。

図は例題の流れです。4月15日の新たな収益は研修分80,000円であり、商品分120,000円を重ねて売上にしません。
各時点の残高を確かめる
| 時点 | 契約資産 | 売掛金 | その時点までの収益 |
|---|---|---|---|
| 商品提供後・研修前 | 120,000 | 0 | 120,000 |
| 研修提供後・入金前 | 0 | 200,000 | 200,000 |
| 入金後 | 0 | 0 | 200,000 |
入金後は二つの債権等の残高が0円になりますが、普通預金が200,000円増えています。収益を200,000円ずつ繰り返し計上する流れではありません。
まとめ
すでに提供した商品やサービスの対価でも、別の履行などの条件が残れば契約資産になります。あとは支払期日を待つだけなら売掛金です。条件がなくなったときの資産の振替と、新たに提供した分の収益計上を分けて考えます。