Lesson 6

役務収益と役務原価

このレッスンで学ぶこと

サービスを提供して得た収益を役務収益、そのサービスに対応する原価を役務原価として記録します。作業中の案件に集計した原価と、提供を終えて費用にする原価を分けて考えます。

作業中の原価と提供済みの原価

調査や制作などのサービスで、完成して顧客へ提供したときに履行義務を果たす場合を考えます。提供前の作業に掛かった原価のうち、契約に直接関連し、将来のサービス提供に使われ、回収が見込まれるものを、仕掛品として集計します。

状態 科目 考え方
サービスの提供前 仕掛品 将来の提供に対応する原価を資産として集める
サービスの提供後 役務原価 収益に対応する原価を費用へ振り替える

作業に関連する支出がすべて仕掛品になるわけではありません。販売費や一般管理費などは、案件の仕掛品や役務原価へ無条件に加えません。

収益と原価をそれぞれ記録する

サービスを提供して代金を無条件に請求できるようになった場合、売掛金という資産を借方で増やし、役務収益を貸方に記録します。

同時に、提供済み案件の原価を仕掛品から役務原価へ振り替えます。費用の発生を借方に、資産である仕掛品の減少を貸方に記録します。代金と原価は異なる金額なので、二つを混同しません。

借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金 240,000 役務収益 240,000
役務原価 133,000 仕掛品 133,000

例題

当社は顧客へ調査報告書を提供する事業を行っている。案件A・Bは、報告書を完成して引き渡した時点で履行義務を果たす契約である。各案件の作業原価は契約に直接関連し、将来の報告書提供に使われ、回収が見込まれるものとして仕掛品に集計していた。

案件 月初仕掛品 当月に集計した原価 月末の状況
A 48,000 85,000 引渡し済み
B 0 37,000 作業中・未提供

案件Aの代金240,000円を掛けで請求した。請求権に残る条件はなく、あとは支払期日を待つだけであった。月中の原価集計はすべて記帳済みだが、提供に伴う収益と原価の仕訳は未記帳であった。当月の販売費及び一般管理費は29,000円で、ほかの収益・費用はなかった。消費税は考慮しない。

案件Aの提供に伴う仕訳を示し、月末仕掛品と営業利益を求めなさい。

解答と解説

案件Aに集まった原価は48,000+85,000=133,000円です。報告書を引き渡したので、収益240,000円を計上し、133,000円を仕掛品から役務原価へ移します。

借方科目 金額 貸方科目 金額
売掛金 240,000 役務収益 240,000
役務原価 133,000 仕掛品 133,000

案件Bは未提供なので、37,000円が仕掛品として残ります。当月に支出・集計した原価だからといって、Bの分まで役務原価へ移すわけではありません。

案件Aの原価133,000円は提供時に役務原価へ移し、作業中の案件B37,000円は仕掛品に残す。

営業利益は、役務収益240,000−役務原価133,000−販売費及び一般管理費29,000=78,000円です。販売費及び一般管理費は営業利益の計算で差し引きますが、案件Bの仕掛品には含めません。

原価の動きを合計で確かめると、月初仕掛品48,000+当月集計原価122,000−月末仕掛品37,000=役務原価133,000円になります。

まとめ

サービスの提供に応じて役務収益を計上し、その提供済み分の原価を役務原価へ振り替えます。作業中の案件に対応する原価と、販売費及び一般管理費を区別して利益を求めます。