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本支店会計~本店集中計算制度と支店分散計算制度~

schedule2021-08-29

本日は、苦手意識がある方も多い本支店会計についてまとめました。クイズの解説も合わせてご覧下さい。

本支店会計とは

本支店会計とは、企業が本店の他にも支店を設置した場合に行う会計処理のことです。今回はその中でも特に重要な「本店集中計算制度」と「支店分散計算制度」について見ていきます。これは、支店が複数ある場合における支店間取引の処理です。
2つの会計処理について例題とともに見ていきましょう。

本店集中計算制度とは

本店集中計算制度」とは、支店同士の取引が全て本店を介して行われたとみなす計算制度です。
よって、支店同士の取引があった場合、各支店は本店勘定を用いて記帳します。一方、本店は各支店勘定を使って記帳を行います。

例題1

田宮支店から赤池支店に現金1,000円を送付した。本店集中計算制度を採用している場合の本店と各支店の仕訳を答えよ。

本店集中計算制度では、支店間の取引は本店を介して行われたと見なします。よって、本店は、田宮支店から現金を受け取り、それを赤池支店に送付したと見なして処理します。

まず、田宮支店から現金を受け取ったので

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
1,000
田宮支店
1,000

赤池支店に現金を送付したので

借方科目
金額
貸方科目
金額
赤池支店
1,000
現金
1,000

よって、本店の仕訳はこの2つを合わせて以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
赤池支店
1,000
田宮支店
1,000

各支店は本店勘定を用いて処理します。
よって、田宮支店の仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
本店
1,000
現金
1,000

赤池支店の仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
1,000
本店
1,000

支店分散計算制度とは

支店分散計算制度」とは、支店同士の取引を、本店を介さずにそれぞれの支店が他の支店と直接取引したとみなす計算制度です。
よって、支店同士の取引があった場合、各支店は相手の支店名を付けた支店勘定を用いて記帳します。本店は、支店間の取引に関わっていないとみなすため、本店は仕訳なしとなります。

例題2

田宮支店から赤池支店に現金1,000円を送付した。支店分散計算制度を採用している場合の本店と各支店の仕訳を答えよ。

支店分散計算制度は、本店を介さずに、支店同士で直接取引したものと見なします。
よって、本店は仕訳なしとなります。

各支店は相手の支店名がついた支店勘定を用いて処理します。
よって、田宮支店の仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
赤池支店
1,000
現金
1,000

赤池支店の仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
1,000
田宮支店
1,000

クイズの解説

@tweet[https://twitter.com/debicre_boki/status/1431612549456220165]

今回問われているのは、本店集中計算制度における本店の仕訳です。
本店から見た静岡支店との取引の仕訳は

借方科目
金額
貸方科目
金額
広告宣伝費
5,000
静岡支店
5,000

本店から見た宮城支店との取引の仕訳は

借方科目
金額
貸方科目
金額
宮城支店
5,000
広告宣伝費
5,000

この2つを合わせたものが本店の仕訳になります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
宮城支店
5,000
静岡支店
5,000

したがって、正解は、× でした!

本店集中計算制度の本店側の仕訳は頻出ですので、色々なパターンの問題を解いて確実に仕訳できるようにしましょう。