株式発行費用~創立費か株式交付費か~
今回は、簿記2級の仕訳問題でよく出る株式発行費用についてまとめました。クイズの解説と合わせてご覧下さい。
株式発行費用とは?
株式発行費用とは、株式を発行するのにかかった費用です。
株主募集のための広告費や証券会社への手数料などが該当します。
会計処理
株式発行費用の会計処理は、「創立費」と「株式交付費」の2パターンです。 例題とともに見ていきましょう。
創立費
創立費とは、会社の設立のためにかかった費用のことです。
設立登記にかかる費用や株主募集のための費用などが含まれ、発生した場合は原則として費用処理します。
当社は、設立にあたって発行可能株式総数1,000株のうち100株を1株50円で発行し、払込金額の全額を当座預金とした。ただし、会社法に規定する最低限度額を資本金として計上した。なお、株式の発行費用1,000円は現金で支払った。
払込金額は
50円×100株=5,000円
会社法に規定する最低限度額、すなわち払込金額の半分が資本金となり、残りは資本準備金となります。
今回は、会社の設立のために株式を発行していますので、それに係る費用は「創立費」となります。
よって、仕訳は以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 5,000 | 資本金 | 2,500 |
資本準備金 | 2,500 | ||
創立費 | 1,000 | 現金 | 1,000 |
株式交付費
株式交付費とは、会社設立後の増資を行うときにかかる費用のことです。
株式募集のための広告費や金融機関の手数料などが含まれ、発生した場合は原則として費用処理します。
当社は、増資にあたり1株につき60円で発行した。発行株式数は1,000株であり、払込金額の全額を当座預金とした。ただし、会社法に規定する最低限度額を資本金として計上した。なお、株式の発行費用5,000円は現金で支払った。
払込金額は
60円×1,000株=60,000円
会社法に規定する最低限度額、すなわち払込金額の半分が資本金となり、残りは資本準備金となります。
今回は、増資のために株式を発行していますので、それに係る費用は「株式交付費」となります。
よって、仕訳は以下のようになります。
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
---|---|---|---|
当座預金 | 60,000 | 資本金 | 30,000 |
資本準備金 | 30,000 | ||
株式交付費 | 5,000 | 現金 | 5,000 |
クイズ
次の文章の正誤を判定しなさい。
増資にあたり発生した株式の発行費用は「創立費」として処理する。
株式発行費用の処理では、何のために株式を交付したのかによって処理が異なります。
今回、「増資」にあたり発生した株式の発行費用なので、創立費ではなく「株式交付費」で処理します。
よって、正解は、× でした!
会社の設立のためなのか、増資のためなのか、問題文をよく読むことが重要です。