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研究開発費の会計処理~研究開発目的のみに使う資産や研究員給料など~

schedule2021-10-07

今回は、簿記2級の仕訳問題でたまに出る研究開発費についてまとめました。クイズの解説も合わせてご覧下さい。

研究開発費とは?

研究開発費とは、研究や開発に要した支出のことです。
そもそも、研究と開発の定義は何でしょう?
研究とは、新しい知識の発見を目的とした計画的な調査および探求のことです。
大学で行われる研究が正にこれです。
開発とは、新しい製品、サービス、生産方法についての計画や設計、既存の製品等を著しく改良するための計画や設計として、研究の成果その他の知識を具体化することです。
会社や企業が行っている新製品の開発が該当します。

会計処理

研究開発目的で支出したものは、すべて「研究開発費」として費用処理します。
例えば、研究開発に必要な原材料費や研究開発部門で働く研究員の給料などが該当します。
また、特定の研究開発目的にのみ使用され、他の目的に使用できない機械装置や特許権なども、同じく「研究開発費」として処理します。

例題

研究開発部門を拡張することになったため、実験専用の機械装置を追加購入し、代金100,000円は小切手を振り出して支払った。また、研究開発のみの目的で使用するために備品30,000円も購入し、代金は翌月末払いとした。さらに、研究開発部門で働く研究員への今月分の給料70,000円を現金で支払った。このときの仕訳を答えなさい。

実験専用の機械装置、研究員の給料は、研究開発目的で費消する原価になりますので、「研究開発費」として処理します。
また、備品についても、研究開発のみの目的で使用するので、こちらも「研究開発費」として処理します。
翌月払いなので、「未払金」になることにも注意です。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
研究開発費
200,000
当座預金
100,000
未払金
30,000
現金
70,000

クイズ

問1

次の文章の正誤を判定しなさい。
研究開発目的で消耗品2,000円を購入し、代金を小切手で支払うとともに、研究開発部門の研究員の給料80,000円を現金で支払った。
この時の仕訳は以下のようになる。

借方科目
金額
貸方科目
金額
研究開発費
2,000
当座預金
2,000
給料
80,000
現金
80,000

研究開発用の消耗品や研究員の給料など、研究開発目的で支出したものはすべて「研究開発費」として処理します。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
研究開発費
82,000
当座預金
2,000
現金
80,000

よって、正解は、× でした!

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問2

次の仕訳の正誤を判定しなさい。
当期に支出した給料のうち150,000円が研究開発部門の研究員に対するもので、備品のうち350,000円が研究開発目的のものであると把握された。

借方科目
金額
貸方科目
金額
研究開発費
500,000
給料
150,000
備品
350,000

研究開発目的で支出したものは、すべて研究開発費として処理します。
よって、「給料」勘定で処理した研究員の給料150,000円と「備品」勘定で処理した研究開発用の備品350,000円を「研究開発費」勘定に振り替える処理をする必要があります。
したがって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
研究開発費
500,000
給料
150,000
備品
350,000

よって、正解は ○でした!

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