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Lesson7 減価償却

減価償却とは

土地以外の固定資産(建物、車両、備品など)は、使用したり時が経過したりすることで減価(価値が減少)していきます。
減価償却は、その実態を会計帳簿に反映させるための手続きです。
具体的には、減価した金額について固定資産を減額させ、その分を費用として計上します。
ちなみに、土地は時の経過により価値が減少する性質のものではないため、減価償却の対象にはなりません。

毎期の減価償却額は、取得原価耐用年数残存価額の3つの要素を使って算定します。

毎期の減価償却額の算出式

毎期の減価償却額=(取得原価ー残存価額)÷耐用年数

取得原価とは、購入代価に付随費用を加えた金額のことです。
耐用年数とは、固定資産の利用可能年数のことです。
残存価額とは、耐用年数到来時の見積売却価額のことです。ゼロの場合もあれば取得原価の10%の場合もあります。

なお、この算定方法は、固定資産の価値が毎期同じだけ減少するという考え方に基づいており、定額法といいます。
実をいうと、定額法以外にも算定方法はありますが、簿記3級の試験では定額法のみが出題されます。

会計処理

減価償却の決算整理仕訳では、借方は「減価償却費」勘定(費用)、貸方は「減価償却累計額」勘定(資産の控除項目)とします。
なお、「減価償却累計額」の代わりに「建物減価償却累計額」のように、どの固定資産についてなのかが分かるように書く場合が多いです。
減価償却累計額とは、その名の通り今まで減価償却した金額の合計額です。資産の減少総額を表しており、評価勘定と呼ばれます。

ただし、減価償却する固定資産が期中に取得されたものである場合、月割り計算が必要になります。
なぜなら、当期に使用した分だけを減価償却費として当期の損益計算書の費用に計上するためです。

例題1

デビクレ株式会社は、決算日につき、当期首に取得した建物(取得原価10,000円)について減価償却を行う。なお、減価償却方法は定額法(耐用年数10年、残存価額はゼロ)とする。

取得原価は10,000円、残存価額はゼロ、耐用年数は10年なので、減価償却費は
(10,000円-0円)/10年=1,000円
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
減価償却費
1,000
建物減価償却累計額
1,000
例題2

×2年3月31日、決算日につき、×1年8月1日に取得した建物(取得原価10,000円)について減価償却を行う。なお、減価償却方法は定額法(耐用年数30年、残存価額は取得原価の10%)とする。

今回は例題1のように建物を期首に取得しておらず、期中に取得しているので、当期のうち使用している期間分の減価償却費を計上します。
取得原価は10,000円、残存価額は1,000円(10,000円×10%)、耐用年数は30年、当期分の使用期間は8ヶ月(×1年8月1日〜×2年3月31日)なので、減価償却費は
(10,000円-1,000円)/30年×8/12=200円
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
減価償却費
200円
建物減価償却累計額
200円

土地以外の固定資産を売却した場合の処理(期中仕訳)

Chapter6の「固定資産の売却」のLessonでは、土地の売却のみを扱いました。
減価償却をしている固定資産(建物や備品、車両など)を売却した場合、「建物」勘定など(資産)を減少させるとともに、同時に「減価償却累計額」勘定(資産の控除項目)も減少させる処理を行います。
その上で、「固定資産売却損」勘定(費用)または「固定資産売却益」勘定(収益)を、売却価額と帳簿価額の差額として算定されます。
ここで、帳簿価額とは、取得原価から減価償却累計額を引いた価額のことです。

「減価償却累計額」勘定を減少させる理由は、資産の評価勘定だからです。売却によって資産がなくなった場合、その資産に対する評価勘定も同時に減少させるのです。

例題3

デビクレ株式会社は、取得原価3,000円、減価償却累計額1,000円の建物を2,500円で売却し、現金を受け取った。

資産の減少として「建物」勘定は貸方に、資産の控除項目の減少として「減価償却累計額」勘定は借方に来ます。
ここで、売却金額2,500円 > 帳簿価額2,000円(3,000円ー1,000円)であるので、差額の500円については「固定資産売却益」勘定を用いて収益の発生として処理します。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
建物減価償却累計額
1,000
建物
3,000
現金
2,500
固定資産売却益
500
例題4

デビクレ株式会社は、取得原価3,000円、減価償却累計額1,000円の建物を1,800円で 売却し、現金を受け取った。

資産の減少として「建物」勘定は貸方に、資産の控除項目の減少として「減価償却累計額」勘定は借方に来ます。
ここで、売却金額1,800円 > 帳簿価額2,000円(3,000円ー1,000円)であるので、差額の200円については「固定資産売却損」勘定を用いて費用の発生として処理します。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
減価償却累計額
1,000
建物
3,000
現金
1,800
固定資産売却損
200
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