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Lesson4 利益剰余金の配当と処分

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利益剰余金の配当

利益剰余金の配当とは、会社が生み出した利益を株主に分配することをいいます。

配当額は、決算日の翌日から3ヶ月以内に開催される定時株主総会で決定します。株主に支払う配当金の総額は次の計算式により算定します。

配当金の金額の算出式

配当金総額 = 1株当たりの配当金 × 発行済み株式総数

会計処理

会計処理は、「配当金の決定」と「配当金の支払い」2パターンあります。それぞれ例題とともに見ていきましょう。

配当金の決定

利益剰余金の配当をした場合、借方では「繰越利益剰余金」勘定を用いて純資産の減少を示します。

さて、相手勘定科目はどうなるでしょうか。実際には、会社は配当の支払額が決定してすぐに株主に支払うわけではありません。 よって、配当金の決定時点では、配当金の支払義務を意味する「未払配当金」勘定を用いて負債の増加として処理します。

「未払配当金」勘定は「未払金」勘定の一種で、「配当金に関する未払金」を意味する勘定科目です。

例題1

定時株主総会において、利益剰余金からの配当(配当額は1株当たり10円)を決議した。なお、当社の発行済株式総数は300株である。
また、利益準備金の積み立てはゼロとする。

配当により、稼いだ利益が減少するため、純資産の減少として「繰越利益剰余金」勘定は借方に来ます。

繰越利益剰余金の金額は以下のようになります。

10円×300株=3,000円

また、配当金の支払義務が増加するため、負債の増加として、「未払配当金」勘定は貸方に来ます。

よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
繰越利益剰余金
3,000
未払配当金
3,000

配当金の支払い

配当金を実際に支払っときは、支払義務が消滅するので、「未払配当金」勘定を用いて負債の減少として処理します。

例題2

配当金3,000円を当座預金から支払った。

配当金の支払義務がなくなるので、負債の減少として「未払配当金」は借方に来ます。

よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
未払配当金
3,000
当座預金
3,000

利益剰余金の処分(利益準備金の積立)

利益準備金とは、会社が計上した利益のうち、分配不能の金額(配当禁止の金額)のことをいいます。

会社法において、株主に配当を行うときには、利益準備金の積み立てが義務づけられています。すなわち会社が生み出した利益を全て株主に配当するのではなく、一部は配当せずに残しておきましょうということです。

これは、過度に株主に配当が行われると会社の財務基盤が弱まり、債権者が不利益を被るおそれがあるため、それを防止する必要があるからです。

会計処理

利益準備金の積み立てを行う場合、「繰越利益剰余金」(純資産)から「利益準備金」(純資産)へ振り替えます。

なお、利益準備金の積み立ては配当時に行うため、先ほどやった利益剰余金の配当金の仕訳と同時に行われます。 ただし、一定額以上の利益準備金を積み立てていればそれ以上の積み立ては不要となるので、問題上ゼロということもあります。

例題3

定時株主総会において、利益剰余金の配当3,000円、利益準備金の積み立て300円を決議した。

まず、利益剰余金の配当額が3,000円なので、剰余金の配当金の仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
繰越利益剰余金
3,000
未払配当金
3,000

利益準備金の積み立て300円も同時に行われているので、剰余金の処分の仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
繰越利益剰余金
300
利益準備金
300

したがって、本例題の仕訳は、この2つの仕訳を合わせて以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
繰越利益剰余金
3,300
未払配当金
3,000
利益準備金
300
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