Lesson 4

のれんの認識と償却

このレッスンで学ぶこと

他社の事業を取得するとき、受け入れる資産と負債の差額より高い対価を支払うことがあります。その差額である「のれん」の基本計算と償却を学びます。

事業の取得原価を、識別可能な資産・負債の時価の純額と、それを上回るのれんに分けた図。

のれんは、取得した事業の差額として捉える

のれんは、取得原価が、受け入れた識別可能な資産・負債の純額を上回る部分です。顧客との関係、組織力など、個別の資産として分けられない将来の収益力などが背景にあります。

ここでは、取得に該当する吸収合併を扱い、受け入れる資産・負債の評価と取得原価の配分は適切に行われているものとします。吸収合併とは、一方の会社が他方の会社を吸収し、その資産や負債を引き継ぐ形の合併です。

のれんの基本計算

受入資産・負債の純額=受入資産の時価−引受負債の時価

のれん=取得原価−受入資産・負債の純額

この式は、取得原価の方が大きい場合です。自社で築いた評判に、自分で値段を付けてのれんを計上する処理ではありません。

例題 現金を対価とする合併

取得に該当する吸収合併により、時価25,000円の建物と時価5,000円の借入金を引き継いだ。取得対価24,000円を普通預金から支払った。識別可能な資産・負債はこの二つだけで、取得原価の配分は適切に行われている。取得関連費用・税効果は考慮しない。

純額は25,000−5,000=20,000円です。取得原価24,000円との差4,000円がのれんとなります。

受け入れる建物25,000円と、のれん4,000円を資産の増加として借方へ記録します。引き受ける借入金5,000円と支払った普通預金24,000円を貸方へ記録します。

(単位:円)

借方科目
金額
貸方科目
金額
25,000
5,000
4,000
24,000

借方・貸方とも29,000円で一致します。取得対価24,000円の全額がのれんではありません。

のれんを償却する

日本基準では、のれんは原則として20年以内の効果が及ぶ期間にわたり、規則的に償却します。問題で5年などの期間が指定されていれば、その期間を使います。いつも20年にするわけではありません。

上ののれん4,000円が期首に生じ、効果が及ぶ5年間にわたり定額法で償却する場合、1年分は4,000÷5=800円です。

のれん償却という費用を借方、のれんという資産の減少を貸方へ記録します。

(単位:円)

借方科目
金額
貸方科目
金額
800
800

期中に生じた場合は、問題で指定された期間に従って月割りします。のれんは無形固定資産、のれん償却は販売費及び一般管理費に表示します。

個別帳簿と連結上ののれんを区別する

取引 記録する場面
この例の吸収合併 合併した会社の個別帳簿に、受入資産・負債とのれんを記録
子会社の株式を取得 親会社の個別帳簿には子会社株式を記録し、連結上ののれんは連結の計算で扱う

連結上ののれんが生じたからといって、親会社の個別帳簿の子会社株式をのれんへ振り替えるわけではありません。

取得原価の方が受入純額より小さいときは、資産・負債の把握や配分を見直しても残る差額を、負ののれん発生益として特別利益に計上します。例えば純額20,000円、取得原価18,000円なら、見直し後に残る差額は2,000円です。マイナスののれんを資産として残して毎期償却する処理ではありません。

まとめ

  • のれんは、取得原価と受け入れる資産・負債の純額との差額です
  • 計上したのれんは、効果が及ぶ期間にわたって償却します
  • 合併の個別帳簿と、子会社株式取得に伴う連結上の処理を分けます