Debicreaccount_circle

Lesson10 帳簿の締切り(決算振替仕訳)

帳簿の締切りとは?

帳簿の締切りとは、次期の帳簿記入に備えるために帳簿の各勘定を整理することです。
翌期の勘定記入をスタートさせるためには、勘定において当期と翌期の区切りがついている必要があります。そこで、当期と翌期の区切りをつけるために、帳簿の締切りを行います。
帳簿の締切りは、Chapter1の「簿記一巡の流れ」にて学習しましたが、決算整理後残高試算表の作成後に行います。

帳簿の締め切りの流れ

帳簿の締切は、大きく分けて3ステップで行われます。
順に見ていきましょう。

① 損益振替

損益振替とは、収益と費用の全ての勘定をゼロにして損益勘定に振り替えることです。
損益勘定は、帳簿の締切りの時にしか使わない特殊な勘定科目です。
資産、負債、資本は、次期に当期の残高を引き継ぎますが、収益・費用の当期の残高はあくまで当期の費用・収益なので次期には引き継ぎません。
そこで、まず最初に損益振替を行い、収益・費用の各勘定を整理します。

例題1

仕入の借方残高800円および売上の貸方残高1,500円について損益振替をしなさい。

重要なのは、費用・収益の勘定はゼロにするということです。
よって、「仕入」勘定(費用)は貸方に、「売上」勘定(収益)は借方に持っていくことでゼロにすることが出来ます。そして、相手勘定科目は、「損益」となります。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
損益
800
仕入
800
売上
1,500
損益
1,500

振り替えられた損益勘定だけをまとめると、損益勘定の左右で差額が生じます。この差額が、当期純利益または当期純損失となります。
例題1の損益勘定の場合、貸方側(収益)が700円多いので、当期純利益が700円となります。

② 資本振替

資本振替とは、「損益」勘定をゼロにして、「繰越利益剰余金」勘定に振り替えることです。
繰越利益剰余金は純資産(資本)なので、増えたら貸方、減ったら借方となります。
Chapter3のLessonで、会社が利益を出すと、その分は会社の純資産(資本)になるということを学びましたね。それを仕訳にしたものが資本振替ということです。

例題2

例題1の場合において、資本振替をしなさい。

例題1において、損益勘定の貸方の方が700円多いため、当期純利益が700円発生したことが分かりました。
損益勘定をゼロにするので、これを借方側に持ってきます。そして、相手勘定科目は、資本の増加として繰越利益剰余金となります。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
損益
700
繰越利益剰余金
700

当期純損失が700円発生した場合は、以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
繰越利益剰余金
700
損益
700

③ 帳簿の締切り

①と②によって、収益と費用については借方と貸方の合計が一致しているはずです。 収益と費用の締切りでは、これらが一致していることを確認してから、金額の下に二重線を引いて締め切ります。

[収益・費用の締め切りの図]

資産・負債・資本については、借方と貸方で合計が一致していません。 そこで、残高がある側と反対側に「次期繰越」と記入して、借方と貸方で一致させてから金額の下に二重線を引いて締め切ります。 その後、「次期繰越」と書いた反対側の二重線の下に「前期繰越」を記入して、残高がどれだけ残っているのかが分かるようにします。

[資産・負債・純資産の締め切りの図]

演習問題を解く