Lesson 2
親会社と子会社は、別々の会社として帳簿をつけています。しかし、企業グループ全体の財政状態を知るには、各社の貸借対照表を並べるだけでは不十分です。このレッスンでは、子会社を取得した日の連結貸借対照表を作るために、投資と資本を相殺消去する方法を学びます。
貸借対照表は、資産・負債・純資産で構成され、資産の合計と負債・純資産の合計が一致します。純資産は、資産から負債を差し引いた金額です。
他の会社を支配している会社を親会社、支配されている会社を子会社といいます。連結貸借対照表は、親会社と子会社を1つの企業グループとみて作成します。
親会社の貸借対照表には、子会社への投資が「子会社株式」として計上されています。一方、子会社には、その投資の対象となる資産・負債・純資産があります。両社を単純に足し合わせると、グループ内部の投資と、それに対応する子会社の資本が重複します。
そこで、親会社の投資と、子会社の資本のうち親会社に対応する部分を相殺消去します。この処理は連結のための修正であり、親会社や子会社の個別の帳簿を書き換えるものではありません。
| 連結前に確認するもの | 連結での扱い | 理由 |
|---|---|---|
| 親会社の子会社株式 | 投資額を消去 | グループ内部への投資だから |
| 子会社の資本のうち親会社に対応する部分 | 投資と相殺消去 | 投資の対象として重複するから |
| 子会社の資本のうち親会社以外に対応する部分 | 非支配株主持分へ振替 | 親会社以外の株主の持分だから |
ここでは、支配獲得日の子会社の資本を、親会社とそれ以外の株主の持分に分けます。このレッスンでは、子会社の資産・負債の時価と帳簿価額が等しいため、子会社の資本金と利益剰余金の合計に親会社の持分比率を乗じて、親会社に対応する額を求めます。取得した子会社株式の金額がこの額を上回る場合、その差額を「のれん」勘定を用いて資産として計上します。
また、子会社の株式を100%取得していなければ、親会社以外の株主の持分が残ります。これが非支配株主持分で、連結貸借対照表の純資産の部に表示します。
P社は、決算日にS社の議決権のある普通株式80%を1,680,000円で取得し、S社に対する支配を獲得した。S社の残りの株式は、グループ外の株主が所有している。
取得直後の両社の貸借対照表は、次のとおりであった。S社の資産・負債の時価は帳簿価額に等しく、取得関連費用および両社間の債権債務はない。支配獲得日後の期間はなく、のれんの償却は行わない。
| 項目 | P社 円 | S社 円 |
|---|---|---|
| 子会社株式 | 1,680,000 | 0 |
| その他の資産 | 3,500,000 | 2,200,000 |
| 資産合計 | 5,180,000 | 2,200,000 |
| 負債 | 1,800,000 | 600,000 |
| 資本金 | 3,000,000 | 1,200,000 |
| 利益剰余金 | 380,000 | 400,000 |
| 負債・純資産合計 | 5,180,000 | 2,200,000 |
支配獲得日の連結修正仕訳を示し、連結貸借対照表の資産、負債、純資産の合計額を求めなさい。
S社の資本は1,200,000+400,000=1,600,000円です。これを親会社の80%と、非支配株主の20%に分けます。
| S社の資本の帰属先 | 計算 | 金額 円 |
|---|---|---|
| 親会社持分 | 1,600,000×80% | 1,280,000 |
| 非支配株主持分 | 1,600,000×20% | 320,000 |
| 合計 | 1,280,000+320,000 | 1,600,000 |
取得価額1,680,000円が親会社持分1,280,000円を400,000円上回るため、のれん400,000円を計上します。S社の資本全額1,600,000円を取得価額から差し引かないようにしましょう。
まず、S社の資本金1,200,000円と利益剰余金400,000円を全額、借方に記録します。親会社に対応する80%は投資と相殺し、残りの20%は非支配株主持分に振り替えるためです。また、資産の減少として、P社の「子会社株式」勘定1,680,000円を貸方に記録します。
のれんは資産の増加として借方に、非支配株主持分は純資産の増加として貸方に記録します。よって、連結修正仕訳は以下のようになります。
(単位:円)
借方科目 | 金額 |
貸方科目 | 金額 |
|---|---|---|---|
資本金 | 1,200,000 | 子会社株式 | 1,680,000 |
利益剰余金 | 400,000 | 非支配株主持分 | 320,000 |
のれん | 400,000 |
借方合計・貸方合計は、ともに2,000,000円です。
まず両社の金額を合算し、連結修正仕訳を反映します。S社を支配しているため、S社の資産・負債は全額を合算します。80%だけを取り込むわけではありません。
| 項目 | 単純合算 円 | 連結修正 円 | 連結後 円 |
|---|---|---|---|
| 子会社株式 | 1,680,000 | △1,680,000 | 0 |
| その他の資産 | 5,700,000 | 0 | 5,700,000 |
| のれん | 0 | +400,000 | 400,000 |
| 資産合計 | 7,380,000 | △1,280,000 | 6,100,000 |
| 負債 | 2,400,000 | 0 | 2,400,000 |
| 資本金 | 4,200,000 | △1,200,000 | 3,000,000 |
| 利益剰余金 | 780,000 | △400,000 | 380,000 |
| 非支配株主持分 | 0 | +320,000 | 320,000 |
| 純資産合計 | 4,980,000 | △1,280,000 | 3,700,000 |
| 負債・純資産合計 | 7,380,000 | △1,280,000 | 6,100,000 |
連結後も、資産6,100,000円=負債2,400,000円+純資産3,700,000円となります。子会社株式は消去されますが、S社が持つ資産と負債は、連結貸借対照表に含まれています。
このレッスンは、2027年3月31日までの試験範囲に対応しています。
このレッスンでは、支配獲得日の投資と資本の相殺消去、非支配株主持分、のれんの発生を扱います。取得後の利益・配当、のれん償却、開始仕訳、内部取引、未実現損益、連結精算表全体は扱いません。
子会社の資産・負債の時価と帳簿価額が等しい条件に限定しています。時価評価の処理、段階取得、追加取得などの1級範囲は扱いません。