Lesson 10
整理後残高と帳簿の締切り
このレッスンで学ぶこと
決算整理後の収益と費用を損益勘定へ集め、純損益を繰越利益剰余金へ移します。費用の勘定と、翌期へ繰り越す残高を区別して帳簿を締め切ります。

決算整理後の収益と費用を損益へ集め、その差額の純利益または純損失を繰越利益剰余金へ振り替えます。
3級の復習
収益・費用は損益勘定へ振り替えて、翌期はゼロから始めます。資産・負債・純資産の残高は、次期へ繰り越します。
整理後残高を使う
決算整理後残高試算表は、決算整理仕訳を記帳した後の残高を集めた表です。この段階では、まだ収益や費用の残高が残っています。
損益振替に使うのは、整理前の金額や当期の支払額ではなく、この整理後残高です。すでに記帳した引当金繰入れや減価償却を、締切りのためにもう一度計上することはありません。
収益と費用を損益へ集める
損益振替では、収益・費用の各勘定をゼロにします。
- 収益の貸方残高を消すには、収益科目を借方、損益を貸方に記録します
- 費用の借方残高を消すには、損益を借方、費用科目を貸方に記録します
当社の整理後残高は、売上8,000円と有価証券評価益1,000円が貸方、貸倒引当金繰入1,000円と減価償却費2,000円が借方であった。収益・費用はこの四科目だけとする。
収益9,000円は、各収益科目の借方から損益の貸方へ集めます。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
売上 | 8,000 | 損益 | 9,000 |
有価証券評価益 | 1,000 |
費用3,000円は、各費用科目の貸方から損益の借方へ集めます。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
損益 | 3,000 | 貸倒引当金繰入 | 1,000 |
減価償却費 | 2,000 |
このとき、貸倒引当金や減価償却累計額は取り崩しません。損益へ移すのは当期費用である繰入額や減価償却費であり、貸借対照表に残る引当金・累計額とは別です。
純利益を繰越利益剰余金へ移す
上の損益勘定では、貸方9,000円から借方3,000円を引いた6,000円が当期純利益です。
損益の貸方残高6,000円を消すため、損益を借方に記録します。利益の蓄積が増えるため、繰越利益剰余金を貸方に記録します。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
損益 | 6,000 | 繰越利益剰余金 | 6,000 |
振替前の繰越利益剰余金が貸方4,000円なら、振替後は貸方10,000円です。
純損失なら向きが逆になる
別の会社では、収益・費用の振替後の損益が借方5,000円の残高となった。これは当期純損失5,000円を表します。
損失により繰越利益剰余金を減らすため借方、損益の借方残高を消すため貸方に記録します。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
繰越利益剰余金 | 5,000 | 損益 | 5,000 |
振替前の繰越利益剰余金が貸方6,000円なら、振替後は貸方1,000円です。当期の損失だけでなく、それまでの残高も含めて次期繰越額を求めます。
次期繰越と翌期の残高を区別する
収益・費用・損益は、振替後に残高がゼロになります。一方、残高を引き継ぐ勘定は、元帳を締め切る際に残高と反対側へ「次期繰越」を記入します。
| 当期末の残高 | 締切り時の次期繰越 | 翌期首の前期繰越 |
|---|---|---|
| 借方残高 | 貸方へ記入 | 借方へ記入 |
| 貸方残高 | 借方へ記入 | 貸方へ記入 |
「次期繰越」を反対側へ書いても、残高の性質が逆になるわけではありません。例えば、繰越利益剰余金の期末貸方残高1,000円は、翌期も貸方残高1,000円から始まります。
まとめ
- 損益振替には、決算整理後の収益・費用の残高を使います
- 純利益の振替は損益を借方、純損失の振替は損益を貸方に記録します
- 翌期へ引き継ぐ残高の借貸と、締切り時の「次期繰越」の記入側を区別します