減価償却費の計算~定額法~
今回は、簿記3級で必ず出題される減価償却費の計算(定額法)についてまとめました。クイズの解説も合わせてご覧下さい。
定額法とは?
定額法とは、固定資産の価値の減少が毎年同じであると仮定して減価償却費を計上する方法です。
定額法によれば、減価償却費は以下の式で求めることができます。
(取得原価-残存価額)/耐用年数
※ 耐用年数とは、固定資産の使用可能年数です。
※ 残存価額とは、耐用年数到来時に残っている価値、すなわち耐用年数到来時にいくらで売れるかを表したものです。
定額法以外にも計算方法はありますが、3級で出題されるのは定額法のみです。
会計処理
仕訳をする場合、借方には「減価償却費」として費用計上します。しかし、貸方に来る科目は、記帳方法によって2種類あります。
記帳方法
減価償却費の記帳方法には、直接法と間接法があります。
直接法とは、減価償却累計額(負債)を使わず、直接固定資産を減少させる方法です。
よって、貸方に来るのは固定資産の勘定科目になります。
間接法とは、減価償却累計額(負債)を使う方法です。
よって、貸方に来るのは負債である「減価償却累計額」になります。
以下に2パターンの例題を用意しましたので、順に見ていきましょう。
固定資産を期首に取得した場合
建物などの固定資産を期首に取得した場合は、当期首から当期末まで1年分の減価償却費を算出するので、月割り計算は不要です。
×1年3月31日、決算日につき、期首に取得した建物(取得原価1,000円)について減価償却を行う。なお、減価償却方法は定額法(耐用年数30年、残存価額は取得原価の10%、記帳方法は間接法)とする。
取得原価は1,000円、残存価額は100円(1000円×10%)、耐用年数は30年なので、減価償却費は
(1000円-100円)/30年=30円
記帳方法は間接法なので、仕訳は以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 30 | 建物減価償却累計額 | 30 |
固定資産を期中に取得した場合
期中に取得した固定資産については、当期のうち使用している期間分の減価償却費を計上します。よって、月割り計算が必要になります。
×1年3月31日、決算日につき、×0年8月1日に取得した建物(取得原価1,000円)について減価償却を行う。なお、減価償却方法は定額法(耐用年数30年、残存価額は取得原価の10%、記帳方法は直接法)とする。
今回は例題1のように建物を期首に取得しておらず、期中に取得しているので、当期のうち使用している期間分の減価償却費を計上します。
取得原価は1,000円、残存価額は100円(1000円×10%)、耐用年数は30年、当期分の使用期間は8ヶ月(×0年8月1日〜×1年3月31日)なので、減価償却費は
(1,000円-100円)/30年×8/12=20円
記帳方法は直接法なので、仕訳は以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 20円 | 建物 | 20円 |
クイズの解説
@tweet[https://twitter.com/debicre_boki/status/1436668864746516484]
直接法と間接法で異なるのは、貸方に来る勘定科目です。直接法では建物などの固定資産の勘定科目が来ますが、間接法では減価償却累計額が来ます。
したがって、借方に計上される減価償却費の額は直接法でも間接法でも同じになります。
よって、正解は、○ でした!
減価償却費の問題は頻出です。固定資産の売却時などでも登場しますが、今日の内容を踏まえれば必ずできますので、しっかりと抑えておきましょう。