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Lesson1 給料

給料の立て替え

Chapter4の「商品売買に伴う諸経費」のLessonでも扱いましたが、会社は、取引先のために金銭を一時的に立て替え払いすることがあります。 しかし、今回扱うように、従業員のために立て替え払いするケースもあります。

具体的には、会社は従業員の求めに応じて、給料日の前に給料を支給することがあります。いわゆる「給料の前貸し」と呼ばれるものです。

会計処理

会計処理は、「金銭の立替時」と「立替金の回収時」の2パターンです。それぞれ例題とともに見ていきましょう。

金銭の立替時

金銭を一時的に立て替えて払った場合、後で立替額を回収する権利が生じます。よって、「立替金」勘定を用いて資産の増加として処理します。

なお、「立替金」勘定の代わりに、従業員に対してという意味合いを持たせた「従業員立替金」勘定を用いることもあります。

例題1

デビクレ株式会社は、従業員に対して給料5,000円を現金で前貸しした。

従業員から立替額5,000円を回収する権利が生じたため、資産の増加として「従業員立替金」勘定は借方に来ます。

現金で支払っているので、資産の減少として「現金」勘定は貸方に来ます。

よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
従業員立替金
5,000
現金
5,000

立替金の回収時

立替金を回収した場合、立替額を回収する権利がなくなります。 よって、「立替金」勘定を用いて資産の減少として処理します。

こちらも先ほど同様に、「立替金」勘定の代わりに、「従業員立替金」勘定を用いることもあります。

例題2

従業員に給料20,000円を支給するに際して、例題1の立替額5,000円を控除した残額15,000円を現金で支払った。

給料総額は20,000円なので、費用の発生として「給料」勘定は借方に来ます。

従業員から立替額5,000円を回収する権利がなくなったため、資産の減少として「従業員立替金」勘定は貸方に来ます。

残額15,000円が従業員に対して現金で支払われたものということになり、資産の減少として「現金」勘定は貸方に来ます。

よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
給料
20,000
従業員立替金
5,000
現金
15,000

源泉徴収とは?

今までの給料に関する取引では、税金については一切考慮しませんでした。 しかし、従業員の給料には所得税という税金がかかります。

例えば、給料100,000円、所得税5,000円であった場合を考えてみましょう。

本来、会社は給料総額100,000円を従業員に支払うはずですが、実際に支払うのは所得税5,000円を差し引いた95,000円になります。

このように、所得税を給料から差し引くことを源泉徴収といいます。 ちなみに、この所得税5,000円は従業員ではなく、代わりに会社が税務署に納付します。

会計処理

給料の会計処理は、給料の支払時と所得税の納付時の2パターンに分かれます。例題とともに見ていきましょう。

給料の支払時

給料を支払ったとき、まずはこれまで通り、給料の総額を「給料」勘定を用いて費用の増加として処理します。

そして、所得税については、「所得税預り金」勘定を用いて負債の増加として処理します。

負債で処理するのは、会社にとって源泉徴収した分を一時的に預かった上で、後に税務署に納付する義務が生じるからです。

例題3

デビクレ株式会社は、給料50,000円の支払いに際して、所得税1,000円を差し引いた残額を現金で支払った。

給料の総額は50,000円であるので、費用の増加として「給料」勘定は借方に来ます。

所得税は1,000円であるので、負債の増加として「所得税預り金」勘定は貸方に来ます。

残額49,000円が従業員に対して現金で支払われたものということになり、資産の減少として「現金」勘定は貸方に来ます。

よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
給料
50,000
所得税預り金
1,000
現金
49,000

所得税の納付時

所得税を納付したときは、源泉徴収した所得税の納付義務がなくなるため、「所得税預り金」勘定を用いて負債の減少として処理します。

例題4

例題3の所得税1,000円を現金で納付した。

所得税預り金という負債が減少するとともに、現金という資産も減少します。 つまり、「所得税預り金」勘定は借方に、「現金」勘定は貸方に来ます。

よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
所得税預り金
1,000
現金
1,000
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