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預り金と法定福利費~2パターンの会計処理~

schedule2021-08-26

今回は、仕訳問題で頻出の「預り金」と「法定福利費」についてまとめました。クイズの解説も記載しておりますので、合わせてご覧下さい。

社会保険料とは?

社会保険料」とは、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料などのことで、会社に勤めている方は毎月の給料から引かれています。また、社会保険料を納付する際には、従業員負担額だけでなく同額の会社負担額もあわせて納付します。これがいわゆる「労使折半」です。
ただ、簿記の世界では、詳しい社会保険料の仕組みやルールを覚える必要はありません。これから記載する2パターンの会計処理ができれば大丈夫です。

会計処理

会計処理は、社会保険料の天引きと社会保険料の納付の2パターンに分かれます。

社会保険料の天引き

会社が従業員に給料を支払う際に天引きされる社会保険料は、「預り金」という負債になります。源泉所得税の天引きの場合と同じです。
なぜ、預り金が負債になるのでしょう。預り金は会社が所有するお金ではなく、従業員のお金を預かっています。そして、預かったお金は国に納めなければなりません。つまり、会社は従業員からお金を預かった時点でお金を支払う義務が生じていることになります。よって、預り金は負債になります。

例題1

従業員への給料の支払いにあたり、給料総額2,000,000円から従業員が負担すべき社会保険料(健康保険料100,000円および厚生年金保険料150,000円)を差し引いた残額を、普通預金口座から振り込んだ。

給料から天引きされる社会保険料は、「預り金」として負債計上します。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
給料
2,000,000
預り金
250,000
普通預金
1,750,000

なお、「預り金」を「社会保険料預り金」としても正解となります。
本番では使用科目の指示があるので、それに従いましょう。

社会保険料の納付

社会保険料を納付する際は、従業員負担分と会社負担分の会計処理が必要となります。まず、従業員負担分については、給料の支払い時に「預り金」として負債計上しています。納付時は、この預り金を減少させるため、借方に預り金とします。一方、同額の会社負担分は、「法定福利費」として費用処理します。

例題2

給料から差し引いた社会保険料の従業員負担額(健康保険料100,000円および厚生年金保険料150,000円)と同額の会社負担額を合わせて現金で納付した。

社会保険料納付時において、従業員負担分250,000円は、負債の減少として借方に預り金が来ます。 同額の会社負担分250,000円は法定福利費として借方に費用計上します。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
法定福利費
250,000
現金
500,000
預り金
250,000

クイズ

問1

次の文章の正誤を判定しなさい。

月末において、従業員の給料から天引きした社会保険料3,000円と同額の会社負担分を普通預金口座から納付した。 この仕訳は以下のようになる。

借方科目
金額
貸方科目
金額
支払保険料
3,000
普通預金
6,000
法定福利費
3,00
法定福利費
3,000

納付する社会保険料には、従業員負担分と会社負担分があります。 従業員負担分については、給料支払い時に処理した預り金を減少させます。 会社負担分については、法定福利費として費用計上します。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
預り金
3,000
普通預金
3,000
法定福利費
3,000

したがって、正解は、× でした!

簿記3級だけではなく簿記2級でも出ることがありますので、忘れていた方は復習して完璧に仕訳できるようにしましょう。