固定資産の圧縮記帳~国庫補助金受贈益と固定資産圧縮損~
今回は、簿記2級の重要論点である固定資産の圧縮記帳(直接控除方式)について見ていきます。クイズの解説も合わせてご覧下さい。
圧縮記帳って何?
「圧縮記帳」とは、国庫補助金等の金額だけ固定資産の取得原価を減額する処理です。
ここで、国庫補助金とは、固定資産を取得する際に、国や地方公共団体から受け取る補助金のことです。
それでは、具体的な会計処理を見ていきましょう。
会計処理
固定資産の圧縮記帳における会計処理は、大きく分けて3ステップになります。 例題とともに見ていきましょう。
①国庫補助金の受け取り
国庫補助金を受け取った場合は、「国庫補助金受贈益」という収益を計上します。臨時的な収益項目のため、損益計算書上は、特別利益に区分されます。
×1年4月1日に、国から国庫補助金800,000円を現金で受け取った。
国庫補助金を受け取ったので、国庫補助金受贈益という収益が増加します。現金で受け取ったので、現金という資産が増加します。
よって、仕訳は以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
現金 | 800,000 | 国庫補助金受贈益 | 800,000 |
②圧縮記帳
取得した固定資産を圧縮記帳した際、国庫補助金の金額だけ固定資産の取得原価を減額するととともに、「固定資産圧縮損」という費用を計上します。
損益計算書上は、特別損失の区分になります。
×1年7月1日に、国庫補助金800,000円に自己資金800,000円を加えて建物1,600,000を購入し、代金は現金で支払った。建物の圧縮記帳の処理も同時に行う。
まず、建物1,600,000円を購入し、現金で支払ったので、固定資産の購入の仕訳をします。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
建物 | 1,600,000 | 現金 | 1,600,000 |
圧縮記帳では、国庫補助金800,000円の分だけ建物の取得原価を減額し、固定資産圧縮損を計上します。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
固定資産圧縮損 | 800,000 | 建物 | 800,000 |
よって、仕訳はこれらを合わせて以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
建物 | 1,600,000 | 現金 | 1,600,000 |
固定資産圧縮損 | 800,000 | 建物 | 800,000 |
③減価償却
圧縮記帳後の帳簿価額に基づいて減価償却します。つまり、「購入価額-圧縮額」を取得原価とみなします。
×2年3月31日、決算において、×1年7月1日に取得した建物について定額法(耐用年数20年、残存価額ゼロ、間接法で記帳)により減価償却を行う。
圧縮記帳後の帳簿価額は、
1,600,000-800,000=800,000円
よって、減価償却費は、
800,000/20年 × 9/12=30,000円
したがって、仕訳は以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
減価償却費 | 30,000 | 建物減価償却累計額 | 30,000 |
なぜ圧縮記帳を行うの?
国庫補助金を受け取ったとき、国庫補助金受贈益という収益が増えますね。収益が増えるということは、収益から費用を差し引いた利益が増えます。そして、利益が増えるということは、支払う法人税等の税金が増えてしまうので、補助金を貰った意味が薄れるということが起きてしまいます。簡単にいうと、国から貰った補助金のはずなのに、そのせいで国に支払う税金が増えるという意味の分からないことになってしまうのです。そこで、一時的に税金を回避するために、固定資産圧縮損を計上することで国庫補助金受贈益を打ち消す処理が行われるのです。
クイズの解説
@tweet[https://twitter.com/debicre_boki/status/1429457969725407239]
今日の内容を踏まえると、直接控除方式による圧縮記帳を行った場合、固定資産の減価償却費の計算に用いる取得原価は、購入価額から圧縮額を差し引いた圧縮後の帳簿価額になります。
よって、正解は、○ でした!
圧縮記帳は理屈が分かれば、ひねった問題にも対応出来ると思います。普段から暗記に頼らず、理屈を理解した上で覚えるようにしましょう。