Lesson 3

自社利用ソフトウェアの制作と償却

このレッスンで学ぶこと

自社の業務で使うソフトウェアも、条件を満たすと資産になります。制作中の支出、完成時の振替、使用開始後の償却をつなげて学びます。

将来の費用削減が確実と認められ資産計上の対象となる自社利用ソフトウェアの制作費を集め、完成時にソフトウェアへ振り替えて社内で利用する。研究開発費に該当する部分は含めない。

自社利用なら、何でも資産になるわけではない

自社利用のソフトウェアは、自社の業務で使うソフトウェアです。利用による将来の収益獲得や費用削減が確実と認められる場合、取得に要した費用を無形固定資産として計上します。

単に「便利そう」「使う予定がある」だけで、すべての制作支出を資産にできるわけではありません。また、制作活動のうち研究開発費に該当する部分は、研究開発費として費用処理します。

ここでは、資産計上の条件を満たすことが与えられている自社利用のソフトウェアを扱います。受注制作や市場で販売するためのソフトウェアとは区別します。

制作中から使用開始まで

段階 記録する内容
資産計上対象の制作費が発生 ソフトウェア仮勘定へ集計
完成して使用可能になる ソフトウェアへ振替
使用を開始する 見込利用可能期間へ償却

ソフトウェア仮勘定は、資産計上対象となる制作途中の金額を集める資産勘定です。すでに費用処理した研究開発費を、完成したからといって後から加算するための勘定ではありません。

例題 制作中の支出と完成

将来の費用削減が確実と認められる、自社利用ソフトウェアの制作を委託した。資産計上対象の制作費6,000円を普通預金から支払い、制作途中のためソフトウェア仮勘定へ記録する。その後完成し、追加制作費9,000円が確定した。追加分も資産計上対象であり、後日支払う。研究開発費に該当する部分はなく、消費税は考慮しない。

制作中の記録

制作中の資産が増えるため、ソフトウェア仮勘定6,000円を借方へ記録します。普通預金の減少は貸方です。

(単位:円)

借方科目
金額
貸方科目
金額
6,000
6,000

完成時の記録

完成したソフトウェアの取得原価は6,000+9,000=15,000円です。ソフトウェアを借方へ記録し、仮勘定6,000円を貸方で消します。後払いの追加額9,000円は未払金の貸方へ記録します。

(単位:円)

借方科目
金額
貸方科目
金額
15,000
6,000
9,000

完成時に確定した9,000円だけを、ソフトウェアの取得原価にするわけではありません。

使用開始後の償却

このソフトウェアを10月1日に使い始め、翌年3月31日に決算を迎えたとします。見込利用可能期間5年、残存価額ゼロ、定額法・直接法で月割り償却し、少額資産の一括費用処理は行いません。

当期償却額=15,000÷5年×6か月÷12か月=1,500円

ソフトウェア償却という費用を借方、資産のソフトウェアを貸方へ記録します。

(単位:円)

借方科目
金額
貸方科目
金額
1,500
1,500

償却後の帳簿価額は13,500円です。制作中でまだ使用していない期間を、この6か月に含めません。償却期間は問題で示される利用可能期間を確認します。

費用にする支出を混ぜない

例えば、別途2,000円の調査費が研究開発費に該当すると示されていた場合、その2,000円は研究開発費として費用処理します。ソフトウェアが完成したあとに、この費用を15,000円へ追加するわけではありません。

まとめ

  • 自社利用のソフトウェアは、将来の収益獲得・費用削減の条件を確認します
  • 資産計上対象の制作費を仮勘定に集め、完成時にソフトウェアへ振り替えます
  • 使用開始後は、見込利用可能期間にわたって償却します
  • 研究開発費に該当する支出を、資産計上額へ混ぜません