Debicreaccount_circle

Lesson2 現金過不足の整理

現金過不足の整理の概要

Chapter5の「現金過不足」にて扱ったように、現金過不足の原因がわかったときは、確定した勘定科目に振り替える処理をしました。
しかし、中には原因がわからない場合もあり、その場合は決算整理仕訳が必要になります。
現金過不足に関する決算整理仕訳は、次の2パターンについて学習します。

① 期中で現金過不足が生じ、その原因が決算日まで判明しなかった場合
② 決算日に現金過不足が生じ、その原因が判明しなかった場合

まずはそれぞれのパターンの概要について見ていきましょう。

期中で現金過不足が生じ、その原因が決算日まで判明しなかった場合

期中で生じた現金過不足の原因が決算日になっても判明しない場合があります。
この場合、「現金過不足」勘定(仮勘定)の決算整理前残高はゼロになっていません。
「現金過不足」勘定は仮勘定であり、財務諸表には計上しない勘定科目であるため、決算整理仕訳が必要になります。

決算日に現金過不足が生じ、その原因が判明しなかった場合

貸借対照表に計上される「現金」勘定(資産)の金額は、決算日において実際に保有している現金の金額(実際有高)にします。
このため、会社は決算日に現金実査を行って、 現金過不足の有無を確認します。
このとき、新たに現金過不足が判明した場合は決算整理仕訳を行います。

会計処理

現金過不足の整理の会計処理は、「期中で現金過不足が生じ、その原因が決算日まで判明しなかった場合」と「決算日に現金過不足が生じ、その原因が判明しなかった場合」の2パターンです。
それぞれ例題とともに見ていきましょう。

期中で現金過不足が生じ、その原因が決算日まで判明しなかった場合

現金過不足の原因が決算日においても判明しなかった場合、「現金過不足」勘定(仮勘定)の残高をゼロとします。
そのうえで、「雑損」勘定(費用)または「雑益」勘定(収益)を計上します。
具体的には、「現金過不足」勘定の決算整理前残高が借方残高のときは「雑損」、貸方残高のときは「雑益」を計上します。

例題1

デビクレ株式会社は、決算日になったが、現金過不足勘定10,000円(借方残高)の原因は不明である。

「現金過不足」勘定は借方残高であるので、これを貸方に持ってくることでゼロにするとともに、相手勘定科目は「雑損」となります。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
雑損
10,000
現金過不足
10,000
例題2

デビクレ株式会社は、決算日になったが、現金過不足勘定10,000円(貸方残高) の原因は不明である。

「現金過不足」勘定は貸方残高であるので、これを借方に持ってくることでゼロにするとともに、相手勘定科目は「雑益」となります。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金過不足
10,000
雑益
10,000

決算日に現金過不足が生じ、その原因が判明しなかった場合

決算日に現金過不足が生じ、その原因が判明しなかった場合、「現金」勘定(資産) の残高を現金の実際有高に修正するとともに、「雑損」勘定(費用)または「雑益」 勘定(収益)を計上します。
つまり、期中仕訳と異なり、「現金過不足」勘定(仮勘定)は用いません。
これは、すでに決算日になっているため、現金過不足の原因を調査する時間がないためです。

例題3

デビクレ株式会社の決算日の現金実際有高は9,000円であり、現金の勘定残高10,000円との差異は原因不明である。

現金の勘定残高10,000円を現金の実際有高である9,000円にするために、「現金」勘定を1,000円減少させます。
よって、「現金」勘定は資産の減少として貸方となり、相手勘定科目は「雑損」となります。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
雑損
1,000
現金
1,000
例題3

デビクレ株式会社の決算日の現金実際有高は11,000円であり、現金の勘定残高10,000円との差異は原因不明である。

現金の勘定残高10,000円を現金の実際有高である11,000円にするために、「現金」勘定を1,000円増加させます。
よって、「現金」勘定は資産の増加として借方となり、相手勘定科目は「雑益」となります。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
1,000
雑益
1,000
演習問題を解く