Lesson 12

報告式貸借対照表と流動・固定の区分

このレッスンで学ぶこと

報告式の貸借対照表では、資産・負債・純資産を区分して上から並べます。流動・固定の区分と、貸倒引当金や減価償却累計額を控除した金額を確認します。

報告式貸借対照表では資産、負債、純資産を縦に並べ、資産と負債の中を流動・固定に区分する。

報告式では資産・負債・純資産を縦に並べ、資産と負債をそれぞれ流動・固定に分けます。

3級の復習

貸借対照表は、期末時点の財政状態を示す書類です。資産の合計は、負債と純資産の合計に一致します。

財務諸表(貸借対照表・損益計算書・精算表)

左右に資産の部と負債・純資産の部を並べる勘定式でも、区分や金額の考え方は同じです。

流動と固定を分ける二つの基準

正常営業循環基準は、商品の仕入れ・販売・代金回収という通常の営業の流れにあるものを、流動に区分する考え方です。正常な営業循環の中にある売掛金や買掛金は、回収や支払いが1年を超えても流動に区分します。

一年基準は、通常の営業循環以外のものについて、決算日の翌日から1年以内に回収・支払いなどの期限が来るかをみる考え方です。

例 区分
普通預金、通常の売掛金、商品 流動資産
2年後に回収する営業外の貸付金 固定資産
通常の買掛金、1年以内に返済する借入金 流動負債
返済期限が1年を超える借入金 固定負債

「1年を超えるか」だけで、正常な営業循環にある売掛金や買掛金を固定へ移さないことが大切です。

固定資産の中も区分する

固定資産の区分 主な項目
有形固定資産 建物、備品など
無形固定資産 ソフトウェア、のれんなど
投資その他の資産 長期貸付金、投資有価証券など

減価償却累計額は固定負債ではなく、対応する有形固定資産から差し引く項目です。貸倒引当金も、対象となる債権から控除します。

繰延税金資産・繰延税金負債は、同一納税主体のものを相殺して表示します。相殺後に繰延税金資産が残る場合は投資その他の資産、繰延税金負債が残る場合は固定負債です。もとになった資産が流動資産でも、この表示区分は変わりません。

例題 資産を差引額で集計する

決算整理後の資産関係の残高は次のとおりで、ほかに資産はなかった。売掛金は通常の営業取引によるものである。

(単位:円)

科目・内容 残高
普通預金 6,000
売掛金 10,000
売掛金に対する貸倒引当金 2,000
建物 30,000
建物減価償却累計額 9,000
自社利用のソフトウェア 4,000
2年後に回収する営業外の貸付金 5,000

流動資産は、普通預金と、貸倒引当金を差し引いた売掛金です。

流動資産合計=6,000+(10,000−2,000)=14,000円

固定資産は、建物の差引額にソフトウェアと長期貸付金を加えます。

固定資産合計=(30,000−9,000)+4,000+5,000=30,000円

資産合計は14,000+30,000=44,000円です。貸倒引当金や減価償却累計額を、負債へ重ねて加えません。

長期借入金のうち1年以内の返済額を分ける

上の会社の負債は、買掛金7,000円と長期借入金16,000円だけであった。長期借入金のうち4,000円は決算日の翌日から1年以内に返済し、残りは1年を超えてから返済する。

1年以内に返済する4,000円は、流動負債へ区分します。固定負債に残す長期借入金は16,000−4,000=12,000円です。

流動負債合計=買掛金7,000+1年内返済分4,000=11,000円

固定負債合計=12,000円

負債合計は23,000円のままです。1年内返済分を流動負債へ移した後、固定負債に16,000円の全額を残すと二重計上になります。

報告式で三つの部を並べる

例題の純資産は、資本金15,000円と繰越利益剰余金6,000円であった。区分ごとの合計を中心に並べると、次のようになります。

(単位:円)

項目 金額
資産の部
流動資産合計 14,000
固定資産
有形固定資産 21,000
無形固定資産 4,000
投資その他の資産 5,000
固定資産合計 30,000
資産合計 44,000
負債の部
流動負債合計 11,000
固定負債合計 12,000
負債合計 23,000
純資産の部
株主資本
資本金 15,000
利益剰余金
その他利益剰余金
繰越利益剰余金 6,000
株主資本合計 21,000
純資産合計 21,000
負債・純資産合計 44,000

資産44,000円と、負債23,000円+純資産21,000円が一致します。その他有価証券評価差額金があれば、株主資本とは別に純資産の部へ表示し、その金額も純資産合計に含めます。

まとめ

  • 正常な営業循環を先に確認し、それ以外は一年基準などで区分します
  • 貸倒引当金や減価償却累計額は、対応する資産から控除します
  • 長期借入金の1年内返済分を分けても、負債合計は変わりません