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貸倒債権の回収~償却債権取立益と貸倒処理の消去の2パターン〜

schedule2021-08-24

今回は、貸し倒れた売掛金などの債権を回収した場合の2パターンの会計処理について見ていきます。クイズの解説も合わせてご覧下さい。

会計処理

貸倒処理をしていた売掛金などの債権が、運良く回収できることがあります。このときの会計処理には、「いつ貸倒処理したのか」によって2パターンに分かれます。具体的には、前期以前に貸倒処理した債権が回収された場合と、当期に貸倒処理した債権が回収された場合です。
具体的な会計処理は、例題とともに見ていきましょう。

前期以前に貸倒処理した債権の回収

前期以前に貸倒処理した債権が回収された場合は、「償却債権取立益」という収益を計上します。 損益計算書上は、営業外収益に区分されます。

例題1

前期に貸倒処理した売掛金1,000円を現金で回収した。

前期に貸倒処理しているので、「償却債権取立益」という収益を計上します。また、現金で回収しているので、現金という資産が増えます。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
1,000
償却債権取立益
1,000

当期に貸倒処理した債権の回収

当期に貸倒処理した債権が回収された場合、貸倒処理を取り消す処理を行います。

例題2

当期に貸倒処理した売掛金2,000円を現金で回収した。なお、貸倒処理した際に全額貸倒損失で処理している。

まず、貸し倒れた時の処理を取り消します。
今回は、貸倒処理した際、全額を貸倒損失で処理しているので、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
売掛金
2,000
貸倒損失
2,000

そして、売掛金を現金で回収できたので、以下の仕訳をします。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
2,000
売掛金
2,000

この2つの仕訳を合わせたものが、貸倒債権を回収した際の仕訳になります。 よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
2,000
貸倒損失
2,000

クイズの解説

@tweet[https://twitter.com/debicre_boki/status/1429813736789868546]

当期に貸倒処理した売掛金が回収された場合、貸倒処理を取り消します。 今回注意したいのは、例題2とは違って、貸倒処理の際、全額を貸倒引当金で補填している点です。
貸倒処理を取り消す仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
売掛金
5,000
貸倒引当金
5,000

そして、売掛金を送金小切手で回収できたので、現金が増加します。
この仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
5,000
売掛金
5,000

この2つを合わせると、この問題の仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
5,000
貸倒引当金
5,000

よって、正解は、× でした!

債権が貸し倒れた時の仕訳とその貸倒債権を回収した時の仕訳はセットで抑えておくと良いです。