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当座借越~3パターンの会計処理~

schedule2021-08-28

本日は、簿記3級の中で苦手な方が多い「当座借越」についてまとめました。クイズの解説も合わせてご覧下さい。

当座借越とは?

当座借越」とは、当座預金の残高を超えて引き出すことです。通常、当座預金の残高を超えて当座預金を引き出すことはできませんが、銀行と当座借越契約を結ぶことで、一定額まで引き出すことができます。

会計処理

当座借越の会計処理は、大きく分けて3つあります。
例題とともに順番に見ていきましょう。

残高を超えて引き出した時

当座預金残高を超える金額を引き出した場合は、当座預金の減少として処理します。

例題1

商品200,000円を仕入れ、代金は小切手を支払って支払った。なお、当座預金の残高は150,000円であり、取引銀行と限度額300,000円の当座借越契約を結んでいる。

銀行と限度額300,000円の当座借越契約を結んでいるので、200,000円を引き出すことができます。
よって、単に当座預金の減少として処理します。
したがって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
仕入
200,000
当座預金
200,000

決算日

決算日において、当座預金が貸方残高になっている場合、これを「当座借越」に振り替える処理を行います。つまり、貸方残高である当座預金勘定を借方にし、新たに「当座借越」という負債を計上します。
当座借越の他にも借入金に振り替えるケースもありますので、問題の指示に従いましょう。

例題2

決算日において、当座預金が100,000円の貸方残高であるため、当座借越に振り替える。

貸方残高である当座預金を減らし、新たに当座借越という負債を計上します。 よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
当座預金
100,000
当座借越
100,000

翌期首

翌期首になったら、決算日の仕訳の逆仕訳を行います。これを再振替仕訳といいます。

例題3

前期の決算日において行った当座借越100,000円の処理について再振替仕訳を行う。

前期決算日において、以下の処理が行われています。

借方科目
金額
貸方科目
金額
当座預金
100,000
当座借越
100,000

これの逆仕訳が再振替仕訳なので、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
当座借越
100,000
当座預金
100,000

クイズ

問1

次の文章の正誤を判定しなさい。
「当社は商品10,000円を仕入れ、代金は小切手を振り出して支払った。なお、当社の当座預金残高は5,000円だが、銀行と限度額20,000円の当座借越契約を結んでいる。」
この仕訳は以下のようになる。

借方科目
金額
貸方科目
金額
仕入
10,000
当座借越
10,000

当座預金残高を超えた金額を引き出したときは、当座借越契約を結んでいれば、単に当座預金の減少として処理します。
当座借越に振り替えるのは、あくまで決算日に当座預金が貸方残高であるときです。
したがって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
仕入
10,000
当座預金
10,000

よって、正解は、× でした!