Lesson 3
利益剰余金と任意積立金
このレッスンで学ぶこと
会社に残った利益は、利益準備金や繰越利益剰余金などに分けて表示します。利益剰余金の中で、積み立てたり元に戻したりする処理を学びます。

株主総会の決議により効力が生じた積立ては、利益剰余金の中での振替です。
3級の復習
利益から配当を決めると、繰越利益剰余金が減り、未払配当金が増えます。一方、利益準備金の積立ては、利益剰余金の中での振替です。
利益剰余金の区分を整理する
利益剰余金は、会社が得た利益のうち、配当などで社外へ分配せずに蓄積している部分です。利益準備金と、その他利益剰余金に分けます。
| 区分 | 主な科目と内容 |
|---|---|
| 利益準備金 | 利益からの配当などに伴い、法令に従って積み立てる額 |
| その他利益剰余金 | 任意積立金と繰越利益剰余金 |
任意積立金は、株主総会の決議などにより利益を取り分けて表示するものです。別途積立金や修繕積立金など、内容に応じた科目を使います。繰越利益剰余金は、利益剰余金のうち利益準備金や任意積立金として分けていない残りです。
資本準備金は資本剰余金、利益準備金は利益剰余金に含まれます。「準備金」という共通の名前だけで区分を判断しないようにします。
例題 別途積立金を積み立てる
株主総会で、繰越利益剰余金12,000円のうち4,000円を別途積立金へ振り替えることが決議され、同日に効力が生じた。利益剰余金の内部振替だけを行う。
繰越利益剰余金が減るため、借方に4,000円を記録します。別途積立金が増えるため、貸方に同じ額を記録します。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
繰越利益剰余金 | 4,000 | 別途積立金 | 4,000 |
繰越利益剰余金は8,000円になり、別途積立金が4,000円増えます。利益剰余金の合計は変わらず、費用も生じません。
積立金は利益の区分を示すもので、同額の現金や預金を別に保管しているとは限りません。専用の預金口座へ移す取引があれば、その資産の移動は別の処理です。
積立金を繰越利益剰余金へ戻す
別途積立金のうち1,000円を取り崩し、繰越利益剰余金へ戻すことが決議され、同日に効力が生じた。
今度は別途積立金が減るため借方、繰越利益剰余金が増えるため貸方に記録します。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
別途積立金 | 1,000 | 繰越利益剰余金 | 1,000 |
積立てのときと借方・貸方が逆になります。この取崩しだけで当期の利益が増えるわけではありません。
利益準備金を減らす場合
利益準備金の減少により生じた額は、繰越利益剰余金へ振り替えます。資本準備金の減少ではその他資本剰余金を使うこととの違いに注意します。
利益準備金3,000円を減少させ、全額を繰越利益剰余金へ振り替えることが決議された。必要な手続を終えて本日、減少の法的効力が生じた。株主への配当は行わない。
減る利益準備金を借方、増える繰越利益剰余金を貸方に記録します。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
利益準備金 | 3,000 | 繰越利益剰余金 | 3,000 |
利益剰余金の合計は変わりません。配当の決議や支払いを伴わない内部振替なので、未払配当金や預金は使いません。
まとめ
- 利益準備金・任意積立金・繰越利益剰余金は、いずれも利益剰余金に含まれます
- 任意積立金の積立てや取崩しは、利益剰余金の内部振替です
- 利益準備金の減少では、法的効力が生じた時点で繰越利益剰余金へ振り替えます