当座借越~3パターンの会計処理~
本日は、簿記3級の中で苦手な方が多い「当座借越」についてまとめました。クイズの解説も合わせてご覧下さい。
当座借越とは?
「当座借越」とは、当座預金の残高を超えて引き出すことです。通常、当座預金の残高を超えて当座預金を引き出すことはできませんが、銀行と当座借越契約を結ぶことで、一定額まで引き出すことができます。
会計処理
当座借越の会計処理は、大きく分けて3つあります。
例題とともに順番に見ていきましょう。
残高を超えて引き出した時
当座預金残高を超える金額を引き出した場合は、当座預金の減少として処理します。
商品200,000円を仕入れ、代金は小切手を支払って支払った。なお、当座預金の残高は150,000円であり、取引銀行と限度額300,000円の当座借越契約を結んでいる。
銀行と限度額300,000円の当座借越契約を結んでいるので、200,000円を引き出すことができます。
よって、単に当座預金の減少として処理します。
したがって、仕訳は以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 200,000 | 当座預金 | 200,000 |
決算日
決算日において、当座預金が貸方残高になっている場合、これを「当座借越」に振り替える処理を行います。つまり、貸方残高である当座預金勘定を借方にし、新たに「当座借越」という負債を計上します。
当座借越の他にも借入金に振り替えるケースもありますので、問題の指示に従いましょう。
決算日において、当座預金が100,000円の貸方残高であるため、当座借越に振り替える。
貸方残高である当座預金を減らし、新たに当座借越という負債を計上します。 よって、仕訳は以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 100,000 | 当座借越 | 100,000 |
翌期首
翌期首になったら、決算日の仕訳の逆仕訳を行います。これを再振替仕訳といいます。
前期の決算日において行った当座借越100,000円の処理について再振替仕訳を行う。
前期決算日において、以下の処理が行われています。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 100,000 | 当座借越 | 100,000 |
これの逆仕訳が再振替仕訳なので、仕訳は以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
当座借越 | 100,000 | 当座預金 | 100,000 |
クイズ
次の文章の正誤を判定しなさい。
「当社は商品10,000円を仕入れ、代金は小切手を振り出して支払った。なお、当社の当座預金残高は5,000円だが、銀行と限度額20,000円の当座借越契約を結んでいる。」
この仕訳は以下のようになる。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 10,000 | 当座借越 | 10,000 |
当座預金残高を超えた金額を引き出したときは、当座借越契約を結んでいれば、単に当座預金の減少として処理します。
当座借越に振り替えるのは、あくまで決算日に当座預金が貸方残高であるときです。
したがって、仕訳は以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
仕入 | 10,000 | 当座預金 | 10,000 |
よって、正解は、× でした!