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株式発行費用~創立費か株式交付費か~

schedule2021-09-08

今回は、簿記2級の仕訳問題でよく出る株式発行費用についてまとめました。クイズの解説と合わせてご覧下さい。

株式発行費用とは?

株式発行費用とは、株式を発行するのにかかった費用です。
株主募集のための広告費や証券会社への手数料などが該当します。

会計処理

株式発行費用の会計処理は、「創立費」と「株式交付費」の2パターンです。 例題とともに見ていきましょう。

創立費

創立費とは、会社の設立のためにかかった費用のことです。
設立登記にかかる費用や株主募集のための費用などが含まれ、発生した場合は原則として費用処理します。

例題1

当社は、設立にあたって発行可能株式総数1,000株のうち100株を1株50円で発行し、払込金額の全額を当座預金とした。ただし、会社法に規定する最低限度額を資本金として計上した。なお、株式の発行費用1,000円は現金で支払った。

払込金額は
50円×100株=5,000円
会社法に規定する最低限度額、すなわち払込金額の半分が資本金となり、残りは資本準備金となります。
今回は、会社の設立のために株式を発行していますので、それに係る費用は「創立費」となります。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
当座預金
5,000
資本金
2,500
資本準備金
2,500
創立費
1,000
現金
1,000

株式交付費

株式交付費とは、会社設立後の増資を行うときにかかる費用のことです。
株式募集のための広告費や金融機関の手数料などが含まれ、発生した場合は原則として費用処理します。

例題2

当社は、増資にあたり1株につき60円で発行した。発行株式数は1,000株であり、払込金額の全額を当座預金とした。ただし、会社法に規定する最低限度額を資本金として計上した。なお、株式の発行費用5,000円は現金で支払った。

払込金額は
60円×1,000株=60,000円
会社法に規定する最低限度額、すなわち払込金額の半分が資本金となり、残りは資本準備金となります。
今回は、増資のために株式を発行していますので、それに係る費用は「株式交付費」となります。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
当座預金
60,000
資本金
30,000
資本準備金
30,000
株式交付費
5,000
現金
5,000

クイズ

問1

次の文章の正誤を判定しなさい。

増資にあたり発生した株式の発行費用は「創立費」として処理する。

株式発行費用の処理では、何のために株式を交付したのかによって処理が異なります。 今回、「増資」にあたり発生した株式の発行費用なので、創立費ではなく「株式交付費」で処理します。
よって、正解は、× でした!

会社の設立のためなのか、増資のためなのか、問題文をよく読むことが重要です。