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Lesson9 経過勘定

費用の繰り延べ

費用の繰り延べとは、翌期の費用を当期に支払った場合に、翌期の費用を当期の費用から取り除くことです。
よって、当期中に翌期分の費用を先に支払った場合は、決算時に費用の繰り延べを行わなければなりません。
費用の繰り延べの決算整理仕訳は、翌期分の費用を減少させて、新たに「前払費用」勘定を用いて資産の増加として処理します。

例題1

デビクレ株式会社(会計期間は4月1日~3月31日)は×1年8月1日に向こう1年分の家賃30,000円を現金で支払った。
(1) 支払い時(×1年8月1日)の仕訳をしなさい。
(2) 決算日(×2年3月31日)の仕訳をしなさい。
(3) 翌期首(×2年3月31日)の仕訳をしなさい。

(1) 家賃の支払い時は、期中仕訳として、「支払家賃」勘定(費用)で処理します。
よって仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
支払家賃
30,000
現金
30,000

(2) 向こう1年分とは、×1年8月1日から×2年7月31日の12ヶ月分のことです。
よって、×2年4月1日から×2年8月1日までの4ヶ月間は、翌期に該当するため、決算時には費用の繰り延べをします。
翌期の分の家賃は以下の式で出すことができます。

30,000円×4/12=10,000円

よって仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
前払費用(前払家賃)
10,000
支払家賃
10,000

(3) 翌期首になったら、再振替仕訳を行います。すなわち、前期末に行った決算整理仕訳の逆仕訳です。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
支払家賃
10,000
前払費用(前払家賃)
10,000

収益の繰り延べ

収益の繰り延べとは、翌期の収益を当期に受け取った場合に、翌期の収益を当期の収益から取り除くことです。
よって、当期中に翌期分の費用を先に支払った場合は、決算時に費用の繰り延べを行わなければなりません。
収益の繰り延べの決算整理仕訳は、翌期分の収益を減少させて、新たに「前受収益」勘定を用いて負債の増加として処理します。

例題2

デビクレ株式会社(会計期間は4月1日~3月31日)は、×1年8月1日に得意先から向こう1年分の地代240,000円を現金で受け取った。
(1) 受取り時(×1年8月1日)の仕訳をしなさい。
(2) 決算日(×2年3月31日)の仕訳をしなさい。
(3) 翌期首(×2年3月31日)の仕訳をしなさい。

(1) 地代の受取時は、期中仕訳として、「受取地代」勘定(収益)で処理します。
よって仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
240,000
受取地代
240,000

(2) 向こう1年分とは、×1年8月1日から×2年7月31日の12ヶ月分のことです。
よって、×2年4月1日から×2年8月1日までの4ヶ月間は、翌期に該当するため、決算時には収益の繰り延べをします。
翌期の分の地代は以下の式で出すことができます。

240,000円×4/12=80,000円

よって仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
受取地代
80,000
前受収益(前受地代)
80,000

(3) 翌期首になったら、再振替仕訳を行います。すなわち、前期末に行った決算整理仕訳の逆仕訳です。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
前受収益(前受地代)
80,000
受取地代
80,000

費用の見越し

費用の見越しとは、当期に発生した費用を翌期以降に支払いを行うときに、まだ支払っていない当期分の費用を当期の費用として計上することです。
当期分の費用を翌期以降に支払う場合は、決算時に費用の見越しを行わなければなりません。
費用の見越しの決算整理仕訳は、当期分の費用を増加させて、新たに「未払費用」勘定を用いて負債の増加として処理します。

例題3

デビクレ株式会社(会計期間は4月1日~3月31日)は、×1年11月1日に、得意先から現金1,000,000円を1年間の約束で借り入れた。この借入金に対する利息(年1.2%)は、その返済日に借入金とあわせて支払うことになっている。
(1) 借入れ時(×1年11月1日)の仕訳をしなさい。
(2) 決算日(×2年3月31日)の仕訳をしなさい。
(3) 翌期首(×2年4月1日)の仕訳をしなさい。

(1) 借り入れた時は、期中仕訳として、「借入金」勘定(負債)で処理します。
よって仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
現金
1,000,000
借入金
1,000,000

(2) 約束期間は1年間(×1年11月1日から×2年10月31日の12ヶ月分)であり、利息は×2年10月31日に支払います。
よって、×1年11月1日から×2年3月31日までの5ヶ月間は、当期に該当するため、決算時には費用の見越しをします。
当期の分の利息は以下の式で出すことができます。

1,000,000円×0.012×5/12=5,000円

よって仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
支払利息
5,000
未払費用(未払利息)
5,000

(3) 翌期首になったら、再振替仕訳を行います。すなわち、前期末に行った決算整理仕訳の逆仕訳です。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
未払費用(未払利息)
5,000
支払利息
5,000

収益の見越し

収益の見越しとは、当期に発生した収益を翌期以降に受け取りを行うときに、まだ受け取っていない当期分の収益を当期の収益として計上することです。
当期分の収益を翌期以降に受け取る場合は、決算時に収益の見越しを行わなければなりません。
収益の見越しの決算整理仕訳は、当期分の収益を増加させて、新たに「未収収益」勘定を用いて資産の増加として処理します。

例題4

デビクレ株式会社(会計期間は4月1日~3月31日)は、×1年11月1日に、得意先に対して現金1,000,000円を1年間の約束で貸し付けた。この貸付金に対する利息(年1.2%)は、その返済日に貸付金とあわせて支払われることになっている。
(1) 貸付け時(×1年11月1日)の仕訳をしなさい。
(2) 決算日(×2年3月31日)の仕訳をしなさい。
(3) 翌期首(×2年4月1日)の仕訳をしなさい。

(1) 貸し付けた時は、期中仕訳として、「貸付金」勘定(資産)で処理します。
よって仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
貸付金
1,000,000
現金
1,000,000

(2) 約束期間は1年間(×1年11月1日から×2年10月31日の12ヶ月分)であり、利息は×2年10月31日に受け取ります。
よって、×1年11月1日から×2年3月31日までの5ヶ月間は、当期に該当するため、決算時には収益の見越しをします。
当期の分の利息は以下の式で出すことができます。

1,000,000円×0.012×5/12=5,000円

よって仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
未収収益(未収利息)
5,000
受取利息
5,000

(3) 翌期首になったら、再振替仕訳を行います。すなわち、前期末に行った決算整理仕訳の逆仕訳です。
よって、仕訳は以下のようになります。

借方科目
金額
貸方科目
金額
受取利息
5,000
未収収益(未収利息)
5,000
演習問題を解く