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固定資産の割賦購入~支払利息と前払利息~

schedule2021-09-04

今回は、仕訳問題でよく出る「固定資産の割賦購入」についてまとめました。

固定資産の割賦購入って?

固定資産の割賦購入とは、固定資産を分割払いで購入することです。読み方は「かっぷ」です。分割払いであることにより、利息が発生します。

会計処理

固定資産の割賦購入の会計処理は、利息の取り扱いにより2パターンあります。 割賦購入時に利息を前払利息(資産)とするか、または支払利息(費用)とするかによって会計処理が異なります。

例題

当社(会計期間 ×1年4月1日〜×2年3月31日)は、×1年12月1日に備品600,000円を購入し、割賦利息を含めて月105,000円を購入月より6ヶ月分の分割払い(毎月末に当座預金口座から支払い)とした。

(1) 購入時の仕訳を答えなさい。

(2) 初回支払時の仕訳を答えなさい。

(3) 決算日の仕訳を答えなさい。

① 購入時に前払利息として処理する方法

(1) 備品の購入価額600,000円と支払額630,000円(105,000円×6ヶ月)の差額30,000円が利息であり、これを「前払利息」として資産計上します。
また、建物に関するものかつ後払いであるので、支払額は「未払金」として処理します。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
備品
600,000
未払金
630,000
前払利息
30,000

(2) 初回支払時は、1ヶ月分の105,000円が支払われます。ここで、支払われた利息の1ヶ月分は5,000円(30,000円÷6ヶ月)であり、この分は前払利息ではなくなるので、支払利息に振り替えます。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
未払金
105,000
当座預金
105,000
支払利息
5,000
前払利息
5,000

(3) 決算時は、初回支払時と同じ仕訳となります。というのも、本取引では毎月末に支払いが行われていて、決算日は4回目の支払時の処理を行うからです。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
未払金
105,000
当座預金
105,000
支払利息
5,000
前払利息
5,000

② 購入時に支払利息として処理する方法

(1) 利息相当額を支払利息として費用計上します。それ以外は①と変わりません。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
備品
600,000
未払金
630,000
支払利息
30,000

(2) 購入時に支払利息として費用処理しているため、①で行った振り替えの仕訳は不要になります。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
未払金
105,000
当座預金
105,000

(3) 決算日は4回目の支払日なので、(2)と同じ仕訳を行います。
しかし、それだけでは足りません。なぜなら、購入時に計上した支払利息30,000円の中には翌期2ヶ月分の利息10,000円(30,000円×2/6)が含まれているからです。したがって、費用の繰り延べの処理も同時に行います。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
未払金
105,000
当座預金
105,000
前払利息
10,000
支払利息
10,000

クイズ

問1

次の文章の正誤を判定しなさい。
「固定資産を割賦購入により取得した場合、利息相当額を費用として処理する方法と資産として処理する方法がある。」

固定資産の割賦購入における利息の処理については、前払利息(資産)とするか支払利息(費用)とするかの2つの方法があります。
よって、正解は、○ でした!

問2

「×1年3月1日に車両4,800,000円を割賦購入した。代金は×1年3月末日から毎月末に支払期限が到来する額面1,000,000円の約束手形5枚を振り出した。ただし、利息は資産で処理すること。」 購入時の仕訳は以下のようになる。

借方科目
金額
貸方科目
金額
車両
4,800,000
支払手形
5,000,000
前払利息
200,000

利息は、資産で処理すると書いてあるので、「前払利息」勘定を使います。
そして、固定資産の購入に振り出す手形は支払手形ではなく「営業外支払手形」です。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
車両
4,800,000
営業外支払手形
5,000,000
前払利息
200,000

したがって、正解は × でした。