Lesson 1

研究開発費と研究用資産の区分

このレッスンで学ぶこと

新しい技術や製品を生み出すための支出は、研究開発費になることがあります。研究用の備品も、他の目的に使えるかどうかで処理が変わる点を学びます。

取得時には、特定の研究だけに使う専用備品を研究開発費、研究後に他の目的にも使える汎用備品を資産へ区分する。

研究開発費は発生時の費用

研究は、新しい知識を得るための計画的な調査や探究です。開発は、その知識を新製品などの設計や、既存製品の大きな改良へ具体化する活動です。日常的な品質管理や、通常のクレーム処理をすべて研究開発に含めるわけではありません。

ここでは、企業結合を伴わない通常の研究開発を扱います。研究開発費に該当する支出は、発生した期の費用にします。成功の可能性が高まったという理由だけで、過去に費用にした分を資産へ戻しません。

研究開発費には、原材料費、人件費、研究開発に使った固定資産の減価償却費などが含まれます。購入や支払いの名目だけでなく、何に使った費用かを確認します。

例題 材料と人件費を集計する

当期の研究開発活動で使った材料費は2,000円、研究員の人件費は3,000円、研究用設備の当期減価償却費は1,000円であった。すべて研究開発費に該当するものとする。

当期の研究開発費=2,000+3,000+1,000=6,000円

すでに各費用を研究開発費へ振り替えて記帳済みなら、集計した6,000円をもう一度費用として追加するわけではありません。

専用の備品か、他にも使える備品か

使用できる範囲 取得時と使用時の考え方
特定の研究開発だけに使用し、他の目的に使用できない 取得原価を研究開発費へ
その研究が終わっても、他の目的に使用できる 固定資産へ計上し、研究開発に使った期間の償却額を研究開発費へ

「今は研究室で使っている」というだけでは、取得原価全額を研究開発費にする条件にはなりません。他の研究プロジェクトを含む他用途に、機能的・物理的に使えるかどうかが違いになります。

例題 特定の研究だけに使う備品

他の目的に機能的・物理的に使用できない、特定の研究開発プロジェクト専用の試験用備品を6,000円で購入し、代金は後払いとした。消費税・付随費用は考慮しない。

この備品の取得原価は研究開発費です。費用の発生を借方、商品以外の購入代金を後払いにした支払義務を未払金の貸方へ記録します。

(単位:円)

借方科目
金額
貸方科目
金額
6,000
6,000

他の目的にも使える場合

別の備品について、取得原価20,000円、耐用年数5年、残存価額ゼロとします。当期首に取得して使用を開始し、当期1年間は研究開発に使用しましたが、研究後は他の用途にも使えます。固定資産として計上し、少額資産の一括費用処理はせず、定額法・間接法で償却します。

取得時は備品として記録します。当期の償却額は20,000÷5=4,000円です。すべて研究開発に使ったため、研究開発費4,000円を借方、備品減価償却累計額を貸方へ記録します。

(単位:円)

借方科目
金額
貸方科目
金額
4,000
4,000

備品の取得原価20,000円を全額研究開発費にする処理とは異なります。使った期間の分を、研究開発費へ含めています。

まとめ

  • 研究開発費に該当する支出は、発生時の費用にします
  • 材料費・人件費・減価償却費なども、研究開発に使った分を含めます
  • 備品等は、特定の研究開発専用か、他の用途にも使えるかを確認します